なぜAmazonがHomeに? 創業から紐解くAmazonの本質
# HomeTech 2/8
2018年11月に開催された第2回「LivingTech カンファレンス」。『POST2020』をテーマに掲げ、2020年から5年後の社会を考えるトークセッションが展開されました。人口減少、少子高齢化、過剰供給……。社会課題について交わされた13セッションの中から、「顧客志向から生まれるスマートホーム戦略」と題して行われたセッション(全8回)の2回目をお届けします。
登壇者情報
- 前田 宏 氏 /アマゾンジャパン合同会社 消費財事業本部 統括事業本部長 バイスプレジデント
- 柳田 晃嗣 氏 /アマゾンジャパン合同会社 Alexaビジネス本部 本部長
- 山下 智弘 氏 /リノベる株式会社 代表取締役
- 塚本 信二 氏 /米DUFL 共同創業者, リノベる株式会社 社外取締役 /モデレータ
パートナー情報
本セッションはリノベる株式会社様にサポートいただきました。
Amazonが顧客に提供したいものとは何か?
塚本 今日のキーワードですけども、顧客志向とテクノロジーということで、アマゾンジャパンも創業時からずっとカスタマー・セントリックという言葉を軸にさまざまなサービスを提供し続けています。
またリノべるも、顧客に寄り添うということで、各お客さまが本当に必要なものを彼らの希望に基づいて作っており、そうした考え方自体が非常に似ています。
その2社が、今後このテクノロジーを通して、どういったものを消費者に提供していくのかを聞いていければと思っておりますので、早速はじめたいと思います。
Amazonを使っていらっしゃる方という質問に手を挙げた方がほとんどでしたけれども、実際どういった会社なのかということをいざ考えてみると、なかなか深いところまで分からない方も多いと思います。
最初、簡単にですけども、Amazonの歴史と実際何をやっているのか、前田さんに簡単に触れていただきたいと思っております。
前田 多くの方にご利用いただいて本当にありがとうございます。外側から見るAmazonと内側から見るAmazonともちろん違うわけなんですけれども、簡単にAmazonがどういうことをやっているのか、やってきたのかをご紹介したいと思います。
こちらのいわゆるナプキンに描かれている絵なのですが、実はもともと手描きで描かれていたんです。
これは何かというと、僕らの創業者ジェフ・ベゾスが1995年、アメリカ・ワシントン州で創業して、小さなガレージを借りて、そこに本を仕入れて、それをインターネットで売り始めたのがもともとの創業地なんです。
その当時、ジェフが仲間とレストランに入って、自分が描いているAmazonのビジネスモデルを仲間に説明したときに描いたのがこの絵です。
真ん中のところの品揃え、Selectionとありますけれども、まずは本を全米のお客さまにインターネットを通じて売ることで、まず検索をしてとにかくどんな本でも見つかるための品揃え、これに徹底的に力を入れようということを考えておりました。
品揃えが揃ってくると、今度はお客さま満足度というCustomer Experienceが非常によくなると。
当然、全米広いですから、本屋さんに行って自分がほしかった本がなかったら、それはすごくがっかりするわけで、それがAmazonで検索をして見つかると、お客さまは非常に喜ぶと。自宅まで届けてもらえると。
そういうことでまず顧客満足度が品揃えから生まれてきて、次に顧客満足度が生まれれば、「最近僕はAmazonを使って本を買ってるんだよ」みたいなクチコミが広がってお客さまが増えると。いわゆるTraffic、来客数が増えてくる。
来客数が増えてくると、当然そこには商品を提供する方がたくさん集まってきていただける。そして、さらに品揃えが豊富になっていくと。
これを成長、Growthのドライバーとしてまず掲げておりました。
成長していくと、当然オペレーション、企業の運営にかかわるコストはどんどん下がっていく。特にAmazonのような店舗を持たない企業の場合にはコストが下がっていく。
下がったコストを、例えば広告や株主への還元に回すのではなくて、それをお客さまに提供する商品の価格を1セントでも10セントでも安くすることに、ジェフは最初に投資をしたわけです。
その結果、品揃えとともに価格が安いということでお客さまの満足度が増えていく。これをわれわれ社内ではフライングホイールと言っております。
いろいろなビジネスを新しくつくるときでも、この考え方を全世界のAmazon社員は常に考え理解をし、事業を行っている。そういう会社ですね。
日本におけるAmazonの展開
こちらが日本におけるAmazonの歴史を簡単にご紹介したものです。
まず日本でAmazon.co.jpがオープンしたのが2000年です。ですのでちょうど18年、日本でAmazonでのビジネスをやっていることになります。
最初はアメリカと同様、書籍をインターネットで売り始めるところからスタートしております。
僕がAmazonに入社したのが2005年なんですけれども、そのころ新聞にAmazonの記事が出るときには「オンライン書店大手」という見出しが必ずついたんですね。そのぐらい当時から2010年ぐらいまでは、オンライン書店のイメージが強かったと思っています。
そして日本ではいろいろな事業をやっていますが、Amazon.co.jpといういわゆる基幹のネット通販サイトで、プライム会員という年間3,900円の会費をいただくメンバーシッププログラムがあります。
最近はそのプライム会員をさらに増やすためにPrime VideoやPrime Musicといった、プライム会員が無料で映画やドラマや音楽などを楽しめるプログラムもやっております。
さらにAmazon Web Servicesという、いわゆるAmazonのクラウドコンピューティング、そういった新しいウェブサービスのビジネスも非常に大きくなってきております。
このようにインターネットを使って、われわれはペインポイントと呼んでおりますけれども、さまざまなお客さまが困っていること・不便に感じていること。お客さまはもちろん一般消費者に限らず、企業さんであったりデベロッパーさんであったり、コンテンツのクリエイターさんであったり。そういったお客さまに対して、どうすればより便利な仕事なり生活ができるかを考えて、ソリューションを提供することを主に日本で進めております。
塚本 分かりました。すごい品揃えで、日本にちょうど18年いらっしゃる。外資系ということもあって(日本に進出したのは)最近かなと思う人もいるかもしれないですが、18年間ずっと日本の消費者に寄り添って、日本独自の展開もやられているのが非常に興味深いなと思います。