どうしてTwitterはFacebookに潰されたか

Ayako Shimatani
Fashion-Tech News
Published in
9 min readFeb 1, 2016

今日、ユーザーが毎日閲覧する「フィード」を所有することは、成功しているモバイル広告企業にとっての基本となっている。
なぜなら、フィードは、今や私たちの生活の中心に存在するモバイル端末の画面を占領するものだ。私たちはフィード上の広告に目を向けずにはいられないだろう。

そして、そのフィードの展開がFacebookとTwitterの命運を分けたといえるだろう。

Twitterの2009年の減速

Twitterは2010年以降のユーザー増加数しか公開していないが、comScoreの報告によるとTwitterのユーザー増加数は2006年から2009年までの3年間で著しく成長した。

Twitterユーザー数推移 2008–2009 Feb

しかし、その後Twitterの成長スピードは、2009年秋から急激に減速したのだ。

Twitterユーザー数推移 2009–2009 Dec

そして現在の成長スピードは、2006年から2009年にかけてのスピードに遠く及ばない程度となった。

Twitterに一体何があったのだろうか?

Facebook VS Twitter

Twitterが減速する一方で目覚ましい成長が続いたのがFacebookだった。
これまでFacebookはデスクトップにおいて他を大きく引き離していたが、モバイルでは別だった。2009年の第一四半期において、モバイル上のFacebookには3500万のアクティブユーザーしか居なかった。翌年のTwitter(Twitterのユーザーはそもそもモバイル中心)のアクティブユーザー数3000万をわずかに上回るのみの数字だ。しかしその後の成長曲線は全く違ったものとなっている。

Facebook vs Twitterユーザー増加数

私が思うにFacebookとTwitterの成長の劇的な違いには3つの要因がある。

・Facebookはそもそも、既存のオフラインネットワーク(知り合い)を元に作られているため、Twitterよりも有利だった。Facebookはすべての人にとって親しみやすく、便利だ。一方で、Twitterは主に自身の興味を元に知らない人たちとコミュニケーションする場所だ。これも理論的にはすべての人が使えるものという事になるが、ユーザーはそれぞれの興味に合うものや、それぞれにとって適切なフォロー対象を自ら見つけなければならない。

・どのような製品でも、その製品が普及曲線上を移動すればするほど、それぞれのユーザーが自身の生活にその製品を合わせようとする努力をしないようになるといわれている。つまり、アーリーアドプターはどのような不便を被ってでもその製品を使おうとするだろうが、その製品の1億人目のユーザーはそこまでしないだろう。Twitterは2009年にユーザー数のピークに達したが、その後多くの人はTwitterの利用をはじめるのが面倒だと感じてしまったのだろう。

・一方、Facebookはアルゴリズムによりフィード上に様々な投稿が表示されるようにしていった。FacebookはNews Feedにて、友人や家族のステータスの更新以外についても表示されるようにし、表示順も時系列ではなくアルゴリズムにより調整された。(奇しくも、それはTwitterが減速を始めた、2009年の事だった。)

Facebookでもアーリーアドプター達はフィード上に興味のあるコンテンツが表示されるように自ら行動しなければならなかったが、そういった事をするのは面倒と思っていた人々にも興味のあるコンテンツが表示されるようになったのだ。そういったユーザー達はわざわざ(面倒な)Twitterを使わずとも、Facebookだけで十分になったという事だ。

TwitterとFacebookはそもそも全く違うサービスであるとか、Twitterのインタレストグラフの方がFacebookのソーシャルグラフよりも今後価値があると言う人もいるが、TwitterもFacebookも最終的には一つの限られた’資源’ — 人々の注意 — を争っているのだ。そして2009年以降、FacebookはTwitterよりも始めやすいだけでなく、ユーザーにとってより興味深いコンテンツを届けてくれるようになった。

そしてモバイルの台頭が違いをより際立たせる事となった。

私はFacebook時代の到来において

まず、PCが全ての家庭の全てのデスク上にあるとすれば、モバイルは世界の人口の大部分のポケットの中にある。モバイルユーザの数は、PCと比較して、3倍から4倍と言われており、さらに、その数は拡大し続けている。

次に、これまでは、”何か目的がある時にだけPCを利用していた”が、今や、”モバイルを利用している時以外の時間が、何かの目的がある時”なのだ。そしてそんな、我々の生活の中”空き時間”は思いの外多い。

と述べた。

“空き時間”にはほとんどの人は労力を使いたくない。だが、Twitterを使うためには労力を必要とする。ユーザーは自分の興味や、それを元に誰をフォローすればいいのか把握していなければいけない上、精査されていないツイートのストリームの中から興味のあるものをピックアップしなければいけない。逆に、Facebookは全てそれを代わりにやってくれる。

注意力の市場

わたしはTwitterはマネタイズの展望を提示しているが、ユーザー成長率に関して重篤な問題があると、批判的な立場を貫いてきた。また、同社が製品を発展させていない事に対しても批判してきたが、そうして、わたしが指摘したようにCEOが交代する事となった。

そしてTwitterは2015年夏、やっと新製品を発表したのだ。Twitterは Momentsの発表で、ようやく時系列のタイムラインから脱却した。

わたしはこれでTwitterが復活すると思っていたが、どうやら間違っていたようだった。

Twitterの株価はその後38.4%下落、役員交代の騒動の影響で昨日だけでも4.6%下落した。

今後Twitterが回復する見込みはあるだろうか?

答え、NOだろう。2009年と比べて、注意力市場は随分と変わってしまった。DorseyはTwitterが「世界中の人が朝一番に見て、考えや、コメント、今何が起きているかシェアする時に使う最初のツールになって欲しい」と言っていたが、それば新しい市場を開拓するのではなく、フィード機能を持つ既存の競合 — Facebook、Snapchat、Instagram — やその他のメッセージングサービスが居る市場でのシェアを奪う事となる。

そしてFacebookは誰が投稿したコンテンツであろうとも、注意を引かれる作りになっている。今や、Facebookのエンゲージメントはネットワーク効果によるものでなく、Facebookがインターネットへの入り口として機能しているからなのだ。

つまりFacebookはTwitterより強力で効果的な独自のインタレストグラフを作り上げる事に成功したのだ。Twitterは今でもNBA Twitterや私のような熱心なジャーナリストなどのニッチな市場を独占しているが、多くの人々はFacebookを朝一番にチェックし、その後の空き時間もそうする事だろう。

Twitterは人々にもう一度サービスを使ってくれるよう説得しなければいけない(そして、それはサービスを初めて使ってもらうよりも難しい)上に、たとえTwitterが素晴らしいアルゴリズムにより作られたフィードを用意しても、人々がFacebookから離れTwitterに戻ってきてくれるかどうかは甚だ疑問だ。

Twitterはここ数年で犯した失敗を取り戻す事はできないだろう。Twitterは特定のニュースやイベント、アフリカ系アメリカ人や日本(特にFBと比較すると)において影響力を未だに維持しているが、そこから成長機会を見出すのは難しい。同社のユーザーベースが成長するとは考え難いため、現在のユーザーベースから収益を出す事に終始する事になるだろう。

さらに、匿名性の高い発信について疑問を呈する声もある。Twitterの濫用もユーザーが離れていった一因だろう。

Ben Thompson explains how Facebook has come to own people’s feeds on mobile in contrast to Twitter, which has lost its user bases.

記事セレクト: Yujiro Numata
翻訳: Ayako Shimatani

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