ヒカリエの前に季節外れの巨大なクリスマスツリーが現れ、薄手のジャケットでは凌げない寒さが底を覆い、駅前に酔っ払いが増えたら、もう師走だ。
まだ11月なのだが。
縺れる舌ともたつく足元とよれよれの背広が亥時の歩道を埋め尽くすなか、ポケットに手を突っ込んでオフィスから駅へと突っ切って行く日々を繰り返していると、数年前、同じように帰途の最中、色々な悩みや焦りが絶えず渦巻いていた過去の自分を、つい思い出してしまう。