MVP開発はプロダクト開発ではない | ソリューション検証の進め方

Naoki Sato
BLUE DOTS
Published in
Feb 28, 2019

Open Network Lab (以下、Onlab)では、定期的にスタートアップの皆さんへ役立つノウハウやトレンドを発信しております。

今回は、スタートアップを始めようとしている方や、アイデアをプロダクトへ落とし込むタイミングのスタートアップ向けに、正しい解決策の見つけ方のヒントを書きます。

1. スタートアップ が取り組むテーマを見つけたら

スタートアップのアイデアを見つけ、ユーザーインタビューを通じ取り組む課題が整理できたら、次はその解決策を見つけていくプロセス(下表②)となります。

アイデアの見つけ方ユーザーインタビューの方法についてはそれぞれのブログを参考にしてみてください。
ここでの注意点として、解くべき課題設定や市場選択は非常に重要なので、自身が腑に落ちていない状態で解決策の検証を急がないようにしてください。結果的にピボットすることに陥ります。

2. 解決策を効率よく見つけるための考え方

スタートアップが最も気をつけるべきリソースは”時間”です。

誰も使わないものを一年かけて作ってしまったとしたら、一年後に資金やチーム(のモチベーション)の大部分を失うことになります。
その失敗を避けるために、ここ数年スタートアップ界隈の常識になったとも言えるMVP(Minimum Viable Product)を開発していくことになります。

MVPに関して重要な考え方がY Combinatorのブログで紹介されています。

“Minimum Viable Productは、プロダクトではなくプロセスである”

MVPは正式なプロダクトの簡易版を作ることではなく、そのスタートアップの重要な仮説を検証していくプロセスです。

初期のアイデアは、対象ユーザー・ユーザーが抱えている課題・最も効率的な解決策・プライシング・マーケティング計画など非常に多くの仮説を前提にしています。
それらの仮説の中で、最もリスクの大きい仮説から順に、最も効率よく検証していくトライアンドエラーのプロセス自身がMVPとなります。

3. MVPの具体例

仮説を検証するためのMinimum Viable Productには様々な形のものがあります。

① 最もリスクの大きな仮説が、”対象ユーザーがある課題を持っているはず”である場合は、ユーザーインタビュー/観察することが効果的です。Onlab4期のFRIL(現ラクマ)堀井氏は当時mixiのコミュニティで服を売買していた女の子のインサイトについて一番詳しかったと振り返っています

② 最もリスクの大きな仮説が、”その課題に対しある解決策がフィットするはず”である場合は、解決策のLPを作り事前登録数等のトラクションを図って見ることで検証できることがあります。Onlab10期のSmartHR宮田氏はLPを作成し2万円のFacebook広告で100件以上の申し込みを得て手応えを感じたとインタビューで明かしています。

③ 最もリスクの大きな仮説が、”その解決策が実際に効果的にワークするはず”である場合は、実際に想定するシーンで対象ユーザーに使ってもらうことが重要です。薬局の在庫管理を解決するOnlab17期の9lione廣田氏は、実際に薬局に脚を運び、OCRや画像認識等のプロダクトを開発する前に人力オペレーションでワークすることを確認しています。

④ 最もリスクの大きな仮説が、”その解決策のために想定している価格で支払うはず”である場合は、プロダクトが完成する前に実際に売ってみることも有効です。Onlab3期のFond福山氏は、福利厚生をリストにしアクセスするために10ドル支払うかを実際に売ることで確認しています。

上記例では、ほぼ開発せずに対象ユーザー・抱えている課題・解決策・オペレーション・プライシングを検証することが出来ています。

4. MVPプロセスのポイント

効果的な学習を進めていくために以下のようなポイントをヒントにしてみてください。

シードアクセラレーターであるOpen Network Labでは、MVPプロセスを以下のポイントから支援しています。(プログラムの概要

  • 知見ある方々からのメンタリング機会の提供
  • 過去の卒業生や投資先の中から類似事例の紹介
  • 各参加チーム担当者が併走することでプロセスの整理を支援
  • プロセスに集中できるよう活動資金、活動場所の提供

また、上記のような運営チームから直接提供するものに加え、最も重要な”時間”というリソースを最大化するために、①決められたデッドライン(DemoDay)があること、②同期チームと競争/協力を行えることもシードアクセラレーターの大きなバリューかと思います。(参加者の生々しいブログも参照ください)

最後に

大きく成長していったスタートアップ達は、時間や資金が限られている中で如何に施策の試行回数を増やせるか、ハックすることがうまいと感じます。

新しい事業を進める上で、こうすれば上手くいくはずだ!と多くの案を検討されているかと思いますが、当然誰もやったことのない事業なので、どれが上手くいくかはやってみるまでわかりません。(実際ほとんどのアイデアは失敗に終わります)

現在プロダクトを開発しているチームは、検証したいことに対して過剰に時間をかけていないか、ハックできる方法はないか、是非振り返ってみてください。

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Naoki Sato
BLUE DOTS

W fundにて主にtoC領域のスタートアップへご出資 ← Onlab/アクセラ責任者← ウェルスナビ/事業企画 ← グリー/投資・M&A・子会社経営 ← 東工大修士/学生起業。ブログはnoteに引っ越しました!https://note.com/naokisato31