1/3 スケール三田式 3 型改 1 製作記

マルチパートシリーズの第4部。

Norimichi Kawakami
The New RC Soaring Digest

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If you prefer you can read the English translation of this article, which was provided by the author. この記事に進む前に、このシリーズの 第3部 を読むことをお勧めします。

製作その11 翼端

実機の翼端

実機は主車輪が一輪式なので低速では必ず左右どちらかの翼端が地面に接します。そのため翼端には小さな補助車輪が付いています。画像58がその写真です。

画像58 実機の翼端

この車輪の付いた翼端の1/3模型を製作しました。

図面

まず図面を製作します。実機の翼端は取外しができませんが、1/3模型ではエルロンを外側から嵌める方式にしたので、翼端は取外し可能に設計します。図面20が作成したものです。外翼に取り付けた2mm厚のアルミ金具を翼端に挿し込んでねじ締めする構造です。補助車輪は直径15㎜の小さなものになります。その取付機構も実機と同じような構造に設計しました。

図面20 翼端の図面

部品製作

図面を基に製作した部品が画像59です。

画像59 翼端用部品(片側分)

アルミ金具が挿し込まれる部分は1.6㎜のシナベニア2枚で2mm厚のバルサを挟む構造です。ネジ留めする部分には4mm厚のシナベニアを貼って受けとします。それらを中心に翼の厚さ分だけバルサを重ね貼りします。翼端でも結構な翼厚があるのでかなりの枚数のバルサを切出しました。もっと厚いバルサを使用すれば枚数は少くて済みますが、屑バルサを使用したので片翼で10枚以上の重ね貼りとなります。上記写真の部品は片翼分です。補助車輪を取り付ける部分は5.5㎜厚シナベニアを核にして、0.5㎜厚真鍮2枚で挟んで車輪を取り付けます。

荒削り完の翼端

バルサを貼り合わせそれをヤスッテ翼端形状に粗削りにして補助車輪を仮取付しました(画像60)。

画像60 粗削り状態の翼端

最終形状より1㎜弱厚い状態でヤスリかけを終えています。外翼のプランク貼りが完了した段階で外翼に取り付けて、全体形状がスムースに繋がるように最終ヤスリかけをする積りだからです。

車輪は本当はもっとゴム部分が厚いものが欲しかったのですが、直径15㎜で適当なものが見つからないので、このようなものになってしまいましたが、略、実機に似た形状の翼端ができました。

翼端の完成

後日外翼の木地完の時点で翼端を整形しました。その後凹みにパテを塗って最終整形をしてからサンディングシーラーを塗って、乾燥後細目紙やすりを掛けて表面を綺麗にしました。この作業を2回繰り返してから、1000番のサーフェイサーを吹きかけて、その後赤色アクリル塗料で塗装して翼端が完成しました(画像61)。因みに重量は外翼への取付ネジを含めて各々58gでした。

画像61 完成した翼端

方針変更

機体の分割方法については基本方針その1で車での運搬を考慮して決定していましたが、これまでに完成したものを使って実際に搭載チェックした結果、主翼の分割方法を変更することにしました。

車への搭載チェック

主翼の骨格と胴体後部が出来上がったので、実際に車へ積んで確認しました。まず外翼です。画像62のように、ギリギリですが助手席を倒さなくても搭載できることを確認しました。

画像62 車への外翼搭載性チェック

次に胴体です。胴体は水平、垂直尾翼共取外し可能な作りにしましたが、それらを取り外してみると後胴は意外に細いことが判りました。これならば運転席と助手席の間に飛び出しても余り邪魔になりそうもありません。それで実際に積んでみました。

画像63 車への胴体搭載性チェック

後胴は胴体全長の丁度半分の長さですので、車の荷物室には相応の長さを残して積んだ状態です。ペットボトルやラジオ等の操作には邪魔ですが、運転には支障無いことを確認しました。

主翼分割方法の変更

一番厄介なものが長さ2mの中央翼です。これを2分割すれば車の荷物室に楽に詰め、助手席を潰さないで済みます。幸い中央翼は製作の都合上2分割で製作し未だ結合していませんので、これを2分割することに変更しました。つまり、これまでの基本方針では主翼は実機と同じに中央翼と左右の外翼の3分割でしたが、中央翼を2分割して全体で4分割にすることに変更した訳です。

分割・結合部分の構造図

運搬には分割し飛行には結合するための、分割・結合構造を作図しました。

図面21 中央翼の分割/結合方式図

前桁、後桁共にそのフランジには内径4mmの丸アナが貫通していますので、そこに4mmのピンを挿入して結合の位置決めとします。元々、上下フランジの後面には翼幅方向に伸びる1.6tのシナベニア製ウエブが貼ってありますが、前面にも同じシナベニアを貼り、更に両ウエブの間の隙間をその厚さ分のシナベニアを挿入して中実構造にします。これらはエポキシ樹脂で貼り合わせます。この中実構造の桁を2mm厚のアルミ板2枚で挟んで、3mmボルトで結合する構造です。

変更に伴って目標重量にも影響が生じます。スポイラーサーボはこれまで中央の一個で左右のスポイラーを操作することにしていましたが、今度は左右別個に2個のサーボを積む必要があり、その分重量も増えます。また、結合構造の重量も見込まなければなりません。両者合わせて約120gの重量増加になります。つまり、1,600gであった中央翼の目標重量は1,720gに増加してノーマル飛行状態の目標全備重量も7,600gから7,720gに増加します。

結合構造の製作

早速中央翼の結合構造を製作しました。画像64が位置決めのピンです。4mmの真鍮パイプの中に3mmのカーボンロッドを通しました。

画像64 中央翼結合用位置決めピン

画像65は試しに左右を繋いだ状況です。

画像65 左右の結合テスト

かなりしっかり結合できることが判ったのでスポイラーサーボベッドも製作しました(画像66)。

画像66 スポイラ-ーサーボ

重量チェック

ここで中央翼の重量を実測して、完成重量を予測します。重量測定結果は以下の通りでした。

従って中央翼の完成予想重量は1,878gとなり、目標値1,720gを158g(9.2%)超過してしまいそうです。

実は前回骨組み完了時点で重量測定して、ほぼ目標重量に納まると見込んでいましたが、その後、カンザシ周りの補強にグラスクロスをたっぷりのエポキシ樹脂で貼り込みました。更に外翼との接続ピンや外翼スッポヌケ対策を施して重量が大分増加したのです。残作業予想重量もエルロンサーボ延長コード等の重量をカウント忘れしていた上に、スポイラーサーボの重量も50gと過少見積もりをしていました。サーボ本体の重量は一個40gですが、サーボベッドとスポイラー索長さ調整金具の重量も馬鹿にならないものと判明しました。結果、目標の9.2%オーバーと少々みっともない重量になってしまいました。

第5次重量重心計算

このデータを元に第5次重量重心のチェックを行ったのが下の図表です。(第4次は割愛しました)

表5 第5次重量重心計算

今のところ、ノーマル飛行状態の全備重量は目標値の7,720gを10gオーバーで押さえられそうです。

外翼骨格の重量測定 大幅重量超過が発覚!

外翼構成品であるリブ組立、エルロン、翼端、サーボ組立、カウンターウエイトが出来上がったのでそれらの重量を測定しました。その結果目標重量を大幅に超過していることが発覚しました。

重量測定と完成重量予測

各構成品の測定重量は次の通りです。

合計して現状で、左外翼が569g、右外翼が563gとなりました。この状態から残作業での重量増を見込んで完成重量を予測すると表6になります。

表6 外翼完成重量予測

外翼は片翼で1,000gをオーバーする見通しです。目標重量は片翼700gでしたから両翼で630g(45%)も超過してしまいそうです。尾翼製作の経験から、プランク重量は多少過多に見積もっている可能性がありますが、片翼1Kgは覚悟する必要がありそうです。

失敗7 外翼重量の目標値大幅オーバー

重量超過の原因と反省

当初この現実に驚いてガックリしましたが冷静になってその原因を探ってみて理由が判りました。目標重量設定時に暗黙に想定した外翼の作り方と、実際の作り方に大きな差があるということです。

どう言うことかというと、目標重量はサーマル工房製の1/5模型の重量データを元にその重量にスケール比の2乗を乗じて設定しました。当初は3乗を乗じて設定する積りでしたが、プランク材やオラカバ製カバーリング等の主要部材の厚さは殆ど同じと言うことで2乗にした訳です。

これは、1/3模型は1/5模型と同様の作り方にすることを暗黙に想定したことになります。しかし今回の1/3模型ではより実機感を出すことと強度確保の為に1/5模型とはかなり異なっています。例えば、

  1. 一本桁の1/5に対し、1/3では2本桁に変更
  2. 桁ウェブをバルサからシナベニアに変更
  3. 2mm板厚リブの1/5に対して、1/3では2.5㎜(一部3mm)板厚のリブを採用
  4. 1/5のエルロンは単純エルロン形式だが1/3ではフリーズ式に。
  5. ヒンジもシート式から着脱可能なピン式に
  6. 1/5には無い翼端補助車輪やエルロンカウンターウエイトの装着

これらは全て重量増加の要因です。つまりこれらの重量増加要因を考慮せずに設定した目標重量に無理があった訳です。

第6次重量重心計算

このデータを元に早速第6次重量重心を計算しました(表7)。ノーマル飛行状態の重量は8,377gと予想され、想定した最大全備重量の8,700gに近づきました。目標重量に無理があることはこれから作る前胴にも当てはまると思われます。1/5模型では降着装置は単に短いカーボンロッドで主車輪を胴体に取り付けているに過ぎませんが、1/3模型では既に実機と同じようにゴム製の緩衝装置も持たせた凝った作りのものを製作してあります。今回の1/3では操縦系統や座席等も組み込む計画ですので、それらの無い1/5模型から推定した前胴の目標重量は過少であることが確実です。

どうやら想定した最大全備重量がノーマル飛行状態の重量となりそうです。強度検討や動力装置の選定は最大全備重量で検討してあるので飛行は可能ですが滑空性能にどの程度の影響が出るのかが気になります。この点については後で性能計算をして確認します。

因みに、サーマル工房が販売しているKa-8とMinimoaの1/5スケールと、1/3スケールの重量を同社のHP上のデータで見てみると、次のような値です。

製作によって幅のある重量は中央値を採りました。この比率で1/5三田式から1/3の重量を予想すると、1/5の重量が2,765gですから、3.33倍では9,210g、3.90倍では10,800gとなります。サーマル工房のこれら1/3スケール模型も、コクピット内部の操縦系統等は作り込まれていない上に降着装置も単純なものです。これらを考えると最大全備重量の8,700gで完成することも厳しいことが予想されます。目標重量設定時にこのような幅広い検討をすべきであったと反省しきりです。

教訓4 目標重量設定時にはベースとなる機体との作り方の相違、装備品の相違に十分注意せよ。

表7 第6次重量重心計算

製作その12 前胴主要骨格

続いて前胴の主要骨格の製作に入りました。

図面

図面22が前胴の主要骨格図です。この部分を主にカーボンチューブで製作します。

図面22 前胴主要骨格図

図面を良く眺めていると平面部分が存在することに気が付きます。主翼取付け部の左右パネル、コクピット床面およびキャノピーとの境界(キャノピーシル)の4つです。まずこれらのパネル構造を平らな板の上で製作します。

パネル構造の製作

後部胴体構造を製作した時と同じように、これらパネルの原寸大図面を焼きだして平板に置き、その上から接着剤の染み込み防止用に薄いポリフイルムを被せてから縦通材の位置決めに細いヒノキを図面に沿って打ち付けます。このヒノキで縦通材を固定します。下部縦通材は直線ですのでΦ7㎜のパイプ一本で済みますが、上部縦通材は階段状に折れ曲がりますので3本の部材を繋ぎます。接続部分はΦ4mmのアルミパイプを長さ60㎜に切断したものを、縦通材の内部にエポキシ樹脂と共に埋め込んで固めます。

次いで上下縦通材を繋ぐΦ5mmの部材を図面寸法にカットして、所定の位置に嵌め込んでから瞬間接着剤で固定します。部材の接続部はパイプの丸みに合わせてダイヤモンドやすりで丁寧にRを付けます。

画像67が主翼取り付け部の左右パネルの製作過程です。

画像67 主翼取り付け部左右パネルの製作

中央に見える細い2本の棒は厚さ1㎜のヒノキの棒で、Φ7㎜の縦通材にΦ5mmの縦部材を接着する時に段差を正確に確保するために敷いたものです。

同様にしてコクピット床面パネルとキャノピーシルも作りました(画像68)。

画像68 コクピット床面構造(上)とキャノピーシル(下)

キャノピーシルには左右の縦通材を繋ぐ部材がありませんので組立の都合上仮の接続部材を3本取り付けてあります。これらは組立が終わったら取り去ります。

主翼取付け部の横梁部材の加工

2枚の主翼取付け部パネルの上部にはそれらを繋ぎ、主翼を取り付ける横梁が2本取り付けられます。これらの横梁は10㎜角のカーボン角パイプで作りますが、その両端はΦ7mmの縦通材の折れ曲り部に接続するため極めて複雑な切込形状をしています。この部分の寸法取りに悩みましたが、結局次のようにして解決しました。

まず、横梁と縦通材の接合部の図面から横梁の上下、前後の展開図を書いてそれを実寸で印刷してから切出します(画像69)。写真では良く見えませんが両端に切り込み形状展開図が印刷されています。

画像69 切り出した主翼取付け横梁の展開図

切出した展開図を角パイプの周囲に貼りつけます。その上で展開図に沿ってヤスリでパイプを削って両端の加工を完成しました。

画像70 主翼取付横梁の端部加工

以上でパネルと主翼取付用横梁を作り終えましたが、問題はこれらをどのようにして組立てるかと言うことです。これらのパネルは上下、左右に複雑な角度を持って繋がれます。更に組み上がった前胴と既に完成している後胴を繋ぐにも複雑な角度問題をクリアーしなければなりません。組立治具が必須です。

製作その13 胴体組立治具

胴体構造をどのように組み立てるのか悩みましたが、ようやく組立治具の構想を固めて製作しました。

図面

図面23が組立治具の図面です。

図面23 胴体組立治具

いろいろな治具形式を構想しましたが、結局実物小型航空機の組立治具と同じような形式に落ち着きました。比較的太い柱を何本も建て、その間を組立てる胴体の角度と同じ角度を持った梁で繋ぎます。胴体床面に接する部分は4mm厚シナベニア板を張ってその上に実寸図面を貼り、図面に沿って胴体縦通材を挟む細棒を取り付けて位置決め精度を出すことにしました。実機の組立治具は専用の精密機械で切削や穿孔をして、レーザー測距器等で正確に位置を測定しながら組立てるので極めて正確に出来上がりますが、本治具は手引き鋸で切断、ハンドドリルで穿孔ですので精度はそれ程期待できません。そこで、平面である床パネルを先に作っておいて、組立てる方式にしたことからこのような構造にした訳です。

出来上がった治具

画像71が組み上がった胴体組立治具です。

画像71 完成した胴体組立治具

柱は15×15のヒノキ棒、梁は15×10のヒノキ棒で作り、それらをネジで組み付けました。柱には梁が取り付く位置が正確に決まるように実寸の図面を貼りつけてあります。貼りつけた図面に沿って梁を組み付けたところ、まずまずの精度で組み上がりました。

この治具に完成している後胴と前胴パネルを載せてみました(画像72)。

画像72 組立治具のへの仮搭載

割合うまく機能しそうです。

製作その14 前胴主要構造組立と前後胴体の結合

胴体組立治具を用いて完成している前胴パネルを組み立てました。当初は前胴だけを組立てて、後胴との結合はもっとずっと後にしようと思っていましたが、前胴の組立は後胴と結合して行う方が容易であることが判明したので、一体組立になりました。今後重量管理は胴体として一体で行う必要があります。組立て作業中の状況です。

画像73 組立治具上で組立中の前胴

画像74は主脚が取り付けられる台形状のトラス構造の組立状況です。治具の左右の梁に開けた穴を通してて竹ひごを渡して組立部品を保持しています。

画像74 主脚取付用トラス構造の組立

別の角度からです。

画像75 主脚取付用トラス構造の組立(胴体前方から見る)

主翼を取り付ける2本の梁は微妙な角度を持って従通材に取りつきます。主翼の前後桁間の距離とも正確に一致させる必要がありますので、画像76のような簡易位置決め治具を作って取り付けました。この写真は取り付作業後に撮ったので梁間を繋ぐブレースが邪魔して正規の位置にセットできていませんが、様子は理解頂けると思います。

画像76 主翼取付梁の位置決め治具

完成した胴体主要構造

組立が完了して治具から降ろしました。画像77が完成した胴体主要構造です。さすがカーボンロッド製です。非常に軽くこの状態で僅か710gです。

画像77 完成した胴体主要構造

胴体の前部、コクピットに当たる部分です。

画像78 コクピット部の構造

胴体中央部です。上部の2本の横梁が主が主翼取付け部になります。

画像79 胴体中央部

主脚を仮に取り付けてみました。

画像80 主脚の仮取付

なかなか良い感じです。このように書くと、恰もスムースに組立が進行したように思われがちですが、実際はかなり大変でありトラブルも発生しました。

トラス構造の部品点数は後胴も含めて165本もあります。カーボンパイプからこれを切出してキッチリ繋がるように正確な寸法と、端面の斜め加工をダイヤモンドやすりで一本一本施す作業が延々と続きました。手が真っ黒になる日が続いた訳です。

主脚が取り付く台形構造も脚を取り付けてみて初めて若干斜めになっていることが判明しました。原因を探ると治具に開けた穴位置が左右で若干ずれていたため、竹ひごが斜めに取り付いていたことが判りました。一度組立てた台形構造をバラして修正後再組み立てしました。

未だ組立ては瞬間接着剤で仮組みした状態ですので、衝撃を加えると分解します。今後大きな荷重や衝撃が加わる部位に補強を施してから、各接合部にエポキシ樹脂を盛って本接着します。

製作その15 操縦桿ジンバル機構

胴体主要骨格結合部のエポキシ樹脂塗布の合間を縫って、操縦桿のジンバル機構を製作しました。

実機のジンバル機構

三田式3型改1はタンデム式複座機なので前後席に操縦桿があり、左右に倒すことでエルロンを、前後に押し引きすることでエレベータを操作します。前席と後席の操縦桿は連動しており、どちらかを操作すれば他方も動きます。操縦桿をこのように前後左右に可動にするために、その下部にはジンバル機構があります。実機のジンバル機構の写真が画像81です。

画像81 実機のジンバル機構 左=前席 右=後席

前席は座席が取り付く胴体下部横梁の中央上側に取り付けられています。エルロン用に操縦桿を左右に回転させる軸(前後方向の軸)が横梁に取りつき、その軸の前部にエレベータ用の操縦桿を前後に回転させる軸(左右方向の軸)が取り付けられ、その前に操縦桿が取り付けられています。

後席は座席が取り付く胴体下部横梁の中央下側に取り付けられいます。前後の機構を連動させるために、操縦桿の最下部に取り付けた連結棒で前席操縦桿と繋がれています。また、ジンバルより上に座席下を通って機体後部に繋がるリンクが取り付けられています。これがエレベータ用操縦リンクです。

前席が横梁の上側、後席が下側に取り付いているので連結棒は斜めに取りつきます。従って当然前後方向の軸(エルロン用)も傾斜しています。

図面

実機の機構を真似て設計したジンバル機構図です。

図面24 操縦桿ジンバル機構

両ジンバル機構の連結図です。

図面25 ジンバル機構連結図

エルロン軸は外径7㎜内径5mmの短いカーボンパイプの両端に内径4mmのジュラコンブッシュを取付け、その中を4mmボルトが貫通します。ボルトの先端にはホームセンターで購入したアルミチャンネルから切出したコ材を組み合わせたヒンジを取り付け、その前にやはりホームセンターで購入したアルミパイプを取り付けます。このパイプには後日操縦桿を製作して挿し込みます。

アルミパイプの最下部には大型ラジコン機のリンケージ用ベアリング入りロッドエンドを取り付けてその間をΦ6㎜のカーボンロッド製連結棒で繋ぎます。連結棒には3mmネジを取り付けて長さ調整を可能にします。後席用ジンバル機構のパイプの上部にはやはりロッドエンドを取り付けてあり、ここにエレベータ方向に向かうリンケージが取り付きます。

製作

図面に基づいて作った部品がこれです。

画像82 ジンバル機構の部品

エルロン軸のパイプは2mm厚のカーボン板から切出した2枚のステーに挿し込まれ、このステー2枚で胴体下部横梁を挟んで取り付ける機構です。

ジンバル部分を組立てました。

画像83 組み立てたジンバル機構

前後のジンバルを連結棒で繋いだ状況です。

画像84 連結したジンバル機構

機体への取付

早速、機体に取り付けてみました。

画像85 ジンバル機構の取付テスト
画像86 ジンバル機構のアップ図

略、期待通りのジンバル機構ができあがったと喜んでいたのですが、続いて行ったエレベータ操縦系統の製作時に思わぬ落とし穴を見つけて改修を余儀なくされました。

©2021 Norimichi Kawakami

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