シリコンバレーと天下の回りもの
シリコンバレーで働くソフトウェアエンジニアの可処分所得
前回までのあらすじ「シリコンバレーで働くソフトウェアエンジニアの年収は、30万ドルとか普通だった」
はたして普通なのか、普通でないのか。本当のところはどうなのか。
そんなの、じっぱひとからげにできるわけないじゃないですか。会社、ポジション、経歴、面接でのパフォーマンス、エトセトラエトセトラ。まとめられません。ていうか「普通」ってなんですか。
シリコンバレーも一枚岩ではないのです。この写真の花崗岩は一枚岩ですけれど。
Glassdoorで検索してください。入りたい会社の名前を検索するだけで、あなたが知りたい情報が出てきます。
それはそれとして。ここではシリコンバレーで働くソフトウェアエンジニアが、年収として30万ドルもらうことを仮定して話を進めます(1ドル110円換算で3300万円)。
しかし、可処分所得はどうなるんでしょうか。シリコンバレーは大変物価が高いと聞きます。実際に住んで働いていながらも、あえて伝聞調にすることで客観性を醸し出しつつ、チラシの裏レベルでシミュレーションしてみます。
独身の場合
所得を得ている以上、納税は義務です。まず、所得税の計算をしましょう。現金だろうが、RSUだろうが、所得は所得です。
ということで、老後に向けて毎月1,500ドル(401K Deduction、毎月16万5千円)も積立てしているにも関わらず、手取りが毎月14,477ドルです。159万2千円ですね。ちなみに年金もちゃんと払っているので、フラグさえ立てれば、だいぶ少ないながらも返ってきます。
現金だけじゃなくてRSUがあるでしょ? という疑問が出ます。が、vestingと同時に売却すれば、そのまま現金になります。マーケットの急激な上昇または乱高下は、そう滅多にあるものではありませんから。
独身者がシリコンバレーで暮らすにあたって、最低限の生活費は、とりあえず、こんな感じでどうしょうか。
- 家賃 $2,500
- 医療保険(Medical, Dental, Vision) $0
- 電気ガス $50
- 上下水道 $50
- インターネット $100
サンフランシスコを避ければ、シリコンバレーといえども、一ヶ月2,500ドルで十分に安全でキレイなところに住めます。医療保険の月額保険料は、すべて会社負担です。もちろん会社によります。携帯回線も会社負担で。会社で朝昼晩ご飯を食べれば、日々の生活でお金を使うこともないでしょう。週末は、会社から持ってきた保存食でどうでしょう。だめですか。
残りは毎月$11,777。自由になるお金が毎月129万5千円あるってことです。手取りから最低限の生活費を引いた、残りの年間可処分所得は1554万5千円。Tesla Model Sいけるんじゃないですか?
子ども2人世帯の場合
同じく老後に向けて毎月1,500ドル(16万5千円)も積立てていても、手取りが毎月16,460ドルです。181万円。
生活費はいくら最低限といえども、独身者と同じ、というわけにはいきません。
- 家賃 $3,500
- 医療保険(Medical, Dental, Vision) $600
- 電気ガス $100
- 上下水道 $100
- 食費 $600
- インターネット $100
- 自動車+アンブレラ保険 $300
- ガソリン $300
1ベッドルームというわけにはいきませんし、子どものために学区がいいところに住みたいですから、家賃を惜しむわけにはいきません。医療保険月額保険料も、家族がいるので従業員持ち出しが出ます。保険内容も充実させたいですし。人数がいれば、電気ガス水道も増えるでしょう。家族のために毎食、会社からご飯を持ち帰るわけにもいきません。食費もかかります。会社のシャトルで、子どもの送り迎えまでできたら、どんなにすばらしいことでしょう。
たくさんかかりましたが、それでも残りは$10,860。119万円4千円。つまり、手取りから最低限の生活費を引いた、残りの年間可処分所得は1433万5千円。
(追記: 医療保険月額保険料は125 CafeteriaとしてTaxable Incomeから控除、2018年からChild Tax Creditがいけそうなので、もうちょっと手取り増えるかも)
この可処分所得から、子どものデイケア費用や、レストランでの外食、車のリースまたはローン、HBOとNetflixのサブスクリプションを払うわけです。Winter is Coming.
医療費
不安点は、医療費でしょうか? 学費? 大学の場合は、本人に学生ローンを使ってもらえばいいわけで。プリスクールなら月〜金/朝〜夕で月$1,500くらいでしょうか。
医療保険月額保険料については、前述どおり。そして、提供される医療保険は会社次第。保険内容も会社次第。voluntaryに会社から提供される医療保険を使わないという選択もできますが、デメリットのみで、特にメリットはありません。
交通事故で1000万円請求された! 的なアメリカのニュースに翻弄されるのもわかるのですが、シリコンバレーでソフトウェアエンジニアとして働いている以上、医療保険にも入っているということになるので、そういったことは起きません。年間最大費用は選択した保険で定められたOut-Of-Pocket Maximumです。
そんじゃーね