電線が空を区切っているさまにグッとくることがある。とくに直線でなく曲線の姿がいい。
今朝は、ある差し迫った用事で自転車を走らせるところから始まった。解決しなくても他人が傷ついたりすることはない私の極私的小事を片づけようとしていたのだが、小事とはいえ解決の目処がないままペダルを漕いでいる時の焦燥は、じんわりと心の体力を削いでいく。
信号待ちで立ち止まった足元にこれがあった。車道と歩道を分ける縁石に取り付けられた反射板が何かにぶつけられて割れているところ。
この波打ち際から海に入り、足の着くぎりぎりの深さに立って沖のほうを見ていたのが一番古い記憶で、その時見ていた沖の海の光景を中学生の頃までは思い出すことができた。それから二十年ほど経った今はもう、「あのとき見た海を思い出すことができたことを覚えている」という風に記憶が一段遠ざかってし…
夕陽の光の帯の上に薄っすら見えるのは、猫の島として有名になった青島の影。
瀬戸内には、猫密度が異常に高い「猫の島」がいくつかあるらしい。藤原新也氏が1998年に書いた『藤原悪魔』という本には瀬戸内の猫の島をハシゴしたエッセイがあるが、そこに青島の名前は…