「Pivotal Labs」から「Tanzu Labs」へ。改名への本音と今。

Saho Hamahira
Product Run
Published in
Nov 11, 2021

こんにちは & はじめまして! VMware Tanzu LabsでPMをしているSahoです。 :)

この記事では2019年にPivotal社がVMware社の一員となり、2020年にブランド名がPivotal LabsからTanzu Labsに変わった件についてお話していこうと思います。

2021年11月現在も、我々のサービスは「Pivotal社のLabs (Pivotal Labs)」というブランドでの認知度が圧倒的に高く、少しでも多くの方へ現在のブランド名である「Tanzu Labs」とその活動内容を知っていただきたいという思いから今回の執筆に至りました。

※ この記事は個人の見解が含まれており、Pivotal社, VMware社としての公式メッセージではない旨、ご了承ください :)

目次:

  1. 改めて、Pivotal Labsとはどんなサービスだったのか
  2. VMwareに買収された時の現場の様子
  3. そして「Pivotal Labs」から「Tanzu Labs」へ
  4. 現在、そしてこれからのTanzu Labs

| 1. 改めて、Pivotal Labsとはどんなサービスだったのか

過去記事にも詳細は記載していますが、端的に言うとクライアントと一緒に(ペアリングをしながら)「正しいものを、正しく作る。そのためにプロセスとチームを作る」サービスです。

サービスの中では「リーンスタートアップ」,「エクストリーム プログラミング (XP)」,「ユーザー中心設計」などの既存メソドロジーを組み合わせて活用しながら、チームはプロダクト構築をしていきます。

プロダクトマネージャーとしてLabsを中から見てきた一人として思うのが、Pivotal Labsの認知度の1つの要因にPivots(Pivotal Labsで働く社員の愛称)の「高いプロ意識」が挙げられるのではないかと考えています。

Pivotsは常に情報を更新し、最新の情報に基づいて、次の一手を判断します。都度結果にのみ振り回されず、「何故こうなったのか」の原因に関心を置き、次に備えることを良しとしています。

また、ともすれば攻撃的になってしまうような指摘も、具体的なアクションが取れる「フィードバック」として送り合うことで、自身の成長の機会だと捉えています。(一方、個々の考え方を尊重する文化があるため、ここでは必ずしも指摘されたことを改善「しなければならない」わけではありません。)

このような「チームを信頼をし、共感し、学びを積み重ねていく集団」であることで、上記に挙げメソドロジーがより効果的にプロダクトの成功を後押ししてくれます。だからこそ、Pivotal Labsを知っている人々はこのサービスを高く評価してくれているのだと思っています。

| 2. VMwareに買収!?その時の現場の様子

ここまでの内容で、いかにPivotsがPivotal Labsというブランドとサービスの内容に誇りと愛を持っているかということを感じ取っていただけるとうれしいです。

だからこそ、VMware社による買収というニュースは衝撃的であったことは言うまでもありません。VMware社とPivotal社の企業規模の視点からも、小さな魚(Pivotal社) が大きな魚(VMware社)に飲み込まれてしまう不安はありました。そして、このタイミングで、次の船出へ決意を固めるPivotsもいました。

Labsのプロジェクトの中では、チームやプロダクトを作る際に「名前を決める」ことをとても大切にしています。それは「その存在」が「名前を得る」ことで「愛着、認知度、共通言語の構築」と言うメリットを得られると考えているためです。

そういった視点からも「Pivotalという名前」がなくなってしまうことに、とても寂しい気持ちを感じていました。

| 3. そして「Pivotal Labs」から「Tanzu Labs」へ

ここまで色々と並べましたが、それでも私たちは「変化を受け止め、前に進むことのできる集団」です。 「この事実の背景」を理解することに努め、そこから見えてきたことは、VMware社としても「Pivotal と一緒になりPivotal Labsという名前を変更する」というアクションに至った大きなビジネスとしての戦略です。

VMware社は「現在のクラウド時代の先駆け (仮想基盤の先駆者)」と言われる企業の1つだと自負しています。vSphere(コンピューターを仮想化するためのソフトウェア技術)を筆頭に、多くのインフラ領域でシェアを勝ち取り、そうした歴史から、「VMwareといえばインフラの領域」という印象が強い企業でした。

片やPivotal社はPivotal Labsというサービスで「ソフトウェア構築における働き方の改革」を進めると共に、プラットフォームレイヤーではPivotal Application Service (現 Tanzu Application Service) (PaaS製品)でクライアントの支援を行ってきました。しかし時代がKubernetes(コンテナ技術)を後押しする変化に対して プラットフォームのPivot(方向転換)を視野に入れている中、2019年末に「VMware社による買収」という流れになりました。

そういった側面からも、VMware社の一部になったことにより、「VMware社はインフラ領域のみならず、インフラより上のレイヤーのサービス(人や文化の育成、アジャイル ソフトウェア開発を得意とするサービス)も提供できる」ようになり、一方、Pivotal社は「よりクライアントに提案/提供できるサービスの種類(インフラ領域の幅)が広がりました。

また、VMware社はPivotal社買収と時を同じくしていくつかの企業を買収しており、結果更にサービスの幅と深みを持たせることができるようになりました。しかし同時に「VMware社が提供しているサービスや形態が複雑化」してしまうという問題にも直面していました。

そうした背景もあり、VMware社はこのタイミングで「Tanzu(タンズ)」というポートフォリオを打ち出します。諸説ありますが、日本語の「タンス」と掛け合わせ「色々な引き出しを持っているサービス群」という想いが込められているという裏話もあります。このポートフォリオの一部として旧Pivotal Labsは「Tanzu Labs」として名前を変え、「近代的な手法でのアプリケーション開発を支援するサービス」として存続することになったのです。

| 4. 現在、そしてこれからのTanzu Labs

ここまで読み進めて下さった方には言わずもがなかと思いますが、改めて言わせてください。

そうなんです。「Pivotal Labsで提供してきたサービス」は、現在も変わらず「Tanzu Labs」という名前で継続してサービスを提供しているんです。

VMwareの一員となった今でも、「共感力に長け、信頼できる仲間」と、「正しいものを作っていける」組織があることに喜びを感じています。

これからはこのブログもTanzu Labsとして情報の更新、発信をしていきます。ブランド名の変更は確かにありましたが、我々の目指す世界、方向性に変わりはありません。「Transforming How The World Builds Software」のマインドで、今までも、そしてこれからもクライアントと共にソフトウェアの変革に日々精進していきます。

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Saho Hamahira
Product Run

Senior Product Manager, Application Transformation, VMware Tanzu Labs