鎌倉と海

海辺のある古都、鎌倉

Yukiyo Matsuzaki Smith
Kamakura Mind
6 min readJun 21, 2020

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梅雨の合間の晴れ間
こんにちは!
梅雨の真っ只中の鎌倉。先週は梅雨と梅について書いたばかりだったのですが、その翌日から30度近くにまで気温が上がり、蒸し暑い夏日が続きました。急に暑くなったので体がついて行かず、予定していたお茶室のお掃除会も、鶴岡八幡宮から北鎌倉へ抜けるきつい巨風呂坂の手前でリタイア。大量に干された洗濯物を横目にみながら、扇風機の前でじっと過ごしました。気持ちはまだ梅雨なのに、外は急に夏が始まった感じでした。

巨福呂坂

三方を山で囲まれ、南は海に面する鎌倉
そしてその翌日も夏日。体は昨日より楽になったので、いつもの散歩の代わりに自転車で海まで行くことに。さっと15分程度。刺さるような日差しのエネルギーに耐えられるか少し不安はあったのですが、とりあえず海へ。

鎌倉市街と 南側の海

鎌倉は北、東、西三方を山に囲まれ南は海に面している町。同じく古都である京都・奈良はない特徴です。鎌倉ではお寺や神訪れたり、町歩きをしながら歴史や文化を感じ、最後は海辺で夕日を眺めて鎌倉での1日を終える。。そんな旅ができる古都、鎌倉。
近くに住んでいれば、仕事の合間に海までひとっ走り。仕事の前に海岸沿いをランニング、もしくは一波乗れてしまいます。

鎌倉の海水浴場
鎌倉には材木座、由比ヶ浜、腰越の3つの公共海水浴場(地図)があります。もちろん夏がピークシーズンですが、季節関わらず、サーフィン、カヤック、セーリング、ウインドサーフィンなどを楽しむ人々で賑わいます。由比ヶ浜海水浴場は毎夏多くの人が集まる、全国でも有名な海水浴場です。

昨年は天候不良のこともあり、夏の海水浴客数は約35万人。例年の約半数程度でした。鎌倉駅から由比ヶ浜へ向かって歩く(主に)若い人たちの人の波は鎌倉の夏の風物詩の一つだと思います。私たちはその人混みをさけ、もっぱら材木座海岸へ向かいます。材木座海岸の方が落ち着いていて小さいお子さんのいる家族向けだと思います。

例年ちょうどこの頃、7月の海開きに向け、海水浴場には様々な海の家の建設が始まります。昔ながらの昭和な雰囲気を醸し出しているもあれば、大企業がスポンサーになっているおしゃれな海の家もあります。しかし今年は密集を避けるため、苦渋の判断で海水浴場は閉鎖される事に。もう一の鎌倉の夏の風物詩である花火大会ももちろん中止。今年の夏はいつもの鎌倉の夏の海とは違う風景になりそうです。来年の再開が待ち遠しいです。

鎌倉における海水浴の歴史
鎌倉時代(1185–1333)に遡ると、由比ヶ浜では流鏑馬など、武術の練習場であったようです。そして海水浴の本格的な導入に大きな影響を与えたのが、「日本近代医学の父」と呼ばれるドイツ人医師、エルウィン・フォン・ベルツ(1849–1913)さん。明治時代に日本に医師として招かれ、逗子・葉山を始め相模湾沿岸地域を保養地として活用するよう政府に薦めた方。それがきっかけとなり、海水浴客が増え始めたそうです。夏目漱石の「こころ」にも海水浴客で賑わう由比ヶ浜の様子が描写されています。

戦後昭和20年後半から東京オリンピックが開催された昭和39年は最盛期を迎え、海水浴客は300万人を超え、1日に40万人!も訪れる日もあったようです。本当でしょうか?想像を絶します。

ある日の海辺にて。時代劇撮影中?

海側と山側
海側は山側と明らかに違った空気が流れています。自転車で海へ向かい、波打ち際に立つと、頭の中で駆け巡っていた心配事や、頭の中の絡んでしまったあやとりの紐のような思考が、サーっと流れ出し、溶けていくのがわかります。そしてあんな事、こんな事も「ああ、まあいいかー。どうにかなるね」と思ってしまうのです。不思議な海の力ですね。
ピンと張っていた糸を緩ませ、頭の中のあーだこーだをリセットしてくれる海。これはベルツさんも気づいていなかった海の効能ではないでしょうか?(笑)海を目の前にすると、私たちはちっぽけな人間ですよね。

海に向かって「ばかやろー」と叫ぶという典型的なドラマのシーンも気持ちがよくわかります。海でのココロ解放セラピー。次回海辺にいらした際は是非試してみてください。

一方、山は自分の内側と向き合う時間を作ってくれます。海のような開放感とは真逆です。だから禅寺は山にあるのでしょうか?? 確かに広々とした海岸にある禅寺ではなく、奥まった山奥にある禅寺の方がしっくり来ます。開放感のある海と、自分と向きあう時間を作ってくれる山。その両方が味わえる鎌倉。やはり鎌倉はいいなあ。今日も感謝!

建長寺

海の思い出
約50年近い私の人生、私の周りにはいつも水辺、川や湖、海がありました。その中でよく思い出すのが、毎夏家族で訪ねていた南房総の祖父母の家の近くの海。鎌倉の穏やかな海と違い、荒々しい波の打ち寄せる外房の海。泳ぐには危なすぎる程力強い波なので、裸足になって妹や両親と手を繋ぎ、波打ち際で足だけ海につけ、波が打ち寄せる度にきゃーきゃー騒いだ楽しい思い出。鎌倉の海に足をつける度に、その懐かしい思い出が蘇ります。

鎌倉の海 ー まだまだ話し足りない事が沢山あります。漁師さんたちのこと、海岸で繰り広げられた様々な戦い、浮世絵、マリンスポーツなどなど。。また時をみてお話ししたいと思います。

お読みいただきありがとうございます!
鎌倉より愛をこめて。

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写真: Alexander O. Smith

参考
由比ヶ浜
鎌倉市記者発表資料(1–131)
鎌倉にゆかりのある方にお話を聞く…第10回 My 鎌倉

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Yukiyo Matsuzaki Smith
Kamakura Mind

Director of Kamakura Mind — Experience Japan in Kamakura, ancient capital of Japan, 1 hr from Tokyo, cradle of Zen. 米国に約10年居住。米国人の夫・2児と共に8年前鎌倉に移住。日本文化体験事業経営。