アイデアを素早く形にする5つの手順

1週間で形に。1ヶ月でプロダクトに。

Yuki Yoshinaga
May 8, 2018 · 8 min read

事業やサービスは、着想を得てから素早く実装し、そのアイデアを検証することが大切です。

その意味で、小さな単位で検証を進め、検証し終えたものから実装していく、所謂アジャイルな開発様式をとることには価値があります。

1つの仮説検証のために何ヶ月も実装の期間を待つ必要が無いからです。

…とはいえ、これは裏返せば「検証用のアウトプット」が常に必要であることを意味します。

今回は、この検証用のアウトプットについてのお話です。

結論から言えば、「面白いかも」という仮説を「これはイケる」という確信に変えるためのアウトプットは、素早く・コスト低く実現できます。

あなたがアプリやWebサービスのアイデアを持っているなら、それは1週間足らずで形にできるでしょうし、1ヶ月足らずで骨のあるプロダクトの形に出来ます。

技術力の不足やエンジニアの不在があったとしても、特に問題にはなりません。

早く形にするコツは大きく2つ。

1つは、アイデアを漠然としたものから明確なものにすること。もう1つは、さっさと作り始めることです。

手順は5つ

1. アイデアを言葉にする

2. インサイト・課題・バリュー・ソリューション

3. 白黒プロトタイピング

4. インサイトとユーザビリティの検証

5. 高精度プロトタイピング

アイデアを言葉にする

アイデアを素早く形にする第一歩は、ラフスケッチやペーパープロトタイピング ではありません。

残念ながらどちらを選んだとしても、無駄の多い一歩目となるでしょう。高効率でモノづくりを行うためには、アイデア自体の洗練が必要です。

何故なら、漠然としたアイデアのままでは作りながら都度都度の意思決定を行わねばならず、考える時間によって作る時間が妨げられてしまうからです。

また、都度の思索は一貫性の無い意思決定のもととなり、プロジェクト内や自分の開発思想に慢性的な不和をもたらします。

この不和は、プロジェクトの断念や迷走のもととなり得るほど非効率性を高めます。

つまり、頭を動かしながら手を動かすのは短期的・中期的に非効率です。

さらに、一貫性の無い意思決定は作るものを無駄に増やしてしまいます。

これらを防ぐため、最初に行うべきなのがアイデアの洗練です。

まずは「言語化」を行いましょう。

どういう言語化を行うかは自由ですが、最低限「アイデアを表す言葉」と「ウケが良いと思う打ち出し方」の2つを作るのがおすすめです。

インサイト・課題・バリュー・ソリューション

どんなアイデアであっても、それを届けたい誰か(ペルソナ)がいるはずです。

その人のインサイトと、障害となっている課題を書き出しましょう。

ただし、ペルソナの人数には注意してください。

多すぎると、作るものが増えてしまい形にするまでのスピードを下げてしまいます。

ものによりますが、この段階では3ペルソナ以下に留めるのが適正です。

書き終えたら、その次に洗練するのはソリューションです。

ソリューションとは、プロダクトの機能および機能群、あるいはコンテンツ群を指します。

まずは、先ほど書いたインサイトと課題それぞれに対応したバリュー(価値・体験)を書きましょう。

その後さらに、そのバリューを実現するために必要な機能やコンテンツを書きます。

あなたのメモ帳にはやりたいことや作りたい機能が溢れているかもしれませんが、そのメモ帳はここでは不要です。

何故なら、演繹的に収束したアイデアではないやりたいことをベースに進行すると、作るものや工数が無駄に増えたり、複雑なプロダクトになったりするからです。

効率よくプロジェクトを進めるためには、アイデアを発散させるだけでなく、収束させることがとても重要です。

ここまでで出来ているもの

1. アイデアを表す言葉
2. ウケがいいと思う打ち出し方
3. ペルソナのインサイト
4. ペルソナの課題
5. ペルソナの課題を解決する価値・体験
6. ソリューション(機能・コンテンツ)

所要時間は2〜4時間程度。

白黒プロトタイピング

漠然としていたアイデアはここまでの作業によって、具体的に必要な機能や性能の情報に仕上がっているはずです。

それではいよいよ、モノを作り始めましょう。最初のプロトタイピングです。

この段階では、ビジュアルやアニメーションに高い精度は必要ありません。

白黒で構わないので、prottMarvelなどの簡易なプロトタイピングツール、SketchXD、あるいは紙、パワーポイントなどで、とにかく作ります。

動きさえすれば、ツールは問題ではありません。

インサイトとユーザビリティの検証

作り終えたら、ペルソナに合致する見込みユーザーに接触しましょう。

実際に会い、話を聞き、洞察し、プロトタイプを触ってもらうのです。

ここで検証するのは、インサイトや課題についての仮説と、プロダクトのユーザビリティです。

もしインサイトや課題に問題を発見したら、その問題を解決してここまでの工程をもう一度行いましょう。(※1)

あるいはインサイトや課題に問題が無ければ、プロトタイプのユーザビリティを改善しましょう。

何人にヒアリングすればいいかは場合によりますが、1ペルソナ3人に聞けば充分なことがほとんどです。詳細については下記記事で記しているので、ご参考ください。

ここまでで出来ているもの

7. 簡易なプロトタイプ
8. 検証済みのペルソナ仮説
9. ユーザビリティ上の問題点
10. ユーザビリティの改善したプロトタイプ

所要時間は1週間程度。

高精度プロトタイピング

さあ、既にあなたのアイデアは確かな基礎とともに形を得ています。

ここからは、プラスアルファ。
プロダクトらしいプロダクトに仕上げていきます。

ユーザビリティ上の改善を何度か繰り返したプロトタイプに、色やビジュアルを付け、アニメーション等のインタラクションも付けていきましょう。

ここで検証するのは、プロダクトの気持ちよさや信頼性です。

ユーザビリティを担保した上で、どのようなビジュアルやインタラクションがあればユーザーは快適さを感じ、信頼を感じてくれるのか、様々なパターンを試しましょう。

ここでも、実際にペルソナの人たちに会い、反応を観察します。

なお、動きを作る作業にハードルの高さを感じるかもしれませんが、特に難しいことはありません。

アニメーション等を制作したことがなくとも、ProtoPieFlintoPrincipleInvision Studioなどを使えば、1〜2日程度の学習である程度のインタラクションは作れるようになるでしょう。(センスはともかくとして)

ここまでで出来ているもの

12. ビジュアルについての問題点(と大量の没案)
13. 色やビジュアルのついたUIデザイン
14. インタラクションについての問題点(と大量の没案)
15. 動きのついたプロトタイプ

所要時間は2〜3週間程度。

まとめ

あなたのアイデアは明確になり、形を得ました。ここまでで大体1ヶ月弱といったところでしょう。

もし「イケるかも」という感覚や数値が得られていれば、技術者を仲間に引き入れ、プロジェクトを進行しましょう。

ただし、「ダメかもしれない」という時はもちろん、まだ「面白いかも」のままだった場合も、残念ながらそのアイデアはやめたほうが賢明かもしれません。

固執するよりも、次のアイデアや別解を形にしましょう。

そうやってどんどん壊したり作ったりしていくことで、あなたの中に眠る優れたアイデアが形を帯びるまでの時間を短縮するのです。

作ったものまとめ

初日
1. アイデアを表す言葉
2. ウケがいいと思う打ち出し方
3. ペルソナのインサイト
4. ペルソナの課題
5. ペルソナの課題を解決する価値・体験
6. ソリューション(機能・コンテンツ)

1週間目
7. 簡易なプロトタイプ
8. 検証済みのペルソナ仮説
9. ユーザビリティ上の問題点
10. ユーザビリティの改善したプロトタイプ

2〜4週間目
12. ビジュアルについての問題点(と大量の没案)
13. 色やビジュアルのついたUIデザイン
14. インタラクションについての問題点(と大量の没案)
15. 動きのついたプロトタイプ

所要時間は、合わせて3〜4週間程度。


(※1)
インサイトや課題についての修正があり得るならばプロトタイプを作る前にユーザーインタビュー等の仮説検証を行うべきでは? という考えもあります。

たしかに原理的にはそうするのが最も効率が良いのですが、実務の上ではそうはなりません。

ヒアリング相手を見つけるまでの時間で最初のプロトタイピング程度は作れてしまいます。

ヒアリング相手が見つかるまでの間何も進めないよりも、プロトタイピングを行い、ヒアリング時にユーザビリティテストも同時に行う方が効率よくモノづくりが出来るでしょう。

もちろん、ヒアリングの結果このプロトタイプを破棄しなければならない可能性はありますが、プロトタイプの役割の半分は破棄されることなので、特に問題ではありません。

デザラボ

デザラボは、リサーチからデザイン・開発までを行うUXデザインチームです。新サービス開発や顧客開発、アプリ・Webサービスの改善をサポートし、あなたのサービスをグッドデザインにします。

Yuki Yoshinaga

Written by

UXマン。UXデザインチーム デザラボ代表 兼 UXデザイナー。株式会社Bocchi取締役DEO。 / An UX Designer. Founder of Design Labo and Board of Bocchi,Inc

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