Onlabミートアップ開催しました!

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13 min readNov 7, 2016
(GIF via JLRReyes Animated GIF)

先日行われたOnlabミートアップのイベント報告をしたいと思います。今回は「0から1を創る、スタートアップの成長ストーリー」と題して、ちょうど1年前にOnlabを卒業された12期生の小児科オンライン(株式会社Kids Public)橋本直也さん とBaby map(Trim株式会社) 長谷川裕介さんをお招きして、起業のきっかけやOnlabのシードアクセラレータープログラムを経てどのような変化があったかなどをお話いただきました。

まずはお2人の経歴と現在のサービスを簡単にまとめます。

12期 小児科オンライン - 橋本直也さん

橋本さんは、現役の小児科医でもあり病院の現場で感じていた問題意識を解決するために起業しました。医師として病気の子供を病院で待っているだけではなく、子供の健康を維持するためにはどうしたらよいのか、という課題に対し自らが社会に出ることでその問題を解決すべくビジネスを展開しています。「小児科オンライン」は、LINEやSkypeなどのアプリを使用し、テレビ電話、チャットなど親御さんの好きな方法で、小児科を専門とする医師にリアルタイムで医療相談を行うことができる遠隔医療サービスです。

小児科オンライン(https://syounika.jp/

橋本さんは起業直前となるちょうど1年前に本日のようなOnlab Meetupに参加しました。過去にビジネス経験もなくスタートアップ業界とは全く異なる医療の現場で働いてきたので、初めてOpen Network Spaceに足を踏み入れたとき、かなりのカルチャーショックがあったそうです。

12期 Baby map - 長谷川裕介さん

Baby mapを運営する長谷川さんは、前職の医療系ベンチャーにてBaby mapの前身となるサービスを運営されていました。サービスを引き取る形で起業し、その直後知り合いだったOnlab3期生ピリカの小嶌さんからの紹介でOnlabに応募しました。

Baby map(http://babymap.jp/

「Baby map」は、授乳室・おむつ交換台やベビーフレンドリーな施設がユーザーのコメントと共に探せるアプリサービスです。 現在までに累計13万DL、ユーザーからは日に109件ほどの投稿があります。しかしこのサービスを運営する中で、そもそも授乳室の数が少ないという課題に気付き、現在は1.5畳ほどのスペースに設置できる授乳ブースを作る事業を展開しています。ブースに滞在する20分間の授乳時間を利用して、ユーザーに消耗品販売や広告、アンケートなどを提供できる強みがあります。

イベントではお二人に、応募からOnlabのプログラムで得た経験について振り返っていただきました。

応募〜面談について

モデレーター: ではさっそくお話を伺っていきたいと思います。今日来場されている方で、プログラムへの応募を考えている方もいると思うのですが、お二人から応募に向けてアドバイスってありますか?応募の時の意気込みとか、今だから思う「面接の時にこうしたらよかった」みたいなものがあれば教えてください。

橋本さん(以下 橋本):「強い気持ち」が大事かなと思います。僕は「社会課題を解決したいんです!」っていう思いしかなかったですね。とにかく気持ちだけで押し切りました。最終面接の前に資料のチェックが行われるんですが、結構ツッコミをもらって。あぁ、この世界(スタートアップ)の常識って違うんだな、って思いました(笑) 今思えば、前のめりで「これで行くんだ!」という強い気持ちを持っていたのは重要だったと思います。

長谷川さん(以下長谷川): 僕は、前の会社で執行役員をやってたので、資料を作り込んじゃってたんですよ。ただ、面接時間って限られているので、「強み」だけに絞ったシートでいいのかなと思います。なんなら3枚くらいでもいいんじゃないでしょうか。「強み・やりたいこと」がはっきり見えれば、それだけで伝わると思います。

Seed Accelerator Program- 課題検証

モデレーター:Onlabでは、プログラムの初期に「課題検証」をやっていただくのですが、お二人はどんなふうに検証し、そこではどんな気付きがありましたか?

橋本:ヒアリングをする中で親御さんが思っている課題は、自分が想像していない範囲にもあるんだなっていう気づきはありました。「小児科に来て、困ってることはありますか?」と質問すると、「待ち時間が長い!」とか「風邪もらっちゃいそうで怖い!」って前のめりで話してくるんですよ。まさか、こんなに強い思いで待合室で待っていたのかというのは、診察室にいるだけでは気づかないことでしたね。

長谷川:プログラム中に103名くらいのユーザーにヒアリングしたと思います。プロダクトが既にあって、ある程度数字が伸びてたので、課題は間違っていないって認識だったんですが、実際ヒアリングをしてみると、それだけじゃ全然足りないってことがわかりました。「そんなことでは、お出かけは解決できない!」と言われ、きちんとユーザーの痛み(Pain)を捉えきれていなかったなと気づかされました。

モデレーター:プログラム中は、とにかくヒアリングをして来い、と言われ続けたと思いますが、ユーザーヒアリングの際に何か気をつけていた点はありますか?また、ヒアリングの回答はソリューションに影響を与えましたか?

橋本:なるべく先入観をもっていただきたくなかったので、ヒアリングの前半ではサービスの内容について明かさなかったです。最初は小児科における不満を全体的に聞くようにしていましたね。ヒアリングの回答はサービス設計の細部で参考になりました。例えばお子さんの名前をサービスに入力するのは不安に思う方がいるとか、最初はskypeのみでサービスをやろうと思っていたんですが、使い慣れたアプリでないと使わないという意見も参考にして、LINEでの相談を可能にしました。聞いてみなければわからないことだらけでしたね。

長谷川:僕は何度も失敗しています(笑)最初はヒアリングシートを渡して記入いただいていたんですが、設問を読み込んで記入してしまうため、直感的に答えてもらえていなかったんです。なので、僕がその場で質問して記入するように変更しました。回答するときの相手の表情や間から、本心かどうかが見極められるようになりましたね。「良い」という反応でも考えて言ってる場合や即答する場合で声のトーンも違うんです。授乳室やおむつ交換台だけでは情報が足りなくて、お子さんと一緒に入っても周りに白い目で見られないカフェやレストランの情報が知りたいというニーズは盲点でした。ヒアリングなしには気づくことは出来ませんでしたね。ここはサービス拡充に繋がったと思っています。

Onlabパネルディスカッション風景

Seed Accelerator Program- 開発〜ユーザー獲得

モデレーター:お二人はエンジニアではないですが、プログラム参加時の開発状況ってどんな感じだったんでしょうか?

橋本:サービスβ版はMVP(Minimum Viable Product)という、最小限の機能で作りました。最初は自分でコツコツとWordpressで作っていました。本サイトは外部の協力会社に発注したのですが、非エンジニアがエンジニアに依頼する上でのコミュニケーションの難しさを実感しました。

長谷川:僕らは幸いチームにエンジニアがいたので、開発はお願いしていました。僕としては、とにかくDemo Day(投資家・事業会社の前でプレゼンをする機会)に間に合わせたいという一心で、開発を急がせてしまいコミュニケーション不足が生じたりもしました。Demo Dayという目標に向かって皆で頑張っていましたね。

モデレーター:MVPを作ってから初期のユーザー獲得って大変だったと思うんですが、どのようにやってましたか?また実際にお金を払ってくれるかどうかの検証についても重要だと思いますが、どのように検証していったんでしょうか?

長谷川:既にプロダクトがあったので初期ユーザーはついていたんですが、地道に普及活動をしていましたね。ベビーカーを持っているママさんを助けるついでにアプリダウンロード用のバーコードが付いたサービス名刺を渡したりして。怪しまれることもよくありました(笑)課金についてはママさんのお財布の紐ってとても固くて、アプリに課金するっていうのが難しかったんです。じゃあ、どの財布を狙っていくのか、振り返ってみるともっと突き詰めて考えればよかったなと思います。ここについてはOnlab卒業後の今も検証を続けています。

橋本:まず一番身近な子育て中の友人やFacebook広告で初期ユーザーを獲得しました。利用後アンケートを実施していて、その中で「いくらだったらこのサービスを使いますか?」ではなく「いくらだったら高いと思いますか?」と質問するようにしました。その回答の8割ぐらいが適正価格だとおっしゃっていたOnlabの先輩メンターであるKUFUの宮田さんのアドバイスを参考に検証しましたね。

卒業生にプログラムを振り返ってもらうと皆さん口を揃えて言うのが、プログラムの最後に行う”合宿(Pitch CAMP)”の思い出です。ここで少しシードアクセラレータープログラムがどのように進んでいくのかを説明します。3ヶ月間のプログラムでは下図のような目安を設けており、Onlabスタッフとの進捗報告会(Office Hour)や国内外の経験豊富なスペシャリストによるメンタリングなどのコンテンツを通して事業をブラッシュアップしていきます。

Onlab Seed Accelerator Programの流れ

この3ヶ月目に行う「Demo Dayのプレゼン準備」のひとつがいわゆる合宿になるわけですが、この合宿では1泊2日でDemo Dayという国内の投資家や事業会社が集まる場に向けたプレゼンテーションの練習を行います。Onlabでは単なる事業説明のプレゼンテーションではなく、いかに投資家に刺さるかという視点で資料のブラッシュアップや話し方などの表現方法を練習していきます。

11/14にプレゼン資料作成のコツが学べるイベントも開催するので、気になる方は是非ご参加ください!!)

事業への情熱を人に伝えるのはもちろんですが、数あるスタートアップの中でどうやったら資金調達のきっかけを掴むことができるのか、Onlabではそんな点を重視して指導しています。さて、話は一番印象の強かったという合宿に戻ります。

Seed Accelerator Program- 合宿(PitchCAMP)

モデレーター:プレゼン資料を作成するのってプログラムの中でかなり難関な部分だと思うんですが、合宿はどうでしたか?

長谷川:もともとはプレゼン練習をする場、として設定いただいていたんですが12期はプレゼン資料がボロボロで、フルスクラッチでアイデアからたたき直す場となってしまいました。ある意味、メンターを24時間以上拘束してがっつり相談できるのでいい機会でした。ただ、プログラムで一番キツかったです。Demo Dayまで1週間は眠れない日が続きましたね(笑)

橋本:よくもあり大変でもあったのが合宿でしたね。Onlabサポートの強みは本当に親身になって相談に乗ってくれることだと思います。よく人のプロダクトに夜中の3時まで付き合うなぁと本当に驚きました(笑)もちろん有難いとも思いますし、いい機会でした。投資家への説明資料や外部での登壇などの下地はここで作ることができたと思います。

プログラムでの変化、何を得たか

モデレーター:では最後にプログラムを通じてどんな変化があったか、また何か得られたものはありましたか?

橋本:全くビジネス経験がなかったので、意識が変わったというか現実をみたといった感じです。メンターの方々は様々なネットワークを駆使して人を紹介してくださるので事業連携にも繋がりました。あとは、いいメンタリングも受けられましたね。総じて親身にサポートしていただけるところがOnlabの魅力です。

長谷川:同じ時期に創業したメンバーに出会えたことはよかったと思います。ライバルでもあるのですが、時には相談もできました。また結構感覚でやっていた部分が多かったのですが、きちんとユーザーの声を意識してPDCAを回せるようになりました。自分を疑う力が養えましたね。Onlabは資金調達を目的にというよりは、自分の力を養う場として非常に価値が高いと思います。

長谷川さん、橋本さんお忙しいところ登壇いただき、ありがとうございました。パネルディスカッションでは、Onlabのよいところも大変なところもプログラムに参加したスタートアップの生の声をお届けできたのではないかと思います。

会場には偶然立ち寄った第6期卒業生であるLang-8の喜洋洋さんからもお話をいただきました。Lang-8は語学学習アプリHiNativeを運営しており今年10月に2億円の資金調達をしています。 喜さんが振り返る印象に残ったOnlabプログラムはメンタリングだそうです。チームだけで続けていると緩みがちになってしまうところに客観的な外部からのアドバイスを貰えたことでメンバーが同じ方向を向くことができ指揮があがったと言います。何事にもスピードが命であるスタートアップにとって期限を切って取り組むことができたのがよかったそうです。また、今回の会場にもなった代官山のコワーキングスペースについても家賃を浮かせられるだけでなく、いつでも仲間やライバルに相談できる環境というのも魅力だったようです。

Onlab Meetup 会場風景

Onlabでは、14期生も絶賛募集中です😄

世界中で使われるサービスを目指している方、新たなサービスに挑戦したい方、事業成長のノウハウを学びたい方!など、本気で事業を伸ばしたいと考えている皆さまからのご応募をお待ちしております。ご応募ページはこちら

Onlabのプログラムに興味はあるけど、まだ申し込むには早い気がする、ちょっと試してみたい、そんな方には11/20開催のBOOTSTRAPをお薦めしています。シードアクセラレータープログラムの重要コンテンツだけを切り出した1日完結のプログラムです。気になる方は是非お申込ください。

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「世界で通用するスタートアップ育成」を目的としたアクセラレータープログラムの運営やスタートアップコミュニティ活性化のためのイベントを運営しています。 プログラムへはFond, ラクマ(旧Fril), Qiita, WHILL, SmartHRなど120社を超えるスタートアップから参加いただいています。 #on_lab