オープンハウス CIO が推す、米国・不動産テックの要注目サービス
#RealestateTech 5/5
2018年11月に開催された第2回「LivingTech カンファレンス」。『POST2020』をテーマに掲げ、2020年から5年後の社会を考えるトークセッションが展開されました。人口減少、少子高齢化、過剰供給……。社会課題について交わされた13セッションの中から、「不動産テックの現在地と未来」と題して行われたセッション(全5回)の5回目をお届けします。
登壇者情報
- 赤木 正幸氏:リマールエステート 代表取締役社長
- 落合 孝文氏:一般社団法人不動産テック協会理事 渥美坂井法律事務所・外国法共同事業パートナー
- 川戸 温志氏:NTTデータ経営研究所 ビジネストランスフォーメーションユニットシニアマネージャー
- 森井 啓充氏:オープンハウス Chief Innovation Officer
- 池本 洋一氏:リクルート住まいカンパニー SUUMO編集長 /モデレータ
リアルエステックが注目される、5つの理由
池本 それでは一番最後に、今度は米国テックの個人的に注目しているサービスですよね、五月雨で。じゃあ森井さんお願いします。
森井啓允氏(以下、森井) よろしくお願いします。
簡単に自己紹介なんですけども、私は今シリコンバレーに拠点を持っておりまして、スマートハウスとか不動産テック、あるいはライフスタイルのイノベーションやリビングテック領域をフィーチャーしていろいろ見ております。
キャリアがちょっと変わっていまして新卒でTBSに入ったのですが、その時に「楽天に買われるぞ」と騒ぎになり「これからはITだ!」ということでITに入ろうと思い、一番伸びてるソフトバンクに入りました。
ソフトバンクで孫さんのスピーチライターをやったり、シリコンバレーで事業開発をやっていたんですが、孫さんが「不動産に投資をするぞ」となったので、「じゃあこれからは不動産か」というわけで「一番伸びてる不動産はどこだ」ってことで、オープンハウスに入りました。
今日はアメリカからの視点でなぜ不動産業界がテクノロジーによるディスラプトを迫られているのか、また実際の興味深い事例をいくつかお伝えします。
まずなんでこのリアルエステートテック、ReTechが注目されてるのかなんですけど、まず単純に市場が大きいですよね。
(2つ目)未だになんだかんだ人中心です。これはアメリカでも一緒で、「エージェント誰々に一生お世話になりたい」という感じで。つまりテクノロジーに置き換わる要素が大きいということです。
3つ目、データの価値が高いんで、いわゆる情報の非対称性と言われるような、データを持ってる人が勝つのでどんなデータをどうやって集めて分析して実用していくか。
次(4つ目)がたくさんいろんな会社が中に介在するんで、そこで無駄が発生してるんで、そこをイノベーションを起こして中抜きを無くしていきましょうということですね。
最後(5つ目)が、新しいテクノロジーの登場の影響を受けやすい。他のテクノロジー、AI査定だったりIoTセンサー、VR内見、ドローンで建設チェック、Fintechでローンを組むとか、色んなテクノロジーとの相性があるので注目されてるということかと思います。
あとオックスフォードの研究によると、3番目にいらなくなるであろう職業が不動産ブローカー(編注:日本の不動産ブローカーと違い、売買情報を不動産業者に持ち込み成約手数料をもらう職種)で、不動産ブローカーに大変申し訳ないんですけど、そういう中で今リアルエステックが注目されている。
この不動産テックのトレンドが、双方向でイノベーションが進んでます。ひとつはいわゆるITから不動産。先ほどのOpendoorであったり、色んな名前が出たような企業やサービスですね。一方で不動産会社、仲介会社であったりホームビルダーといった会社がITを導入して使っていくことで、どんどんイノベーションが起きていく。
ひとつ川戸さんの事例にもあったんですけど、KWというアメリカで一番大きな仲介の会社、こちらが今年(2018年)の2月に「我々は不動産企業であることをやめます」という宣言してですね。何やるんだというと、IT企業になると。
KWの社長が言ってたのは、不動産会社はデータはあるのにインサイトが少ないとのことで、「これからはITの人材とシステムにお金をかけていきます」ということを発表しました。KWが作ったKelleというアプリが早速不動産テックアワードで優秀するなど注目されております。
不動産×テクノロジーの要注目サービス
こっからは事例どんどんいきます。iBuyers。このiはインスタント、インフォメーション、インターネットとかのiで、さっきの買い取り再販会社ですね。
私はもともと、朝ズバという番組で特別捜査班をやったり、サンジャポジャーナリストもやってたんで、とにかく使いまくるというのをやってます。自分で使って良し悪しを判断するという。
このOpendoorもですね、アリゾナ、テキサス、アトランタに行って何十件も試し買い売りをしていろいろやってきました。このサービスがすごく注目されてるのは、簡単に説明すると、住所を打ち込んで質問に5分答えると、24時間以内に査定額が出ると。この査定額も仮ではなくて、ほんとに買い取ってくれる値。まあここからいろいろ引かれるんですけど、そのトリックはさておき。そういうAIの査定と、これを使って実際どうだったかをワークショップでこっそりお伝えします(笑)。
その2いきまして、AIとデータ分析ですね。HouseCanaryというサービス。
これは投資家が面白くて、Googleのエリック・シュミットが会長で、NBAのコービー・ブライアントが出資、あと元商務長官が出資をしております。よく今の物件の値段を予想するサイトはたくさんあるんですけど、これは3年後の物件の予想レポートを出してくれるサービスです。
これオープンハウスで買った物件なんですけど、ちょっと(画面に映る数字やグラフが)小さいですね。39万2千ドルで4月に買った物件が、3年後に47万ドルになってますと。なので18%ぐらい増えてますよと。
さらにそのコンフィデンス95.2%ですと。なので95.2%この物件はこれぐらい上がるでしょうってことは出しているので、売る側からするとすごい使いやすいレポートです。
どんどんいきます。(3つ目は)3Dプリンター。
大工不足だとか被災地とかでどんどん家を作りたい時に便利になりそうな。apis corはロシアの会社で、3Dプリンターでインクの代わりにコンクリートで家を作る会社です。
なのでこれはまさに日本が抱える大工の問題を解決しうる。24時間で10平米を百数万円で作ってしまうという画期的なモデルで。不動産建設の3Dプリンターって10社ぐらい似たことやってる会社があるんですけど、まだ建築基準満たしてる会社は無いようなので、これから注目すべき領域です。
次はシェアリングエコノミーの新しい在り方というので。NYではWeWorkの次に来るオフィスの体験として注目されてる会社で、Spaciousという会社です。
高級なレストランって大体夜しか運営してなかったりしますよね。ならば夜までの間、使わないともったいないよねということで。シェフが準備をしている間にそのおしゃれな空間のデスクとかボックス席をオフィスとして使ってもらう。
そういったオフィスに賛同してくれたレストランを数十社集めて、どのオフィスも使い放題という形で月々129ドルで展開していると。これNYとサンフランシスコで展開されていて、かなり伸びそうな匂いのする会社です。次はIoTとスマートハウスですね、ちょっとこれ時間あれなんで飛ばしましょうかね。
池本 いいですよ。
森井 大丈夫ですか。
AmazonがLennarというアメリカ№1のホームビルダーと組んで発表した、いろんなものが新しくなっていくよねと、リモコンができて空調が変わって、家が変わる時でしょうという感じですね。
Lennarグループはかなり注目でして、ベンチャー投資も活発にやっている、いわゆるさっきの不動産からITに入ってきている最大手です。これ15都市でショールームを展開しておりまして、ここにももちろん行ってきました。その感想は、後ほどワークショップで(笑)。
そして、日本人の内藤さんが創業したAnyplace。
「airbnbが住むように旅する」だとすると、「Anyplaceは旅するように住む」というとことで、ホテルを1ヶ月単位で予約できる(サービスです)。
これひとつの事例で、サンフランシスコの1つのホテルなんですけど、1泊で予約すると2.5万円ですが、これずっと進んでいくと1,800ドルで1ヶ月住める。
手数料込みにしても3分の1ぐらいの値段で住めるので、新しい住むと旅と生活のライフスタイルで注目されているモデルです。日本人は他にも頑張っている人たちがいます。
最後ですね、宣伝です。
注目の施策プランを営業させテックということですね。
去年から始めていて、昨年大谷翔平選手をキャラクターにして一緒にアメリカ行くぞ!って宣言しました。大谷選手は新人王を獲られましたけど、我々もアメリカに家を持とう(というコピー)でなかなかご好評をいただいております。
調べていただくとめちゃくちゃお得な仕組みがありますので、ぜひ一度GINZA SIXのセミナーにお越しください。以上です。
(会場拍手)
池本 想定内で当然終わりませんで、残り30分ですね。
ほんとはセッション45分で終わって45分ディスカッションだったんですけど、どうしようかな。
僕の勝手な裁量で決めていいのであれば、最後チームごとにシェアリングを、こんなこと話したよというのを3分ずつぐらいでやろうかって言ってたんですけど、それ止めます。
なので、とりあえずチームに分かれて。この人の話をもうちょっと聞きたいよ、あるいはこのテーマちょっと質問して議論したいよということに分かれます。
(以下、ワークショップ)
池本 それでは、宴もたけなわではございますが、お時間となりましたので、基本的には以上ということで終わらせていただきます。せっかくだから最後ご登壇いただいている皆さんに、テーブルごとで構いませんので、拍手お願いします。
(会場拍手)
(終わり)