メディアのプラティッシャー化を加速させる「Medium」徹底解説

Kazuhide Harada
26 min readMay 22, 2015

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by 原田和英

Mediumとは、Twitter共同創業者であるEvan Williams(エヴァン・ウィリアムズ)氏と、Biz Stone(ビズ・ストーン)氏らによって2012年8月にリリースされた新しいパブリッシングプラットフォームです。

サービスの内容よりも、創業者の経歴が注目されることが多いMediumですが、読者を惹きつける美しいフォントや、シンプルなデザインフォーマットを追及することで人気を拡大し、2014年3月時点で月間訪問数は1,300万人を超えています。

また、昨今のインターネットで急速に進むメディアの「プラティッシャー化(コンテンツパブリッシャーのプラットフォーム化)」の流れを把握するうえでも、カギとなるサービスです。

Mediumの沿革

Mediumの創業者は、これまでに「Blogger」「Twitter」という2つの世界的サービスを生み出してきたエヴァン・ウィリアムズ氏です。インターネット分野で既に大きな成功を収めてきた彼が、なぜ3度目のチャレンジとしてMediumを立ち上げたのでしょうか。

TwitterのCEOを辞任した2010年、キャリア全体を通し、人がアイデアを発信するツールを築き上げることに注力してきたエヴァン氏には、自らの原点であるブログプラットフォームに再挑戦したいという想いがありました。

しかし、自らがBloggerを開発した1999年から進化の見られないブログ業界を目の当たりにし、「本当にこれをもう一度やりたいのか」「自分は型にはまっているだけではないか」という葛藤も抱えていたようです。

こうした葛藤を抱えながら、彼はブログ分野に舞い戻ります。Mediumをリリースした直後の2012年11月、GIGAOMが行ったインタビューで、エヴァン氏は

「Twitterの大部分の価値はリアルタイムの特性からきているが、インターネットのすべてのコンテンツが速報的で、一時的なものである必要はない」

と述べています。

彼の言葉が示すように、Mediumのコンテンツはほとんどが長文記事です。中でも、たとえば以下の「The Mercenary」という、傭兵に関するドキュメンタリー記事は、10,000語を超えるボリュームのある記事になっています。

このように、プラットフォームでありながら良質なコンテンツを自ら生産していく点において、MediumはBloggerやTwitterなどプラットフォームとは明確に異なるサービスといえます。

2014年に入り、The New York Times の取材に応じたエヴァン氏は、「最高のアイデアやストーリーが、可能な限り多くのオーディエンスに届く仕組みを作りたい」と語っています。

Mediumをローンチして約2年半が経過したいま、彼の野望は、止めどなく押し寄せるニュースの波を消費し続けることから「一過性ではない、読む価値のあるコンテンツ」に触れることへと、インターネット上の読書習慣をシフトさせることのようです。

  • Bloggerでは、誰もがブログを通してアイデアを形にすることができるプラットフォームを築き、インターネットのコンテンツを民主化しました。
  • Twitterでは、短文形式を普及させ、より多くの人のコンテンツ発信を促進すると共に、リアルタイムという情報発信を実現しました。
  • 3度目のチャレンジとなるMediumでは、いわばTwitterのリアルタイム性では実現しづらい「価値を時間に左右されずに届けることができる、永遠と残り続ける「良質なコンテンツ」を生み出すことができるプラットフォームに挑戦しているようです。

Mediumの現状

創業から約2年半が経過した現在、Mediumはどういう状況なのでしょうか。以下にまとめました。

  • Mediumの内部統計によると、2015年3月の推定月間ユニークビジターは2,500万人(イギリスの老舗経済メディアThe Guardianの、アメリカ国内でのユニークビジター数と同等)
  • ComScoreの調査による2015年4月時点での現在の推定月間ユニークビジターは300万人
  • 2015年4月の月間訪問数は約3,060万人(SimilarWeb
  • 2015年4月の推定PV数は7,069万PV
  • サイトの平均滞在時間は1.56分
  • 1日の記事投稿数は約1,200本
  • 投稿された記事のうち95%は無償での投稿(5%の記事はライターに報酬が支払われている)
  • 従業員数は約40名(2013年11月時点)
  • 2014年1月には初の資金調達ラウンドで2,500万ドルを調達(Google Ventures、Greylock Partners、CODE Advisers、Ron Conway[SV Angel]など)
  • 2014年5月には、閲覧のみに特化したiOSアプリをリリース(2015年3月からは、アプリでの執筆・投稿が可能に
  • 最近では、ベテランジャーナリストを迎え、ジャンルに特化したバーティカル戦略の動きも見せている

最新の伸び率は、推測ではありますが、以下から閲覧できます。

Mediumの特徴

Mediumの主な特徴も紹介します。

ユーザーがコンテンツに集中できるサイト設計

「書く」ということにフォーカスしたUI

Mediumでは、読み手と書き手の両者がコンテンツに集中しやすい環境づくりが徹底されています。そのため、バナー広告やウィジェットなどユーザー体験を遮断する恐れのあるものは一切設置されていません。

Mediumの投稿に関する考え方は以下で紹介されていますが、まさに「Medium は言葉に集中させてくれる」というのが大事にしているポイントのようです。

一般的なブログサービスのエディターにあるような、プラグインやウィジェットといった煩雑な機能をあえて捨て、文章を書くことのみに特化した機能にフォーカスしています。

ユーザー同士の共同作業を可能にする「notes」

その想いを反映したMediumの「notes」という機能は特徴的です。この機能では、一般的なブログプラットフォームとは異なり、単語一語に対してもコメントすることができます。これによって、コンテンツを介してより詳細なコミュニケーションをとることが可能になっただけでなく、ユーザーがストーリーやアイデアを投稿する際に、より細かなフィードバックを受けられる環境も実現しています。

note機能

また、執筆した文章を公開する前に、他のユーザーから文章を添削してもらえる点も特徴です。この点にMediumの持つ「People create better things together」(人は誰かと一緒のほうがいいアイデアを生む)という思想が反映されています。

しかし、ユーザー同士のコミュニケーションを活性化することの弊害として、記事へのコメント等を通して嫌がらせをするユーザーへの対処が問題視されてきました。この対処法として、2015年4月には新たな機能改善として他のユーザーのアクセスをブロックできる機能が追加されました。これによって、フォローの制御や通知のコントロールができるようになりました。ユーザーが自由にアイデアを発信することができるMediumにとって、ユーザー体験の管理もまた、力を注がなければならない分野のようです。

ブロック機能例

自分に合ったオーディエンスの発見

Mediumが一般的なブログサービスと比べて革新的に優れているのは、良いコンテンツであれば、他の人に見てもらえる可能性が高まる点です。

Mediumは独自のアルゴリズムと編集キュレーションを組み合わせ、「興味」や「エンゲージメント」をもとにコンテンツが各ユーザーに届けられる仕組みを作っています。この仕組みによって、プロフェッショナルなジャーナリストから一般人のブロガーまで多様なユーザーが混在するなかで、自分の記事を気に入ってくれるオーディエンスが見つかる可能性が、誰にでも与えられています。

さらに、2015年2月には投稿にタグをつける機能が追加されました。

これによって、各記事がタグごとに整理され、人気の記事はトップのタブに掲載されるようになっています。

自分でブログを立ち上げたことのある人だとわかるかと思いますが、立ち上げ当初はその存在は他の人に知られることはないので、全く見てもらえません。この問題をMediumはアルゴリズムや編集によって、できる限り解決しているのです。

Mediumはユーザー本人ではなく、そのユーザーが発するアイデアの質をより重要視しているのです。この点にも、アイデアが共有されることの可能性を信じるMediumの思想が反映されていると言えます。

著名人による投稿

ユーザーが誰であるかよりも個々のアイデアを重視しているMediumですが、インターネットの分野で有名な人物が書いた記事を読むことができるのも魅力です。人気の記事をいくつか紹介しておきます。

機能や独自のアルゴリズムなどの面に加え、このような著名人による記事もまた、Mediumの人気を支えている要因であると考えられます。

ビジネスモデルについて

そんなMediumですが、いま現在のビジネスモデルはどうなっているのかも調べました。

スポンサードコンテンツ

現時点でMediumの収益モデルは確立されていませんが、2014年7月にはサービス開始から初の収益を挙げるアクションとして、スポンサードコンテンツが導入されました。

BMWによるスポンサードマガジン(パブリケーション)「re:form」では、主にデザインにフォーカスした記事がアップされ、編集主任にはモダンデザイン・建築をテーマに扱うメディア「Dwell」で編集長を務めたSara Rich(サラ・リッチ)氏が就任しています。

re:formでは「The Epic Fail of Baby Car Seat Design」といった車に関する記事も掲載され、契約期間の6ヶ月間は、記事下には「Presented by the BMW 4 Series」という文言とともに、BMWの自社サイトへのリンクが張られたロゴが表示されました。

今回のスポンサードコンテンツの導入について、Mediumの編集主任を務めるEvan Hansem(エヴァン・ハンセン)氏はAdvertising Ageの記事で、Mediumがまだ実験段階にあることを指摘し「(re:formについては)お金のためではなく、あくまで実験」と述べています。

2014年末からはマネタイズを加速

2014年12月には、世界各地にホテルを展開するアメリカのホテル会社Marriott Internationalがスポンサーとなった旅行バーティカルGoneを開始しました。

Marriottとの提携では、4か月間で合計60コンテンツを公開していく予定です。

Digidayが報じた記事によると現在、MediumはGoneを含めて4つのブランド・企業とコンテンツパートナーシップを結んでいるとのこと。また、2015年4月にはVox Mediaの広告責任者であったJoe Purzycki氏をパートナーシップ部門の責任者として迎えるなど、スポンサードコンテンツをさらに拡張していく姿勢を見せています。

独自編集のバーティカルメディア戦略

これまでにも「The Cauldron」「War Is Boring」「The Nib」など、各ジャンルに特化したパブリケーションを公開してきたMediumですが、最近では独自編集チームによってジャンルに特化したコンテンツを作るバーティカル戦略の動きが目立つようになってきました。各分野の動きを見ていきます。

ロングフォーム・ジャーナリズムに特化した「Matter」

良質なプラティッシャーになるべく、パブリッシャーとして機能を強めるMediumの取り組みは、2013年4月のMATTERの買収によって本格化しました。

Mediumが買収した当時のMATTERは、サイエンス・テクノロジーに特化したロングフォーム・ジャーナリズムを追求するメディアでした。Jim Gile(ジム・ガイル)氏・Bobbie Johnson(ボビー・ジョンソン)氏によって、サイエンス、テクノロジー分野での徹底的な調査報道によって、インターネットを通した新しいジャーナリズムのあり方を実現することを目指したメディアです。

2012年にKickstarterで2,500人のサポーターから約14万ドルの資金援助を受けてスタートし、初期の支援者のなかにはMediumのCEOであるエヴァン氏も名を連ねていました。

買収後、MATTERはサイエンス、テクノロジー以外にも、ポップカルチャーや政治等に関する人々や問題についてをユニークな視点で伝えるメディアとなっています。なお、Matterの創始者であるジョンソン氏はシニアエディターとして引き続き徹底した調査報道を続けています(もう1人の創業者であるガイル氏は独立したようです)。また、編集長にはGQやニューヨーク・タイムズに在籍していたMark Lotto(マーク・ロット)氏が就任しています。

一過性ではない持続的なコンテンツを世の中に広めることをミッションとするMediumと、インターネットでのジャーナリズムのあり方を模索するMATTER。メディアとジャーナリズムの融合を考えるうえでも注目したいですパブリケーションです。

音楽ジャンル「Cuepoint」

アメリカのヒップホップマガジンのパイオニア「The Source」の共同創業者であるJonathan Shecter(ジョナサン・シェクター)氏を迎え、2014年9月から音楽分野の独自編集を強化「Cuepoint」というメディアを立ち上げています。

Re/codeの記事にによれば、ジョナサン氏が率いる編集チームには音楽業界の批評家として有名なRobert Chtistgau氏など複数のライターが在籍しているようです。

これまでYouTubeやSpotifyなど、デジタル音楽コンテンツを配信するサービスに比べ、音楽をテーマにしたメディアが成功した例は多くありません。「Cuepoint」が今後どうなっていくのか注目されます。

テクノロジーに特化した「Backchannel」

2014年10月、WIREDの幹部であり、テックノジャーナリストとして活躍してきたSteven Levy(スティーブン・レビィ)氏が中心となって立ち上げられたのが、「Backchannel」です。同年6月にMediumへの移籍を公表した以下の記事で、レビィ氏はMediumで新しいテックハブをつくる意気込みを語っていました。

の時点で新サイトでの編集方針などは明らかにされていませんでしたが、サイト公開に際して書かれた「Why I Started Backchannel」で、レビィ氏はテクノロジー関連の情報が多すぎて氾濫状態にあることを指摘し、新たなテックサイトの方針について「全ての話題をカバーするのではなく、テクノロジーに関するオリジナルのストーリーを毎日少しずつ発信していく」としています。

実際に、レビィ氏は「If there’s nothing original to say, we’ll keep quiet」(オリジナルのニュースがなければ、私たちは沈黙を通す)と述べており、Backchannelで他のメディアにはない質の高いコンテンツを作っていく意思を表明しています。

なお、Mediumで経営企画/戦略部門のトップであるEdward Lichty(エドワード・リッチー)氏は、サイト公開の段階では音楽パブリケーション・テックパブリケーションともにスポンサーはついていないことを明かしており、Mediumのマネタイズに対する関心度が、現段階で高くないことが窺えます。

「プラティッシャー」としての可能性

Mediumが特定のジャンルにフォーカスしたコンテンツを拡張する流れにあることを受け、コンテンツプラットフォームとしてスタートした彼らが、自らコンテンツを作るパブリッシャー側に近づき、「プラティッシャー」の立ち位置にあるという見方があります。

プラティッシャーとは?

プラティッシャーとは、SuliaのCEOであるJonathan Glick(ジョナサン・グリック)氏が提唱した言葉で、プラットフォームとパブリッシャー両方の特性を兼ね備えたメディアを指します。Nieman Journalism Labの記事で、彼はプラティッシャーの定義を以下2点に分けて解説しています。

  1. コンテンツを作るシステムを広く外部(セレブリティー、知識人、政治家、他のパブリッシャー、ブランドなど)に開放しているパブリッシャー。
  2. コンテンツを作るためにエディター、キュレーター、ライター、クリエイターを雇用、または彼らに資金提供するオープンプラットフォーム。

ユーザーがストーリーやアイデアを発信する場として機能していることから、Mediumがプラットフォームであることは疑いようがありません。

ただ、彼らが従来のプラットフォームと本質的に異なるのは、良質なプラットフォームを作り、その上で良質なコンテンツを生産していく取り組みです。単なるプラットフォームではなく、自分たちもコンテンツを作り発信する。Mediumのプラティッシャー化の動向は、今後のメディアのあり方を考えるうえでも重要になっていきそうです。

他のプラティッシャー

ビジネス・ライフスタイル・テクノロジーをテーマにするプラットフォーム「StackStreet」でも、Mediumと同じく外部の寄稿者の記事を活用する動きがみられます。

2014年6月にリリースされたばかりの新興メディアですが、ミレニアル世代(1980~90年の間に生まれた最初のデジタル世代)をターゲットに、外部からの寄稿記事によってコンテンツを拡大しています。

Digidayの記事によると、現在StackStreetは350人の寄稿者を抱えており、サイトへのトラフィックのうち65%はソーシャルからの流入となっているようです。また、寄稿者からの記事が検閲なしでサイトに公開される仕組みになっているのも特徴です。

現在のところ、サイトの寄稿者に報酬は支払われていませんが、サイトの広告収入が上がってくれば、サイトへの貢献度が高いライターに対して、有償でネイティブ広告記事を書く機会が提供される予定です。

また日本でも、経済情報に特化したニュースキュレーションメディア「NewsPicks」は、独自記事の配信を開始しました。具体的には、インフォグラフィックを活用した「Google買収戦略 20の事実」といった記事や「大企業でイノベーションが起きない理由」などの対談記事、「スポーツジャーナリズムの危機」といったジャーナリズム的な記事など、バラエイティに富んだ記事を見ることができます。

パブリッシャーによるユーザー投稿の活用

メディアのプラティッシャー化の文脈とは必ずしも一致しませんが、コンテンツを生産する手段としてユーザー投稿を利用する動きはインターネットメディアで増えてきました。

ニューヨーク・タイムズの記事で、この流れがよくまとまっていたので、ポイントのみを紹介します。

  • コンデナストは旅行系で特定のライターの投稿受付を8月に開始
  • TIMEでは、テレビファンがエンタメコンテンツに寄稿できる
  • レシピサイト「Food52」は29,000にも上るレシピ記事を抱えていて、その9割はCGM

また、月間の記事投稿数7,000~8,000本、ユニークユーザー6,350万人(2014年1月時点)を抱えるビジネスメディア「Forbes」でも、新戦略のひとつとして1,000名以上の新規ライターを獲得し、コンテンツの多様化を図る動きがあります。

このスライドの34ページ目がその説明にあたります。

さらに、2014年5月にリークした資料である「New York Times Innovation Report」によると、ジャーナリズムの代表格であるニューヨーク・タイムズでも、ユーザーのエンゲージメントを高める施策としてユーザーからの寄稿の活用を検討しているようです。

同資料には、メディアとユーザーとの間でツーウェイの関係性を深めサイトへのエンゲージメントを高めることを目的として、テーマごとの寄稿セクションを拡大し、政治・ビジネス・文化といった各分野のエキスパートからの投稿記事を掲載するアイデアが記されています。

ユーザー投稿の問題点

しかし、CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)をユーザーに開放したオープンプラットフォームは、コンテンツの管理に大きな課題を抱えてます。

実際に、ゴシップ・女性ファッションサイト「Jezebel」ではユーザーによるポルノ投稿が相次ぎ、Jezebelを運営するGawker Mediaは、ユーザー投稿型プラットフォームであるKinjyaの一部機能を停止せざるを得ない状況になってしまいました。

ユーザー投稿を活用することでコンテンツの多様化を図る動きは各メディアで増えてきましたが、これがメディアを成長させる絶対案であると言い切ることはできないようです。

コンテンツ作成者との持続可能な関係

ユーザー投稿を活用するメディアとしてMediumが頭を悩ませているのが、コンテンツを作るライターとの持続可能な関係性の問題です。

Mediumはこれまで、良質なコンテンツを作ることを目的として、特定のライターに対して記事のクリック数に応じて報酬を支払っていましたが、このシステムは十分に機能する施策ではありませんでした。実際、2014年5月には、「女性」にフォーカスした有償パブリケーションである「LadyBits」の編集者が、報酬の格差、不安定なプロダクトの変化、サイトの成長やエンゲージメントに対する分析の甘さなどを理由にチームを離脱しています。

この問題を受け、Mediumでは2014年7月からエンゲージメント(読者の記事への消費時間)をベースにした支払方法が導入されていますが、PV以外の記事指標についてもさまざまな問題があるようです。

BuzzFeedが報じた記事によれば、Financial Timesでは時間を基準にした広告枠の販売が行われており、UpworthyではPV以外の指標として「アテンション時間」が導入されているようです。

しかし、同記事でGawkerの編集ディレクターJoel Johnson(ジョエル・ジョンソン)氏は、

「私たちが本当に測りたいのは、満足度を通したエンゲージメント。時間はその一部になる可能性があるが、わからない」

と述べており、時間ベースの記事指標はあくまでオプションとして捉えられているようです。

記事の指標を時間にする試みはまだまだ実験段階と言えます。消費時間をベースにしたMediumの新しい記事指標がどのようにワークするのかが注目されています。

新しいコンテンツプラットフォームである「Medium」を軸に、プラティッシャーなどのメディアの新しい潮流を紹介しました。メディア業界でもまだまだ大きな変革は続きそうです。

※この原稿は2014年10月に社内用に作成したものをブラッシュアップしたものです。記事制作にはnanapi 事業戦略室のメンバーがヘルプしてくれました。

参考

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Kazuhide Harada

nanapiのCMOを務めています。 慶応義塾大学法学部卒。アクセンチュアやベンチャー、起業、グリーを経て、nanapiに参画。 ※nanapiではマーケティング人材を積極募集中です。 nanapiマーケティングブログ:http://blog.nanapi.co.jp/marketing/