Slackを使って企業文化を育てる5つのハック

Yuki Kanayama
7 min readMay 11, 2016

VASILYではメンバー間のコミュニケーションにSlackを利用しています。数年前まではfacebookの非公開グループなども併用していましたが、現在はSlackのみを利用するようにし、コミュニケーションが分散し非効率になることを避けています。

Slackは全社員が毎日利用する数少ないツールあると同時に、利用頻度がとても高いツールです。利用頻度が高いツールだからこそ、これを利用して企業文化を育てていくことができると考え、VASILYで実際に実践している5つの手法をご紹介します。

1.ローディング画面にビジョン/大切にしたい価値観を表示させる

Slackではアクセスした直後のローディング画面に任意のメッセージを表示することができます。VASILYではここにビジョンである「人類の進化に貢献する」といったメッセージや、大切にしたい価値観(HIPSTER)にまつわるメッセージを表示しています。みんなが必ず見る場所に、会社として大切なことを掲示し、それを浸透させていこうと考えているわけです。それって昔からある、オフィスの壁にビジョンを書いたりするような手法と同じかなと思ってます。ローディング画面のカスタマイズの方法は menu→customize slack→Loading Messages からできます。以下に実際に表示しているメッセージをご紹介します。

逆境でもハングリーさを忘れないように
HIPSTERのS、スピードについて好きな一節

2.チャンネル作成をマネジメントする

Slackは普通に使っていると、どんなチャンネルが新しく作られているのかがわからないため、チーム全体のコミュニケーションを俯瞰で把握することができません。そのためチャンネル作成を全社員が自由に行っていくと知らず知らずのうちに業務における暗黙知が産まれたり、似たようなチャンネルが乱立してコミュニケーションが非効率になります。

VASILYではそれを防ぐためにチャンネル作成/廃止はマネージャー以上の人間が行い、チャンネル命名規則を決めています。

命名規則「部署名-プロジェクト名」
例:アプリ開発部のAndroid開発チームのためのチャンネル=app-android

これによって会社全体でどのようなコミュニケーションが行われているかを明確にし、Slackの利用から産まれる暗黙知がなくなるようにしました。

3.オリジナルな絵文字を使う

Slackでは絵文字を投稿されたものへのリアクションに使うことができるのですが、リアクションが盛り上がるような絵文字を追加することで、Slackでのコミュニケーションが少し楽しくなります。VASILYでは機能のリリースや広告の受注、KPIの達成など、会社にとって喜ばしいことがあったときにみんなで共有するチャンネル「vasily-yeah」というチャンネルがあるのですが、面白い絵文字があるとこのvasily-yeahへの投稿がよりyeah感が出てきてチームの一体感を強めることに役立っています。

vasily-yeahチャンネルと自分がよく使う絵文字。メンバーの顔をイラストにしたものが面白かったり、gifアニの絵文字が人気あったりします

4.ボットを使う

数字を中心に業務のコミュニケーションしていきたいと考えいるVASILYでは、アクセス数や売上など毎日チェックすべきKPIは全員がチェックして日々の業務の手応えを感じてもらったり、さらなる改善のための行動を行って欲しいと考えています。しかし残念ながら必ずしも全員がKPIをチェックする習慣を持っているわけではなかったり、KPIチェックのために様々なツールにアクセスしてムダな時間を使ってしまうことは非効率です。それらを解決するために、VASILYでは毎日定時にBOTがKPIを全社員周知用のチャンネルにお知らせしてくれるようになっています。これにより全社員がKPIへの意識を持って業務に取り組めるようになっています。

その他にも他サービスをBOTを利用して連携させて、業務をSlackに集約させるような動きをしています。たとえばCS業務ではユーザーからの問い合わせがあると、それを管理しているzendeskからBOTを通じてslackに通知が来るような仕組みを作っています。

ちなみにVASILYでは馬尻愛子(ヴァシリーアイコン)ちゃんというBOTがいて、いろいろなところで業務をサポートしてくれています。

毎日10時にCTOのBOTからKPIが全社に送信されます。愛子ちゃんからの通知にしたらもっとみんな意識するかも?
受付に来客があると馬尻愛子ちゃんからSlackの来客お知らせチャンネルに@で通知が来ます

5.仕事の依頼をSlackだけで完結させない

最後になりますが、1番重要なことは仕事の依頼をSlackのみで完結させないことだと考えています。何か仕事の依頼をしたら、時間差があってもいいから必ずお願いをした人に一言声をかけるように全社で徹底しています。これまでさんざん効率化について語ってきたのに、なんて非効率なことをするんだ、と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、メンバー間のコミュニケーション量を増やし、何気ない会話からコンテキストを共有し、そこからコラボレーションを産んでいくために必要な時間の投資だと考えています。ちょっとした仕事の依頼でも声をかけあうことで、よりいい解決手法が産まれたり、新しいコラボレーションが産まれたりする可能性が多いにあります。そのようなコラボレーションにこそ大きな価値があり、そこを強みにしていきたいと考えています。

とはいえ集中しているエンジニアに声をかけるタイミングが難しく、声をかけにくい、という社内の意見がありました。それには「黒い画面を見ている時は話しかけない」(逆をいうと、「SlackやQiitaを見ている時はチャンス」)で対応しています。

正しいツールを選び工夫して使うことは経営陣の仕事

今回はSlackについてVASILYが行っている取り組みを紹介しましたが、その他のツールでも同様に、ただ使うのではなく、ちょっとした工夫を行って利用しています。目的に応じたツールを選び、それを工夫して使うように促し、生産性を向上させていくことは、業務を俯瞰して見ることができる経営陣の仕事だと思います。たかがツール、されどツール。昔から「弘法筆を選ばず」といいますが、弘法も勝負の一枚にはきっと自分がお気に入りの最高の筆を使っていたんじゃないでしょうか?

--

--