公正性とデザイン思考

すべてのアイディアにチャンスを!

Mario Kazumichi Sakata
Product Run
7 min readMay 26, 2018

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こんにちは😊

Tokyo オフィスで PM(プロダクトマネージャー)として働いている Mario です。この Publication ではいまの私の仕事についてだったり、プロダクト開発における日々の考えなどを書いていこうと思っていますので、こちらでもよろしくお願い致します!

突然ですが…

どうしたらいいアイディアは生まれやすくなるのでしょうか?

プロダクト開発に関わっている方であれば一度は深く考えたことがあるのではないでしょうか?私もその中のひとりです。

高度経済成長期を支え、常識となっていた「プロダクトを届ければユーザーは自然とついてくる」といった「製造の時代」が終わり、いまでは「顧客の時代」と言われるようになってきました。情報の取得が地域に関係なく可能になったことで、人は溢れるほど提供されるプロダクトの中から欲しいものだけを選び取る能動的な行動を取るようになってきたことが、その背景にあるのではないでしょうか?

結果として、せっかくつくったプロダクトやサービスがユーザーに届かずに売れなくなってしまうリスクがより高まっていき、イノベーションを起こすためには…といった議論をあちこちで聞くようになりました。

では、どうすればいいプロダクト(アイディア)が生まれやすくなるのだろう?

このような背景から、ユーザー中心デザインやデザイン思考といったユーザーの視点からアイディアを創出する「創造的な活動」が2010年頃から注目されるようになっていくわけですが、同時に組織的な観点から考えを改めなければいけないことが増えてきたと考えています。

第一歩は一人に閉じないこと

3秒くらいで考えていただきたいのですが、ユーザー中心デザインやデザイン思考という言葉を耳にしたときに、みなさんの頭の中ではどのようなイメージが浮かんできますか?

Pivotal Labs Tokyo ではホワイトボード、ポストイット、ペンがオフィスの至るところに置いてあります

恐らくこのような絵が頭に浮かんだのではないでしょうか?ホワイトボード、ポストイット、色とりどりのペン、複数の人が参加している、といったような発想の支えとなる要素が多いのではないかな、と思っています。

冒頭で述べたとおり、デザイン思考だからと言ってデザイナーだけに閉じるのではなく、組織全体でユーザーを理解し、課題を解決するために取り組む必要性が生じてきました。そのための活動として、組織の壁や職種をも横断してユーザーと向き合うデザイン思考があります。

しかし、

このような創造的な活動を実施することそのものはとても素晴らしいことなのですが、その価値を最大化するためには今回の主題でもある「公正性」を取り入れないと、形だけで反復せずに終わってしまうリスクがあるため、注意が必要です。

多様性だいじ、は本当にだいじ

今回のこの記事を書こうと思ったのは、同僚でプロダクトデザイナーの

が書いた「多様性と働きやすさ」にインスパイアされたからです。

その記事で

はとてもよい例を出しているのですが、ひとつのアイディアに対して、誰か一人が決めつけてしまうと他のアイディアを持った人が意見や考えを伝えられなくなってしまうことがあります。

属性やバックグラウンドが異なる人が集まる場では、「みんなそれぞれ違う」ことが暗黙の前提になります。そうすると、お互いの意見を聞き入れようとする雰囲気になりやすいです。

属性に加えて出身や国籍のみならず、役職や経歴もあてはまるのではないでしょうか。どうしても企業の体質上、役職付きの方が同じ場に出席する場面が多くなってしまうこともあるかと思いますが、もっとも大切なのは上で言う、お互いの意見を尊重し合う雰囲気をつくることだと考えます。

例えば年齢に多様性があるチームでも、年功序列的に、年上の人の言うことばかりが大切にされるような雰囲気では、多様性の意味がなくなってしまいます。

ではどうすればお互いの意見を尊重し合う雰囲気をつくることができるのでしょうか?ぼくがここで取り上げたいのは、公正性です。

不公平な扱いをなくす公正なデザインプロセス

公平をよくフラットな、とあてはめる人が多いと多いますが、差をなくすことが必ずしも公正というわけではありません。

公正なプロセスは例えば以下のことを指します:

  • すべてのアイディアにチャンスを与える
  • アイディアが優れているかどうかが重要である

公正なプロセスとは、お互いの意見を尊重し、一人が主張するものであれ、多数が主張するものであれ、最高のアイディアを求めつづけることです。この人が言ったから、この人が言おうとするから、という不公平な扱いがないことが前提です。

そうでなければ、「自分の意見が受け入れられる、または受け入れてもらえる」環境をつくりだすことができないのではないでしょうか。その分だけ、アイディアはスポットライトを浴びることなく去っていってしまいます。

Pivotal Labs が大切にしている公正性を保つための取り組み

Pivotal Labs ではアイディアを創出するためのアクティビティのひとつに「Design Studio」があります。具体的な進め方などの詳細はまた別の機会にとっておければと思いますが、Design Studio のゴールはこれからつくろうと考えているサービスやプロダクトの機能だったり画面の骨子となる優れたアイディアが何かをチーム全員で決めることです。

実際のプロジェクトで実施した Dot Vote の様子です

場合によってはステークホルダーも参加します。全員が考えたアイディアを壁に貼り、黙読しながら一つ一つのアイディアに目を通します。ここでのポイントは、質問や意見を言わないことです。

最後に参加者全員が同じ色の3つの丸いステッカーを手に持ち、自分が良いと思うアイディアのところにシールを貼って投票をします。ここでのポイントは、全員が同じ色を使うことです。

最終的により多くのステッカーが貼られているアイディアがベースとなってプロダクトやサービスを開発するわけですが、公正なプロセスを維持するために Pivotal Labs が大切にしていることは「すべてのアイディアにチャンスを与えること」です。そのためには先程も触れた、誰かが決めてしまうとそれに従って周囲もそれにつられてしまうバイアスを、可能な限り無くす必要があります。

  1. アイディアに目を通す時は何も言わないようにする
  2. アイディアを選ぶときは誰がどこに投票したかわからないようにする

以上、Pivotal Labs が公正性を保つために実施している取り組みを少し、ご紹介しました。みなさんもぜひやってみてください!

まとめ

ざっくりまとめると今回お伝えたかったことは以下の3つです:

  1. ユーザー中心デザインやデザイン思考といったユーザーの視点からプロダクトをつくる、創造的な活動の重要性が増してきた
  2. デザイナーだけに閉じない組織的な取り組みが求められるようになった
  3. 属性/出身/国籍/経歴/年齢/役職が異なるからこそお互いを尊重しあうマインドシフトが問われるようになってきた

多様性を認めて受け入れ、ひとりひとりの主張に耳を傾け、優れたアイディアとはなにか?を論点に組織全体として考える。これがいま、Pivotal Labs Tokyo で働く私の考える、公正性がデザインにもたらす価値です。

Pivotal Labs Tokyo では、定期的にワークショップ型イベントを開いたり、ブログでプロダクト開発やチームビルディングなどについて紹介していきます。

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Mario Kazumichi Sakata
Product Run

Product Manager, UX Designer. Husband and dad. An anime addict. Always looking for work-life balance.