すべての本棚を「本屋さん」に

Tsutomu Kawamura
Librize
Published in
6 min readSep 3, 2018

夏の間に「書店コード」を取りました。そう、こぎつけるまでが長かったのですが、「本屋さん」はじめます!

今日の記事はその報告と、一緒に「本屋さん」やりませんか? のお誘いです。以下、うちのカフェを具体例にしていますが、ブックスポットならどこでも始められます。

はじめに

オープンする「本屋」の特徴を挙げると、次のようになります。

  1. 書店在庫を置かない
  2. オンラインで注文
  3. 決まった曜日にしか届かない

正直、本屋の皮をかぶった別モノの気もします…が、勇気をもって「本屋」と言い切ってみようと思います。

Point 1. 書店在庫を置かない

上記の写真は、利用者が既に購入済み、つまり「買った本」です。届いた本は、買った本人が取りに来るまでは、他の利用者も読むことができます。

  • 普通の書店: 買う本が並ぶ
  • うちの本棚: 買った本が並ぶ

従来型の書店に、もしひとつだけ不満を挙げるとすると、それは「買った後のストーリー」が語られないことです。せっかく買った本は、買ったその瞬間に社会から切り離され、あとは個人的に消費されるのみ。それではあまりにももったいない。もっと、本について話す機会が欲しい、本を肴に楽しみたいのです。これは、リブライズに通底する思いでした。

その意味で、実現したいのは、購入がゴールではなく、購入からスタートする本屋さんです。購入者が持ち帰るまで、他の人にも触れる余地があること、これが予想外に大切でした。「面白かった」と同時に、「面白そう」を共有するのが楽しい。ライブ感大事。

Point 2. オンラインで注文

本好きにとっての理想は、大量の本に囲まれた環境です。が、現実問題として、うちのカフェの床面積では狭すぎ…。利用者が満足する書籍在庫をそろえることが、どう逆立ちしても出来ません。書店経営といえば、5冊仕入れて1冊失敗したら赤字が出るようなハードモード😱。ジャンルを絞ればどうでしょうか? それでも、プログラミングの本だけで日々新刊が出る中、全冊売れるように仕入れるのは、神がかったものが必要になります。

そこで「本に囲まれる」は泣く泣く諦めます (いつかは挑戦したい)。代わりに、オンラインで注文を受け付け、基本なんでも買えるようにしました。常時、取次在庫の数十万点から選べます。なお、すぐのお持ち帰りはできませんが、店頭でも注文可能です

Point 3. 決まった曜日にしか届かない

うちのカフェについては、毎週水曜日と決めました。本が届くのはこの日だけです。もちろん、毎日届く方が便利かもしれませんが、便利を追求するだけだったら、Amazon.co.jpで間に合っています。そうではなくて、僕らがやりたいのは「買った後のストーリー」を濃くすること。だったら、不便さこそ追求するべきです。

毎日届くなら「いつ行ってもよい(行かなくても良い)」ですが、水曜しか届かないなら「水曜に行こう!」になります。水曜日に、本好きが集まってくるかどうか、それがうちにとっての生命線になると思うのです。

水曜配送なら、月曜日深夜までの注文が届きます。

リブライズで「本屋ごっこ」

「図書館ごっこ」サービスがあるとしたら、それが「リブライズ」でした。今回は、いわばその「本屋」さん版です。商売として本屋をやるには壮絶な覚悟が要りますが、僕らがやりたいのは、そのもう少し手前のところです。

本が好きで、本に関わることをしたい、ちょっとでも著者を応援したい、子どもたちの本に触れる機会を増やしたい。少なからず、そういったことを考えたことがあると思います。しかし、その実現のハードルが高すぎました。誤解を恐れずに言えば「本屋さんごっこ」の余地がなかったのです。

「ひと箱古本市」に出店するくらいのつもりで、「ちょっとやってみた」を受け入れるサービスを、リブライズで実現できないか? その問いが、今回の「本屋さん」オープンに繋がりました。

ブックスポットに本の蛇口を

希望するブックスポットには、リブライズ上に書店ページが用意されます。そして、利用者がオンライン注文すると、ブックスポットに本が届きます。

実はこの1年くらい、この仕組みのために準備をしてきました。さらにカフェで練習すること数か月、やっと形が見えてきて、リブライズの「ブックストア機能 (β)」として公開に至りました。久々の大型新機能です 😎

この「本屋さんごっこ」は、リブライズのブックスポットであればどこでも参加できます。事務手続に1~2週間かかりますが、基本的には書類も特になく「ポチ」で始められるのは、日本初(世界初?)だと思います。

本を消費するのではなく、本で語らい、共有する場として機能するなら、本の供給はインフラになります。電気や水道のように「本の出る蛇口」です。みなさんのブックスポットにもいかがですか?

追伸

本屋さん「ごっこ」の所以が、実はもうひとつあります。仕入れリスクがない分、仕入れ価格にもできないのです。お察しかと思いますが、儲かる方向は期待しないでください… 🙄

あ、でも、一応(?)、正式サービス開始までに、ブックスポットへのポイント還元を予定しています!

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Tsutomu Kawamura
Librize

A programmer. A product designer at Librize. I opened OpenSource Cafe in Shimokitazawa (Tokyo) in 2011. Now building the second place in Shiratori (Chiba).