KPCB Internet Trends

4niruddha
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10 min readJun 28, 2015

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を読もう!第2回

「RE-IMAGINING CONTINUES」と「Design in Tech」のトレンド紹介

どうも、僕です。前回の記事でインターネット業界人は必読の Mary Meeker による KPCB Internet Trends 2015 の導入の部分からトピックの紹介と、このレポートの読み方のコツなどをご紹介しました。

今回も基本的にはその流れを汲みながら、レポート中盤までの「RE-IMAGINING CONTINUES」と題された、毎年恒例のこれまで存在してきたサービスを改めて捉えなおさなければならない話の中からトピックを紹介するのと、昨年からの流れを受けてデザインという側面から補足的に説明している別のレポートも合わせて紹介します。それが昨年から今年までのレポートにおける背景の理解に役立てばと思います。

エンタープライズ領域の地殻変動

冒頭にエンタープライズ向けのクラウド製品を提供するBox, IncのCEOでもある Aaron Levie の Tweet が紹介されていました。

(Aaron Levie の Tweet を紹介したスライド)

このTweetは「RE-IMAGINING CONTINUES」セクションで説明される、エンタープライズ向け製品で起きている現在の状況を140文字以内で上手く表現していると言えます。まさに仕事のあり方を変えつつあるプロダクトが次々と生まれています。

(Slackを紹介しているスライド)

エンタープライズ向け製品のうち、注目を集めているものと言えば、旧来のメール等から職場でのコミュニケーションのあり方を変えつつあるサービス「Slack」です。こうした事例をいくつか紹介しています。オフライン決済のメジャーな「Square」や、オンライン決済で注目を浴びる「Stripe」。また、BIツールの「Domo」や、電子署名の「DocuSign」の仕組み、カスタマーサポートツールの「Intercom」などなど、この他にも多くのエンタープライズ領域で過去隆盛を誇ったサービス・製品が、新たなサービス・製品に取って代わられている状況を伝えています。

(ジョン前田によるスライド)

毎年 Mary Meeker のレポートを見ているとその流れの中で気づくところがあります。そのひとつが、昨年からKPCBにおけるデザイン領域でのパートナーとなったジョン前田によるKPCB Internet Trends 2014 の中のこのスライドです。AirbnbやUberなどのサービスがユーザーフレンドリーではない既存の業界にメスを入れる形で急成長を遂げているという話ですが、いよいよエンタープライズ領域でもこの流れが顕著になってきたという印象を今回のレポートでは受けます。(その兆候はだいぶ前からありましたが。)

そうした潮流の背景を理解する上で読むべきレポートがあります。同じくジョン前田が2015年3月に行われたSXSWで発表した「Design in Tech」というテーマの講演内容をまとめた「Design in Tech Report 2015(日本語版)」です。スタートアップやテック企業がサービスを作る上で、既にテクノロジーの面では競争優位性を築くのが困難になりつつある現状では、ユーザーの体験に大きく貢献するデザインの重要性が高まりつつあり、デザイナーの存在が注目を集めているという主旨のレポートになっています。そういう視点で潮流の中にあった新興企業を眺めてみると、急成長を遂げているどのサービスも、テクノロジーの側面だけでなく、設計の早い段階からユーザーの体験が過去ユーザーが体験したものを大きく凌駕することを意識した形で、サービスがデザインされていることに気づきます。補足的に紹介したレポートですが、こちらも是非お読みください。

メッセージアプリの進化

既に皆さんも実感されていると思いますが、メッセージアプリが生活の中に浸透してきています。その点について世界の動向を論じているスライドをピックアップして紹介します。

主要なグローバルプレイヤーとして、スライドの6社が挙げられています。Facebookに買収された「WhatsApp」とFacebook Messenger、消える動画を投稿する「Snapchat」といった英語圏のアプリ、中国で浸透している「WeChat」に韓国の「KakaoTalk」、そして日本の「LINE」が、それぞれの利用者数などを比較されています。興味深い点としては、アジア圏の企業がグローバルプレイヤーとして半数も数えられている点で、ユーザー数や売上などの側面で肩を並べているという状況は、他のインターネットサービスの領域と比較すると珍しい状況と言えますが、言語的なローカル性がテキストコミュニケーションの領域に関しては、その国の市場の掌握に大きく影響している様が伺えます。

もう一つ、興味深い点としては、この二つのスライドです。メッセージアプリの機能比較なのですが、アジアのメッセージアプリが英語圏のアプリよりも先んじて進化を遂げ、英語圏のアプリがそれに追従するような流れがあるところです。中国のWeChatなどは顕著ですが、メッセージアプリがコミュニケーションのハブになることでユーザーが集まり、そこに日常生活に欠かせない機能が数多く盛り込むことで、さらに便利に、よりユーザーが集まるサイクルが回っています。

また、皆さんも経験があるかと思いますが、シチュエーションや利用する機能によって複数のメッセージアプリを併用して使い分けるユーザーは多いようです。方向性としては、母体となるメッセージアプリと特定の人とのコミュニケーションに用いるメッセージアプリ、機能面で利用するメッセージアプリなどに分かれるようで、この傾向は大手メッセージアプリ企業に対する切り口として参考になるかもしれません。

User Generated Contents の多様化

これまでもブログなどのようなユーザーが作り出すコンテンツがインターネットを流通してきましたが、その傾向にも変化が見えてきました。

こちらのスライドではFacebook上で再生される動画の数が急増していることが伺えます。再生される動画は広告以外にも友達同士でシェアされるものが半数以上のようです。また「Pinterest」や「Snapchat」のような画像や動画ものから、動画の中でもゲームのライブストリーミングに特化したもや、音楽にフォーカスした「SoundCloud」のようなもの、「Kindle direct publishing」といったユーザーによる書籍の出版など、ユーザーが作るコンテンツの多様化が加速しています。また、それがビジネスにも発展することが顕著になってきたことを実感することができる内容になっています。

そうしたユーザーが作り出すコンテンツが一様に増加していく流れがメディアにも影響を与えつつあると思いますが、ニュースを知る1次ソースがメディアでなくTwitterというソーシャルメディアになってきている傾向が出てきているようです。ユーザーがユーザー自身によって作り出されるコンテンツも含めて、触れるチャネルが増加し、インターネットを流通するコンテンツの増加し、メディアの分散化にもつながり、旧来のニュースメディアにも大きく影響を与える原因になっている雰囲気を感じることができるのではないでしょうか。

欲しいものを欲しい時に

スマートフォンの普及により、インターネットに常にアクセスできる環境が整い、ユーザーの位置情報などのようなセンサー情報をもとに欲しい時に欲しいものを手軽に提供するサービスが本格的に発達してきています。Uberのようなタクシーの呼び出し、食事や日用品の予約、配達や、宿泊先やチケットのその場での予約など、利便性を追求しているサービスが旧来のビジネスモデルを変化させているのは、先に紹介した「Design in Tech」の通りです。

ドローン市場の急成長

最近、ニュースでドローンの話題を目にすることが増えてきたと思いますが、世界的にもドローン市場は急成長を遂げているようです。

世界の市場でドローン市場の成長推移を見てみると、2015年初頭までに430万台の一般向けドローンが出荷され、市場規模も前年の2014年全体と比較して167%増という急成長を見せています。これだけの台数が販売されている現状を見ると、ニュースで取り上げられるようなトラブルの増加もうなずけます。トラブルの多発で今後は法整備の影響を受ける市場だとは思いますが、これだけの成長を遂げるということは、ドローンがもたらした新しい市場が潜在的な消費者のニーズに合致したものだったということが言えると思います。

ただ、ドローン市場といってもどのようなものなのか、新しい市場ということもありイメージが湧いていない人も多いとおもいますが、そのポテンシャルは非常に大きなものと言えます。レポートの中でも語られていますが、ドローンによる効率的な農薬散布によって生産性の高い農業の実現や、鉱物/鉱産物を扱う企業による採掘調査での利用、ガスや電力線の点検といった人間の作業としては危険を伴う場所での利用、また、災害時の状況確認といったところでの利用が進んでいます。日本でも完全な廃炉に至るまで気の遠くなるような期間が見込まれる福島原発での作業などで、人間に変わっての活躍が期待されています。

まとめ

「RE-IMAGINING CONTINUES」というセクションは毎年、継続されていますが、インターネットが関わる世の中の動きをダイナミックに捉えているため、前段の大局観を掴む内容からぐっと身近な話に感じられると思います。この内容を受けて前年のレポートの内容と比較し、答え合わせするような感覚で眺めると、なにが主流になってきているかなどを確認することができます。今年の例で言うと「Design in Tech」のような話は前年のレポートから続いており、世の中的にも主流になりつつあるムーブメントであることが伝わってきます。

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