都市論の潮流はどこへ―シリーズ開始にあたって

連載【都市論の潮流はどこへ 第0回】/都市論小委員会/Series : Where the urban theory goes? 00 / Urban Theory Subcommittee

松田達 / Tatsu Matsuda
建築討論
3 min readMar 2, 2018

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Chicago, from John Hancock Center / Photo: Tatsu Matsuda

都市論小委員会は「都市論の潮流はどこへ」という連載を、これから展開します。都市論は、建築論を大きく包含しながら、時に建築論そのもののエピステーメーを大きく変貌させる役割も担ってきました。田園都市、アテネ憲章、錯乱のニューヨークなど、その後の建築論に影響を与えてきた都市論は少なくありません。そこで、都市論小委員会では、建築論に影響を与える都市論の役割に注目し、現代の都市論の最前線を探求していきます。

「都市論の潮流はどこへ」では、最初の数回で、まず20世紀の都市論を振り返ります。20世紀における都市論の展開を理解するため、1910年代と1960年代という二つの時期に注目します。1910年代に20世紀前半の都市論の枠組みが定まり、また1960年代に20世紀後半の都市論の枠組みが定まったと考えているためです。1910年代は、欧米各国で「都市計画」という概念が成立した時期です。都市計画が学問として成立し、また国際的に都市計画に関する様々な人的交流が進められていきました。1960年代は、戦後の経済発展を背景に、都市計画の想像力が最大限に発揮された時期です。前衛的な都市概念が次々に提示されるとともに、モダニズムがポストモダニズムへと変質する転換期となった時期でもあります。

その後の数回では、2010年代の状況が示す、21世紀前半の都市論を考えます。つまりいま我々が生きている時代から、21世紀前半、今後の都市論の展開可能性を読み取っていこうというわけです。そのため21世紀の都市論につながるブレークスルーがどこにあるのかを、様々な観点から探っていくことにより、21世紀の都市論の見取り図を描いていきたいと思います。

都市論の潮流はどこへ向かうのか? 都市論小委員会では、今後の都市と建築の展開をにらみながら、その行方を探っていきたいと思います。

都市論小委員会メンバー(2019年6月〜2021年5月)
松田達(主査、武蔵野大学専任講師)
笠置秀紀(ミリメーター共同主宰)
木村浩之(京都工芸繊維大学 KYOTO Design Lab 特任教授)
佐野浩祥(東洋大学准教授)
中村航(Mosaic Design代表、明治大学IAUD教育補助講師)

都市論小委員会メンバー(2017年6月〜2019年5月)
松田達(主査、武蔵野大学専任講師)
笠置秀紀(ミリメーター共同主宰)
片桐悠自(東京理科大学助教)
木村浩之(Diener & Diener Architekten元所員)
佐野浩祥(東洋大学准教授)
中村航(Mosaic Design代表、明治大学IAUD教育補助講師)

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松田達 / Tatsu Matsuda
建築討論

まつだ・たつ/1975年石川県生まれ。建築学・都市学。建築家。静岡文化芸術大学デザイン学部准教授/1999年東京大学大学院工学系研究科建築学専攻修了。隈研吾建築都市設計事務所を経て、パリ第12大学パリ・ユルバニスム研究所にてDEA課程修了。東京大学先端科学技術研究センター助教等を経て現職。