フィンランドに住む準備(1年間の在外研究)6:ヘルシンキ地域の公共交通事情

Hiraku Sakamoto
Happy Mom, Happy Family
5 min readApr 25, 2020
【本シリーズ共通の序文】Happy Mom Junonのオットです。日本の大学に所属する研究者です。2019年夏から1年間の予定で、フィンランドAalto大学にて在外研究のため、家族(妻・子供2人)と共にフィンランド(ヘルシンキ)に滞在しています(執筆時点(2020年4月)では、新型コロナウィルスのため外出自粛中ですが)。ここでは私たちがフィンランドで生活を開始するにあたって特に困ったこと、どう解決したかの記録を残しておきます。今後、ますます多くの研究者がフィンランドと日本を往来して共同研究を盛んにする、そんな未来の実現の一助となれましたらと思います。本記事の内容は2019年夏時点でのスナップショットですので、実際の渡航にあたっては自身で最新情報をご確認ください。

今回はヘルシンキ市(~エスポー市)の公共交通について。フィンランドに来るまで、本当に乗用車を購入/リースしなくて大丈夫なのかなど、正直よくわからないままでした。

もちろん乗用車があれば便利だとは思いますが、結果として私たち家族は現在まで、公共交通(HSL)だけで快適に生活できています。HSLは、ヘルシンキ市および(Aalto大学がある)エスポー市をカバーするトラム(路面電車)・電車・地下鉄・バスの交通網で、A、B、C、Dの4つのゾーンに分かれています。

詳しい情報は、HSLの英語サイトが充実していますし、日本語の旅行本などにも記載されていますので、ここでは個人的に重要と考えるポイントだけを書いておきます。

・スマートフォンのHSLアプリがたいへん便利なので、ヘルシンキに来る前にあらかじめインストールしておくとスムーズ。オンラインで切符を買えるため、券売機を探したりする時間を節約できる。

・ただし、シーズンパス(定期券)を割安に買うにはHSLサービスポイントを訪れ、HSLカードの購入が必要である(後述)。

・トラム、電車、地下鉄には改札はない。ときどき抜き打ちの検札があり、適切に料金を払っていないと罰金を支払う。バスのみ、搭乗時に運転手の横にある改札機にHSLカードを「ピッ」とするか、スマートフォンアプリの画面(切符の有効期限だとアニメーションが動いている)を運転手に見せる。

HSLカード/シーズンチケットの購入

HSLカード https://www.hsl.fi/en/information/hsl-card にプリペイドでチャージしておき、交通機関を使用するたびに(80分間など有効なSingle Ticketや、1日間有効なDay Ticketなどを)アクティベートする、という使い方もできますが、重要なのはSeason Ticketが買えることかと。

若干ややこしいのは、HSLカードには「Personal HSL card」と「Multi-user HSL card」があります。後者は売店などで変えますが、前者は、本人の身分証明が必要なため、ヘルシンキ中央駅など限られた場所にあるHSLサービスポイントでしか買えません。

そして、Season Ticketは、「Personal HSL card」で購入すると、「Multi-user HSL card」で購入する場合の、おおよそ半額で購入することができます。

「Personal HSL card」を購入するためには、第2回の記事で紹介した住民登録(Maistraatti)が完了している必要があります。その上でHSLサービスポイントに行くと、身分証(パスポート)提示が求められ、本人確認の上で購入できる、という仕組みでした。

リフレクタの使い方

そのようにしてPersonal HSL cardを晴れて購入できましたが、その際、カードと一緒に反射板(リフレクタ)がついたカード入れをもらいました。もらったときは「何これ?」という感じでした。ところが、これがとても重要でした。

HSLカード(下)と、リフレクタ付きカード入れ(上)

緯度の高いフィンランドでは、冬場の11月ごろから日の出が遅く、日没が早くなります。結果、活動時間の大部分が暗闇の中となります。

バスはすべての停留所で停まるわけではなく、待っている人がいる停留所だけで停まります。したがって、暗闇の中でも、「停留所で待ってるから!」と運転手にアピールしないと、バスが停まってくれないわけです。

実際、何度かバス停でバスにスルーされてしまいました…。

フィンランドの人たちは、カード入れのリフレクタや、スマホの明るい画面を運転手に向けて運転手に合図を送り、バスをうまく停めていました。まさにところ変われば。

いろいろなデザインには、その土地に応じた理由があるんだなあとしみじみ感じました。

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Hiraku Sakamoto
Happy Mom, Happy Family

Associate Professor; Engineering Sciences and Design (ESD) Graduate Major, Department of Mechanical Engineering, Tokyo Institute of Technology, Japan.