LivingTech|リビングテック

LivingTech(リビングテック)は、“暮らし”に関わるビジネスを営む事業者と、“暮らし”の課題をテクノロジーで解決する事業者、その経営者・経営幹部のためのコミュニティ。約200名が集うカンファレンスで繰り広げられたトークセッションの模様を記事としてお届けします。

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例えばスマホのようにアップデートする家を―古い常識を捨て、顧客の声に向き合うべし

# HomeTech 8/8

2018年11月に開催された第2回「LivingTech カンファレンス」。『POST2020』をテーマに掲げ、2020年から5年後の社会を考えるトークセッションが展開されました。人口減少、少子高齢化、過剰供給……。社会課題について交わされた13セッションの中から、「顧客志向から生まれるスマートホーム戦略」と題して行われたセッション(全8回)の8回目をお届けします。

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登壇者情報

  • 前田 宏 氏 /アマゾンジャパン合同会社 消費財事業本部 統括事業本部長 バイスプレジデント
  • 柳田 晃嗣 氏 /アマゾンジャパン合同会社 Alexaビジネス本部 本部長
  • 山下 智弘 氏 /リノベる株式会社 代表取締役
  • 塚本 信二 氏 /米DUFL 共同創業者, リノベる株式会社 社外取締役 /モデレータ

パートナー情報

本セッションはリノベる株式会社様にサポートいただきました。

デジタル化が、日本の住宅業界にもたらすもの

ここからあと残り時間が少なくなってきてるんですけども、特に山下さんにお聞きしたかったのが、技術とか新しいサービスが入っていって、住宅業界はかなり歴史があって、古い歴史がある中で、デジタルトランスフォーメーションが業界にとってどういう意味を持つのかをフィードバックいただけませんか。

山下 まさにここに取り組んでいますが、特に日本の住宅業界は世界的に見てもすごく特殊です。

新築神話という言葉があるように新築のマーケットなのですが、そこに合わせてどうしていくかを僕はあまり考えていないです。

新築ですとどうしても初めに全部セットアップしてはいどうぞなんですけど、そう考えないほうがいいと思っているんですね。

まさにこのiPhoneのようにどんどんどんどん自分に合わせて、そのときのそのシーンとかそのときの自分の環境に合わせてアップデートできるものがあると思っています。

家もリノベーションするタイミングで自分に合わせてつくり変えるわけなんですが、そのあと冒頭で話したようにもう少しこうしていきたい場所は、どんどんどんどん変えていけると思っていて、それがテクノロジーだと思っています。

だから全面にテクノロジーが出るわけではなくて、そこに何もないただの壁だったり床だったりキッチン、ダイニングテーブルなんですが、そこにはテクノロジーが既にベースとして埋め込まれていて、それがそのときのシーンに合わせて活用されていくことをいかに導入していくかがポイントだと思っています。

なので、「スマートハウスどうですか」と僕たちが勧めることはあまりないです。

塚本 一方でリノべるに来ているお客さまの90%はスマートハウスの話を聞きたいという流れになっているわけですよね。

山下 されるんですが、「スマートハウスどうですか」というわけではなくて、話し方としては先ほどの話のように「スイッチプレートって、ないほうがいいと思いませんか?」という話し方ですね。

塚本 技術技術した話ではなくて、生活に寄り添った形の質問に答えている中で、結果的にスマートハウスになるという。

山下 なくて、スイッチプレートをつけるコストも下げられるわけですね。

だったら確かになくても「そんなことできるんですか?」「実はこんなテクノロジーを使えばできるんです」とお答えするというように、自然と勧めていくのが結構ポイントだと考えています。

塚本 まず消費者が何を求めているかに耳を傾けなければ始まらないということは一貫して今日の話の中にあると思います。

カスタマーレビューという究極の財産

Amazonは言い方はちょっとあれですけど、ありとあらゆるサービスを出していくじゃないですか。

それ本当に消費者が必要としてるのか、欲しがってるのかはどこでティッピングポイントを計ってるんですか?

前田 そうですね、eコマースをAmazon.co.jpというサイトでやっているわけなんですけれども、一例を挙げるとカスタマーレビューという商品のページの下にその商品を実際に買って使っているお客さまがレビューと、あと星5個でレイティングを付けていただきます。これはお客さまの声をわれわれが頂戴する非常に有効な手段になっています。

あるいは我々だけじゃなく、商品を実際につくっているメーカーさんにとっても非常に重要な声として、例えば実店舗で同じ商品を売っていてもなかなかそういう声はメーカーさんには戻らないですね。

実際そのカスタマーのレビューから新しく開発した商品もあります。

カゴメさんというメーカーのトマトジュースがあるんですけれども、濃縮してリコピンが10倍入ったものは、普通のトマトジュースのユーザーからもっと濃いトマトジュースがあってもいいんじゃないという声を実際にメーカーさんが拾われてつくった例ですね。

実際Amazonのレビューを参考にして、例えばデパートで商品を買ったり、何か次に買う商品をインターネットで探しているときに、まずAmazonに行ってAmazonのカスタマーレビューをチェックしてそれから買いものをされるお客さまが非常に増えているデータもあるぐらいです。

今やサイトに来て商品を見ているお客さまだけじゃない、レビューの使いみちが非常に増えてきていますね。

消費者こそが主役―この考え方で家と暮らしは進化する

塚本 なるほど。あっという間に時間が過ぎてしまって、そろそろ終わりの時間です。

最後にそれぞれが短くですが、今後テクノロジーと住宅リノベーション業界に新しい価値を提供していくときに、それがサービスだったりBに対してもCに対してもそうだと思いますけども、アドバイスなりガイダンスがあれば一言ずついただいて、セッションのクロージングにしたいと思います。

山下 今日はどうもありがとうございました。

お話しした中で、いくつかキーワード出てきてましたが、豊かな生活を提供することが一番したいことです。

そのためにテクノロジーかどうかはあまり関係ないと思っているんですけど、すごくうまく使えるなと思ってます。

先ほどのトイレットペーパーの置き場みたいな話だとか、スイッチプレートの話とかいくつかありましたが、もっともっと多分ユーザーがペインポイントと思っていないけれども結構悩んでいる、もっとこうだったらいいのにな、ということが生活の中にあふれていると思うんですよ。皆さんそれぞれ違うと思うんですよね。

その中で多くのテクノロジーを使えば解決できるものがたくさんあると思っています。

これを今回のこと起点で吸い上げながら返していくことができればいいなと考えています。

塚本 ありがとうございます。柳田さん。

柳田 今日Living Techということで、やはり住宅を考えたときに、今までの住宅は最新のモデルが例えば10年前の新築が最新モデルでした。

そうするとそれをずっと使い続けながらなかなか中身は変わっていかない。

そのときのインターフォンを変えようと思っても10年前のカタログ持ってこられて、このタイプじゃないと門柱をちょっといじらなきゃ駄目なんですよということになってくることが多いのでタイムカプセル化するんですよね。

そういったものが今までの当たり前だったところが、実は例えばこういうEchoであるとか声でスマートホーム化することができる。

しかもそれがタイムカプセル化するのかというと、クラウドなのでそこに存在はしておらず、耳と口だけがそこにあって、あと例えばスキルが10個しか入っていないときにスマートホーム化したとしても100個、1,000個、1万個というかたちでスキルが増えても、自動的にそれが使えるようになっていく。

そうやって一緒に進化していく、そして生活とともに使われ方が変わっていってもそこに優しくアシストすることができる声のサービスが多分今求められていて、非常に使っていただける。

そしてまだまだ日本はスマートホームが普及しているとは言い難いとは思うんですが、恐らく来年から非常に広がっていくのではないかなと。

そういうところをさまざま体験していただくには、今日ご説明いただいた体験スペースとか、Echo Spotを追加で買ってみて使ってみて、スクリーンが使えるとこんなものができるんだと。

例えば先ほどちらっと出ましたけど、リビングでこれから年末年始、友人とかご家族とか親戚が来られて夕方まで話していました。

どうしようって思ったときに出前館のスキルで出前を頼んじゃおう。そこでリビングで「ピザが食べたい」、出前館頼みました。そこから会話は継続してやっていけるわけですよね。

そんな形で楽しめる時間を使えるのが素敵な生活で、そういったもののアシストができるといいなと思っています。

塚本 ありがとうございます。前田さん最後に。

前田 大体皆さんがお話しされたことと同じなんですけれども、ペインポイントへのアプローチとか時間を生むとかそういったところを私がやっているeコマースでどうやって解決していくか。

やはり課題としてこれから考えなければいけないのは、この日本が今置かれている特に高齢化社会の中で、本当にお年寄りがお二人で住まれている家庭に対して、どうやっていわゆるカスタマーセグメントを見てそのソリューションを提供していくか。

それが多分このAlexa、Amazon Echoも同じ課題というか、将来の考え方あるいはリノベーションのバリアフリーとかまさにそこを考えていく点においては、僕らのやっているeコマースも単純に重いものを家まで届けてもらうだけではなくて、そういう高齢者が買いもの難民であったり、あるいはキーボードが使えない、そういった方をどうやってよりストレスなくサポートしていくかをぜひ考えていきたいなと思っています。

塚本 ありがとうございます。

時間になりましたけども、やはりずっと一貫して皆さまのフィードバックを聞いていますと、消費者が主役でテクノロジーはその消費者のニーズを形にしていくツールだということで、多分今後スマートホームもそうですけど、住宅業界におけるテクノロジーのトランスフォーメーションを、関わっている皆さまと一緒にデザインしていくんだなという気持ちが非常に強くなりました。

質問の時間がなくなってしまったんですが、何かございましたらセッションのあとに直接お聞きいただければと思います。

ご清聴どうもありがとうございました。

(終わり)

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This article provides a fascinating deep dive into the influential work and vision of a true cyberculture pioneer. R.U. Sirius has long been a figure at the intersection of technology, counterculture, and futurism, advocating for a world where digital freedom and individual empowerment thrive.

RU Sirius's journey from the Yippies to Mondo 2000 highlights his transformative influence on counterculture and technology. His radical activism and punk rock days paved the way for his visionary work in cyberpunk and digital culture, showcasing his ability to shape and challenge the status quo across different eras.

From his days with the radical Yippies to creating Mondo 2000, Sirius’s impact on tech and avant-garde culture is clear. The shift from utopian to dystopian views on tech mirrors broader societal changes, but his excitement about the future is…