DeFiとは何か?なぜ必要なのか?

Kaz Kobayashi
KYUZAN
Published in
7 min readApr 8, 2019

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この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
原文:What is DeFi and why do we need it?
著者: Evgeny Yurtaev

今日では金融業界の分散化が進んでいます。分散型金融(DeFi)は、経済をよりオープンなものにする原動力となる可能性を秘めています。

金融市場は、優れたアイデアを実現し、社会の繁栄を促進することができますが、その金融の力は集中管理されています。ほとんどの人は、どんなプロジェクトが資金提供を受けるかという決定に携わることができず、そのプロジェクトが創出した利益の内の、ほんの一部しか得ることができません。

世界的なVC資金の半分以上がアメリカの新興企業に投資されていて、さらにそのような企業の大部分は、サンフランシスコやニューヨークのような少数の都市にしかありません。また、アメリカでは株式の93%を全体の20%の人が保有しており、他の多くの国々の人にいたっては株式市場にアクセスすることすらできません。金融は世界経済の中核を成すものですが、オープンなシステムではないのです。

集権型ファイナンスの仕組み

この背景には、一般の人々が資産の管理を銀行やその他の金融仲介業者に任せ、市場におけるお金の運用をプロである彼らに任せていることにあります。これは、「プロの方がより高い収益を出し、資産の所有者もより利益を得ることができる」という考えに基づいています。

その結果、管理とリスクがシステムの中心に集中してしまっています。2008年の住宅バブルを考えれば、経験豊富であるはずの銀行家たちも、市場のリスクを見逃している可能性があり、あてにならないことがわかるでしょう。彼らがすべてのお金を管理すると、リスクが中心に一極集中し、システム全体が危険に晒されるのです。

不完全な分散化

サトシ・ナカモトは、個人が自分で資産を管理できるように、仲介者なしのピアトゥピアの取引決済を世界中で行うための初のソリューションとして、2008年にBitcoinを作成しました。しかし、Bitcoinなど初期の暗号通貨は、金融システムへのアクセスはできず、お金の発行とその保管を分散化するだけでした。

現在、暗号分野では、際立った2つの大きな問題があります。第1に、プロトコルは分散化されて、コンセンサスアルゴリズムに基づいていますが、システムへのアクセスポイントの多くは依然として集権的に管理されていることがあります。2つ目に、ほとんどの暗号化プロジェクトは、非常に集中した一部の組織や企業によってのみ管理されており、その多くは透明性やアカウンタビリティを欠いていて、エコシステムの新しい部分の開発をオープンにしていません。これらの問題もあり、ブロックチェーンはまだ金融業界で広がりを見せていないのです。

アクセス問題

当然ではありますが、金融分野や暗号通貨のように、参加者が高度な知識と参入の機会を必要とする分野は、世界の多数の人に向けてオープンにされているわけではありません。

それでも、金融が果たしている重要な役割と、ブロックチェーンベースの金融が将来的に世界経済に果たすであろう役割を考えると、多くの人々が業界から締め出されている現状は憂うべきでしょう。多様性は意思決定に大きな影響をもたらすのです。金融システムが初めから公平でよりオープンであったならば、我々は課税をめぐる多くの問題や争いを避けることができたでしょう。

今までと同じように、資産管理から締め出されている現状を甘受しているだけでは、何も解決されません。私たちの資産と、それらの決定権を管理するためのツールを構築し使用していく必要があるのです。

分散型ファイナンス(DeFi)

多くのフィンテック企業や次世代の銀行は、顧客の資産管理権を強化することを保証しています。しかし、これは誤解を招く可能性があります。これらも結局のところ、多くの場合で資産の管理は銀行が行なっていますし、顧客は資産を大切にするために銀行を信頼しているからです。彼らの提供する分散型ファイナンスは、より速くより便利ですが、古い銀行と本質的に違いがないのです。

本当の意味でのディスラプションは、個々人が資産とアクセスを完全に管理することによってのみもたらされます。そして現在のテクノロジーを使えばこれを実現することができます。革新的な金融商品のビルダーは、分散プラットフォームを介して資産を交換するためのオープンソースプロトコルを開発しています。この新しいプラットフォームには、既存のものと比較して2つの大きな利点があります。

第一に、人々は資産の管理をする際、仲介業者を必要することなく、既存のものを含めて、新たな価値の形を貯蓄することができるようになります。このプラットフォームには誰でもアクセスすることができ、そこに集権的な管理はありません。

第二に、すべてのプロトコルはオープンソースであるため、誰でもそれを基に新しい金融商品を構築でき、世界中の人々が協力して新たな価値の形を創出することができます。多くのユーザーとビルダーがこのプラットフォームに移行すればするほど、これまでにないスピードで革新が起こり、強力なネットワーク効果がもたらされる可能性があります。

分散型ファイナンス(DeFi)は、個々が自分の資産の唯一の管理人であることを保証する、一連の金融媒体および市場をすでに提供しています。

今日では、これらのプロトコルはすべてEthereumのスマートコントラクトを基盤としています。最も有望で先進的なものは以下のとおりです。

今はまだ、これらの市場は小規模ですが、個々が価値の貯蓄をプラグラム上でできる、初めての国際金融市場となる見込みがあります。この素晴らしいリストを確認すれば、そのようなプロジェクトの全てを見ることができます。

これらのアイデアを比較し、より理解するために、財務の機能がDeFiによってどのように改良されるのかをリストにしました。

異なる金融サービスにおける、従来型/FinTech/DeFiの比較

市場参入の方法について説明する前に、分散型金融の基礎となるプロトコルについて説明します。次週は、ここで述べたプロトコルと、それらが現状のものより優れている理由を紹介します。

上で述べた金融は、集権的な管理と不平等なアクセスを受け入れない、知識があり、批判的で、熱心な人々のためのものです。参加しませんか!

ステーブルコインに関するPart2はこちら

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この記事は原著者の許可を得て翻訳・公開するものです。
原文:What is DeFi and why do we need it?
著者: Evgeny Yurtaev

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