Amazonの一つの到達点「Amazon Go」が示すHomeTechの意義―いかにして暮らしに余裕を生み出すか?

# HomeTech 7/8

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2018年11月に開催された第2回「LivingTech カンファレンス」。『POST2020』をテーマに掲げ、2020年から5年後の社会を考えるトークセッションが展開されました。人口減少、少子高齢化、過剰供給……。社会課題について交わされた13セッションの中から、「顧客志向から生まれるスマートホーム戦略」と題して行われたセッション(全8回)の7回目をお届けします。

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登壇者情報

  • 前田 宏 氏 /アマゾンジャパン合同会社 消費財事業本部 統括事業本部長 バイスプレジデント
  • 柳田 晃嗣 氏 /アマゾンジャパン合同会社 Alexaビジネス本部 本部長
  • 山下 智弘 氏 /リノベる株式会社 代表取締役
  • 塚本 信二 氏 /米DUFL 共同創業者, リノベる株式会社 社外取締役 /モデレータ

パートナー情報

本セッションはリノベる株式会社様にサポートいただきました。

Amazonが最重要視する、3つの普遍的価値

塚本 時間も少し押してきたので、企業理念というか一つ前田さんにお尋ねしたかったのが、このあとテクノロジーで消費者に時間を返して、より豊かな生活を送ってもらうために体現しているサービス、Amazon Goの説明をしていただきたいです。

サービスを投入していく上での考え方を今一度話していただくと、来ていただいてる方にも参考になるのでそれを説明していただけますか。

前田 Amazonの企業理念は2つあるんですけれども、先ほどから繰り返し言っているお客さま視点でお客さまの困っていることを解決するソリューション、仕組みを提供することで、地球上で最もお客さまを大切にする企業でありたいということ。

2つ目が、先ほどのフライングホイールというジェフ・ベゾスが描いたビジネスモデルの一番最初にあった品揃え。これは別にフィジカルな物販の品揃えだけじゃなくて、先ほどのスキルもその一つかもしれませんけれども、お客さまが探しているものをとにかくインターネットを使って発見して手に入れる、そういう場所をお客さまに提供すると。

この2つの企業理念なんですけれども、次のスライドで、こちらがそれを実現するための、ジェフ・ベゾスがよく言ってるんですけれども、10年後にも普遍なものをまず軸に据えよと。

いろいろなことが時代、技術の進化とともに変わっていくんですが、10年後も20年後もお客さまにとって普遍の、お客さまが求めるものですね。

品揃え、価格、そして利便性。

この3つで、例えば「利便性」という意味ではAmazonがいま提供している当日配送。今日注文したら今日届くあるいは4時間後に届く。

そういったデリバリーのスピード、あるいは商品をインターネット上で何億種類もある商品の中から自分が探したものをいかに短いステップで見つけられるかというその使い勝手、そういった利便性ですね。

この3つは10年後も20年後も消費者のニーズとしては普遍であろうという前提のもと、それを実現する一番下にある土台、イノベーションにAmazonは非常に投資をしています。

Amazonの思想を究極的に具現化した「Amazon Go」

Amazonはいわゆる小売業からスタートしているんですけれども、実はその中身としてはすごいテクノロジー企業です。

一つそのイノベーションの事例、これはアメリカの事例で日本ではまだ予定もされていないんですけれども、一つご紹介したいものがあります。

Amazon Goを聞かれたことがある方いらっしゃいますか?

(多くの手が挙がる)

塚本 今日多いです。関心の高い方が非常に多い。

前田 これはAmazon本社があるシアトルの1号店で、ノーラインズのチェックアウトとあります。

要は発想としてはレジに並ぶことのペインポイントをとにかく解決したいということです。

Amazonの画像技術であったりセンサー技術等を駆使して、レジに並ばなくてもモノが買える体験を実現したのがこのAmazon Goです。

それではYouTubeに上がっているアメリカの動画がありますのでご覧いただこうと思います。

見ていただければ分かるんですけれども、要は商品を棚から取ると、それをカメラが認識をして、そのお客さまがダウンロードしたアプリに一つずつ取った商品が価格とともにリストに追加されていきます。

リンゴをとったり牛乳をとったりオレンジジュースをとったりするとそれがどんどんリストに入っていって、買いものが終わってゲートを出るとそこで鞄に入れたものが全部清算されて、Amazonのアカウントで支払いができる技術です。

例えば最初牛乳をとったけれど、やっぱりやめたって戻したら、もちろんそれでそのリストから戻したものが自動的に引かれることで、本当に無人のコンビニ、商品を補充する人とかがいるので誰もいないわけではありませんが、少なくともレジに並んで会計を待つストレスを解決するためにいろいろな技術、イノベーションを開発して盛り込んだ一つの事例としてご紹介させていただきました。

柳田 結局は買いたいものを持って帰りたいのがお客さまの行動なんですよね。

前田 そうですね。

柳田 別にキャッシャーで並ぶことがしたくて並んでるわけじゃなく、支払いが必要だからやっているだけです。

支払いが携帯やほかのテクノロジーでできてしまうのであれば入ってきて持って出ていけばいいというのがお客さまの本当のニーズじゃないかということですよね。

塚本 日本は展開予定ないですけども、海外ではだいぶ店舗数は多くなってるんですか?

前田 アメリカでは数店あると聞いておりますけれども。

塚本 柳田さんも前田さんも実際もちろん行かれて?

柳田 はい。

塚本 もうスムーズですか?

柳田 そうですね。ランチでよく使いますね。行って、ランチをパッととって、そのまま出て。

塚本 ストレスフリーという。

柳田 はい。

前田 企業側にとってもお金を払わなくても持っていくお客さまがいなくなる(笑)。

塚本 いろんな意味で防止とか。

前田 いわゆるそれによるダメージって結構あるじゃないですか。

塚本 ありますね。ペインポイントの対応でいうと、ストレスフリーは究極の展開だと思います。

今のところ日本は展開予定はなしで、多分日本のマーケットの人は期待しているとは思いますけれども。

テクノロジーは、暮らしに“余裕”をつくるためにある

結局やっぱりお聞きしているとテクノロジーを通して時間を返して、生活に余裕を持たせるということも一つのキーワードだと思うんです。

リノべるでも余裕を持たせるということではないんでしょうけど、取り組まれていることで。

山下 僕たちの考え方と、すごく似てるなと思いながら聞いていました。

何かというと、僕らは、お金の使い方はもっともっと変えれるんじゃないのと。

家は一生で一番高い買いものとよく言われていますけど、その一生の高い買いものでも、そこの使い方をもう少し賢くできると考えているんですね。

僕たちがお勧めしている家の買い方は、築20年とか30年の古いマンションを買って、自分好みに変えましょうと言っています。

20年30年経つとある程度建物の価値は下がり切っていて、土地値だけみたいなものに日本では残念ながらなっているんですね。

そこにプラスリノベーションで自分好みに変えたコストを加えたとしても、そのエリアで買う新築に比べると3分の2ぐらいで買うことができます。

その上に、3分の1をバッファと書いてますが、余裕ができるじゃないですか。

よく私も新築の会社、マンションデベロッパーにいたので、そのときにどうなのかなと思ったシーンがありました。

家を買うために好きな車を手放すとか、家を買うために子どもの教育をこうするとか、旅行をやめるとかです。

家が本当に好きな方だったらいいのかもしれないですけど、目的で考えるとどうなのかなと。

こうやってバッファをつくってその分もっともっと生活に自分の時間に教育にコストを掛けましょうというお話をしています。その形がすごく近いと思って聞いてました。

塚本 顧客起点で時間を返す、余裕を与えるということで共通項が多い感じがしますよね。

こちら非常に概念が似ているということで、DUFLについて簡単に紹介します。

先ほど申し上げたドキュメントのクラウドサービスの洋服版で、私どもがやってるDUFLという会社で、クラウドのクローゼット。

アメリカだけですけども、ゴルフクラブからトレーニングシューズからなんでも自分の洋服を預けておいて、アプリ経由で宿泊先に送って、置いて帰ると。

帰りはDUFLがそれを回収して洗濯してクリーニングして次の旅を待つ形です。

簡単にいうと1回の出張で大体4時間から5時間ぐらい出張者に(時間を)返すという考え方で、米国では福利厚生ですよね。

荷物をまとめたりクリーニングに行ったり荷造りしている暇があったら家族と過ごしてください、楽しい時間に当ててくださいということで、技術が時間を生んで豊かな生活に繋げていく一つの事例だと思って今日はここのスライドに入れています。

結果的にやっぱり時間を返すというのがキーワードになってくるのではと話しながら思っています。

実際テクノロジーといっても倉庫のスタッフが一生懸命服を詰めているので、全て技術というわけではないですけれども、消費者側からするとかなりの時間が改善されるので、このようなビジネスを展開しています。

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