日本的な働き方や雇用環境だと、欧米と差が広がるのは仕方ないと思う(良くも悪くも)
今さら「終身雇用がどうのこうの」というつもりもないのですが、ロンドンに行ってローカルのプロダクションやエージェンシーとミーティングしたり、メシを食いに行ったりしていると、
「日本的な働き方や雇用環境だとグローバルで戦うには厳しいだろうな~」といつも思っています。
(ボクみたいに英語下手でもそう思います。)
私見だからいろんな意見があると思いますし、いろいろな職種があるので、まったく一概には言えるようなものではないのでそこはご容赦を。
成長期には日本的働き方で役割分担をし、一生一つの会社に勤め上げる美学が高い成長を産み出しましたが、今みたいに変化が激しくなると、均一な人が集まる組織の中で、個人がゆっくり変化していてはどうにもならない。
欧米に行って現場でいつも感じることは次のようなことです。
1, 個人が変化を取り入れ、変わろうとする傾向が強い。
常に変化して自分を成長させていかないと会社からスグ干されしまう(ような雇用環境にある)。そのことを会社も個人も認識している。
2, 終身雇用という概念が薄く、仕事を失うリスクと背中合せ
ずっとその会社にいられるという保証がそもそも薄いので、自分でなんとかしなければと考える人が多い。だからフリーランスも圧倒的に多い。
3, 考え方の違う人達とダイバースに働かなければならない。
決して阿吽の呼吸な人たちとは限らないろいろな背景を持つ仲間と仕事をするので、適材適所とジョブデスクリプションが明確化され効率的な仕事をする
4, 限られた時間の中でとにかく終わらせる。
とにかく時間までに終わらせることが重要なミッションなので、クオリティにはギリギリまでこだわるが、いったん期限が過ぎると次のミッションに移り、終わったことは多少の不出来なことも受け入れる。残業が当たり前ではない世界を痛感。
5, 年齢は気にせず、実力あれば認め、実力なければ干される
欧米のIT系の会社では年齢の高目な人も現場でばりばり活躍されています。プロジェクトの中で力を発揮できるのであれば年齢に関係なく起用されるし、力を発揮できないのであれば起用されない。この年齢を気にしないシンプルさは終身雇用と対局にあるような気がします。
6, プロジェクトごとのチームアサイン
特にIT系ではプロジェクトマネージャをクライアント側に置いて、その他のメンバーは各社から、もしくはフリーランスの人たちから、プロジェクトチームが組まれることも多い。
7, 良くも悪くも1人で全体を担当する場合が多い。
エンジニアがフロントエンドとバックエンドが別れていないように、デザイナーでもデザインとマークアップが別れることは少なく、自分の強みは活かしながらも、全体に携わることが一般的で、分業で行うモノづくりとはアウトプット自体も異なり、属人的だがクリエイティブに富む場合が多い。
8, 英語圏ならではの有利さがある。
デジタル・プラットフォームは英語圏のものがスタンダートになっているので、新しいアプリケーションにしても、新しいデバイスにしても一般の人たちが楽しみながら使っているように見えます。個人のITリテラシーという意味では、かなり有利と感じます。
私たちは、どんなふうに働いていくか
まず終身雇用的な概念を頭から無くすことが一番大事だと思う。(いろんな職種があり、インフラ系に携わっておられる方などは終身雇用でキャリアを積んでいただかないとならないので、一概に言えるものではまったくなく、あくまでも自分が身を置くITとかインターネット/デジタル業界とかに限定しようと思います)。
IT系の仕事だと、伝統産業のようにキャリアを積めば積むほどベテランになれるわけでもなく、士業のように年数を重ねれば信頼が増すわけでもないので、自分で自分の道を切り開いていく必要が出てきます。
今どんなに儲かっているIT系の会社でも、大きかろうが小さかろうが、本人の実力と関係なく日本的に定年まで雇用し続けることはほとんど考えられない、とボクは強く思っています。
それは市場で著しく競争力を失う結果に繋がるので、会社自体が傾いてしまいかねない。
大きな会社も小さな会社も、そんなことは声を大にして誰もあまり言わない。
言わないことは不誠実なことだとボクは考えてきました。
だから避難されても声を大にして言おうと思うのです。
IT系に携わる人は、上場企業にいようが、非上場の企業にいようが、いずれ独り立ちして食っていく(フリーランスでもパラレルでもプロパーでも、組織に属していても居なくても)くらいの心づもりがちょうどいい。
働き方の呼び方などは何でも良いですし、また、契約の仕方なども大きな意味を持ちません。大事なことは、「たとえ1人になったとしても食っていける自信」を持つことだと思います。
実力があれば年齢は関係なくなる。
会社の寿命が30年とはよく耳にするフレーズですが、30年も立てば人も含めて何もかもが老朽化して変化に対応できなくなり市場で戦えなくなってくるわけです。
老舗の企業が今苦しんでいるのは、古参の人たちが頭じゃわかっちゃいるけどなかなか変化に対応出来ない、それほど変化が激しい時代になっているということですね。(自分も含め、特に今の50代はアナログとデシタルの過渡期に出来たかなり厄介な世代なんだと思います。)
逆に考えると
変化に対応して
実力さえあれば
欧米のように年齢は関係なくなるはずです。
スペシャルか、ゼネラルか、どちらでも大きな意味でのクリエイティブやグランドデザインの力が要る
今はどんどんスペシャルに傾いているように思います。
テクノロジーのお陰で、マネジメントの必要性が著しく小さくなったのでゼネラルな段取りマンよりスペシャルな人が求められるのも自然な流れかもしれません。
最近はクライアントからもスペシャルなヘルプを求められることが多い。
ただ、この専門性がなかなか曲者で、特にIT系は時間とともにスペシャルが陳腐化してしまう。
そこは エッジサイクル をどんどん回していくしかないのだと思います。
自分の目指すタイプを見極めて、自ら試行錯誤して、自ら道を引いていくこっとこそが大事です。
試行錯誤こそが成長そものもですから。
いずれ独り立ちして食っていく(フリーランスでも、組織に属していても、パラレルでも、何でも)くらいの心づもりが良いと思う。
そして人工知能的な数学的計算式で表せないであろう(と自分で信じる)クリエイティブやグランドデザインを自分の取り入れていくべきなんだと思います。
会社が出来ること
「雇用を守り続ける」ことは企業の大きな使命であることは疑う余地すらありません。
ただそれを目的にしてしまうと船ごと沈没しかねません。
一人ひとりの置かれた状態が違って当たり前なので、十把一絡な皆に当てはまるような魔法の杖は無く、一人ひとりにあった未来を切り開いていくことが大事だと考えています。
※アムステルダムとロンドンの出張の帰りの飛行機の中でと書いています。飛行機のWiFiもなかなかクオリティ高く接続が良くなりました。