深圳のエコシステムはMakersだけのものではない

Shoichi
5 min readMar 23, 2018

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初めて観察会に参加した。深圳は4回目だったが、今回の訪問を通じて、新しい気づきがあった。深圳のエコシステムはMakersのためだけのものではないのだ。

2017年の春の終わりに、近場の観光地でまだ行ったことのない場所として香港を調べている時にたまたま知ったのが深圳だった。中国のシリコンバレーと呼ばれるほどいまアツイ場所なのはわかったが、初めはその程度だった。情報収拾のために深圳について検索しているなかでニコ技深圳観察会のFacebookグループを知り、またその深圳の電気街・華強北で売っている部品だけを使ってiPhoneを作ったという記事を見て、深圳に対して異常な興味と興奮を感じた。昔からガジェットは好きだった。スマホもタブレットもPCもMac、その他電気製品も興味があれば理由をつけて買っていた。好きな場所になる気がしていた。

初めての訪問は2017年の6月。ひとりだった。ひとりで華強北に向かい、部品屋さんの迷路のなかをひたすら歩いた。それだけでこれまでに感じたことのないエネルギーを感じ、どうすればここに関わっていけるのかと考えるようになった。しかしこのときみたものはエコシステムのごく一部でなかった。

2回目の訪問は9月。観察会OBが華強北を巡るツアーをしてくれるというのでお邪魔した。ひとりでは見れなかった多くの場所をみることができた。実際にいろんな部品を買っていく参加者を見て、本物のMakersを見た気がした。

そして3回目は11月のMaker Faire Shenzhen。ここにはMakersとMakersが作るものを楽しめる人がやってくる。面白いものを作る人が集まり、面白いものを求める人がやってくる。面白かったし楽しかった。それと同時に、わからなかった。やはり見て、触って、面白いね、それで終わってしまう。限界を感じた。

ここに来る前にArduinoとかRaspberry Piとかやってみようと買ってチャンレンジしたけど挫折していた。Micro:bitならいけるかもと帰国後買って本を見ながらやってみたが、やはり挫折した。Makerへの道は遠いと感じた。それでもMakersに関わりたいという思いから、2018年からのニコ技深圳観察会出張所へのスポンサーを申し出た。もっと奥深くに入れば道が開けるのかもしれない考えていた。

2018年3月、念願の観察会に参加した。昨年、深圳に興味を持った頃には観察会は終了していたので、まさに念願だった。そして気づいた。深圳のエコシステムはMakersのためだけのものではないのだと。

深圳のエコシステムは素晴らしい。アイディアが生まれる。そしてテクノロジーがアイディアを具現化していく。そのなかで研究開発するための場所がなければインキュベーション施設があるし、資金がなければ援助するエンジェルがいる。アイディアだけあって設計できなければデザインだけする企業があるし、もちろん製造だけやってくれる企業がある。一貫して自力でやる企業もあれば、自分ができるところだけやる企業もある。アイディアが社会を変えるイノベーションになるまでに、多くの役割が存在し、足りない役割にはそこを埋める企業が発生する。エコシステムはイノベーションの発展とともに自身も進化を続けている。それが深圳のエコシステムだと理解している。

今回の訪問で、多くのスタートアップ企業、研究開発の現場、設計・製造の現場を回ることができた。深圳のエコシステムの構成要素をそれぞれの役割の視点から見ることができた。そしてこの「役割」を考えるとき、私自身がMakersのひとりにならなくても、この深圳のエコシステムに関わっていけるのだと気づいた。私もイノベーションに関わっていける。それで十分なのだと。

Makersがイノベーションを生み出す過程で支援できることがあるに違いない。また、私ならMakersのイノベーションに関心を持ち、面白いと思える、そんな気がした。

観察会最後の高須さんのプレゼンで紹介されたDelek SiversのTEDでのプレゼン(How to Start a Movement)が、その気持ちを後押しした。First Follower。素敵だ。

昨年の国内発売と同時に買ったInsta360 One。買ってから一度開封しただけで使っていなかった。面白いのに。楽しめるのに。深圳のエコシステムにすでに日本も巻き込まれている。いろんなことを反省しながら、ここに新しい居場所を作っていけたらと考えている。ここにはできないこともやれないことも存在しないと信じている。電子工作は続けようと思う。そしてこれからも深圳、そしてMakersのみなさんを追いかけていきたい。どんな人でも役割を持てる、それがこのエコシステムの魅力だと思う。

他の参加者のみなさんの感想はこちら

第8回ニコ技深セン観察会 参加者名簿:感想まとめ

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