Sakaba Game Report:Web3ゲームこれまでの歩み

Nodra

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[日本公式]SAKABA_JP

13 min readAug 3, 2023

Web3ゲーム元年は既に過ぎている? Web3ゲームの市場浸透の兆し

“今年こそ(来年こそ)Web3ゲーム元年だ!(と毎年言われている。)”

“Web3ゲームは全く流行っていない。”

“Web3ゲームは面白くなくて、稼げなければプレイする人なんていない。”

なんてことをよく聞きます。これは本当でしょうか?

確かにWeb3ゲームは発展途上で課題が沢山あると思います。しかし一方で、この数年で沢山のゲームがリリースされ様々な挑戦がなされてきました。そのような中、Web3ゲームのマスアダプションの足掛かりになるような実績も少なからず出てきているように思います。

今回はいくつかのゲームプロジェクトのここまでの歩みを確認することで、Web3ゲームの市場浸透の息吹を皆さんと感じたいと思います。

以下の順にお話します。

1.各ゲームの紹介と歩みの確認

2.調査を通しての気づき

3.まとめ

どうぞ最後までお付き合いください!

1.各ゲームの紹介と歩みの確認

🎮 Axie Infinity＆Ronin Network

📝ゲーム紹介

最も有名なWeb3ゲームの一つです。Axieという可愛くて恐ろしいモンスターを収集し戦わせるゲームになっています。Axieは目、耳、口など6つのパーツから構成されていて、それぞれに対応した様々なスキルのカードが割り当てられています。Axieを3体用意して、3体×6枚セットのカードでバトルを行います。このAxieとAxieに装備するルーンとチャームをブリード・クラフトし、NFTとしてユーザー間取引を自由に楽しむこともできます。

Axie Infinity Origins

また、イーサリアムサイドチェーンとしてRoninチェーンを展開。Ronin上で様々なエコシステムを構築しています。マーケットプレイスやサードパーティゲームスタジオのゲーム展開、AxieのNFT及びIPを用いたサードパーティゲーム開発などです。

🏆実績

🎮Axie Infinity

・2018年8月オープンβ開始 (稼働期間約5年)

・2022年12月別ゲームモード Axie Infinity: Homeland 初期α 開始

・2022年12月 eSportsチーム Cloud9とパートナーシップ締結

・最新VerであるAxie Infinity:Originsのダウンロード数 1M以上

・NFT取引総額 $4.27B

・NFT取引額 $42.00K / 日 (直近30日間平均)

・NFT取引アイテム数 4.08K 個 / 日 (直近30日間平均)

・NFT取引平均価格 $10.29 / 個 (直近30日間平均)

⛓Ronin Network

・2021年2月 Roninネットワークメインネットローンチ (稼働期間約2年半)

・2022年12月 AxieのIPとNFTを活用したサードパーティゲーム DoLL、App.axieを通じて公式ベータ版をリリース

・2023年3月サードパーティスタジオによるRonin上のゲーム The Machines Arena、クローズドβ 開始、Epic Games Storeにリスト

・2023年5月サードパーティスタジオによるRonin上のゲーム Battle Bears Heroes、一部地域でリリース

Axie Homeland

Axie DoLL

The Machines Arena

Battle Bears Heroes

🎮 GODS UNCHAINED

📝ゲーム紹介

デジタルトレーディングカードゲームです。カードをNFTとして所有し、自由にユーザー間取引ができます。マジックザギャザリングとハーフストーンの長所を合わせた、競争力のある戦略的でバランスの取れたカードゲームと言われています。

GODS UNCHAINED

🏆実績

・2019年7月オープンβ開始 (稼働期間約4年)

・2022年年間実績

-マルチアカウントとボットに関する新しいルールを導入後の中、298K人の新規プレイヤーが参加

-𝟑𝟕.𝟖M回のゲームプレイが実施(2021年比 162％ )

-𝟏𝟏.𝟖M時間のゲームプレイが実施(2021年比 144％)

・2023年2月モバイル版クローズドプレαテスト実施

・2023年6月市場拡大を目指す一貫として、Epic Games Storeにリスト開始

・NFT取引総額 $230.09M

・NFT取引額 $651.33K / 日 (直近30日間平均)

・NFT取引アイテム数 9.61K 個 / 日 (直近30日間平均)

・NFT取引平均価格 $72.72 / 個 (直近30日間平均)

🎮 Sorare

📝ゲーム紹介

実名のスポーツ選手を用いたデジタルトレーディングカードゲーム。現実の試合の戦績がゲームのスコアに反映される、新スタイルのエンターテインメントです。カードがNFTになっています。自由に選手を集めて自分だけのドリームチームをつくり、他のプレイヤーとスコアを競います。スポーツはFootball、NBA、MLBに対応しています。

Sorare

🏆実績

・2019年3月ゲームリリース (稼働期間約4年半)

・ユーザー数 180の国に計 3.7M 人以上

・プレミアリーグ、ラ・リーガ、ブンデスリーガ、セリエ A、MLS、NBA、NBPA、MLB、MLBPA 等を含む300 以上の組織と提携

・NFT取引総額 $669.63M

・NFT取引額 $391.29K / 日 (直近30日間平均)

・NFT取引アイテム数 11.55K 個 / 日 (直近30日間平均)

・NFT取引平均価格 $33.88 / 個 (直近30日間平均)

🎮 Cross The Ages

📝ゲーム紹介

無料プレイ可能な、モバイル対応トレーディングカードゲームで、ゲームのキャラクターやストーリーは、連載中のファンタジーとSFが融合した7つの無料小説に基づきます。カードはNFTの他に、NFTに紐づいた物理カードがオプションで提供されるのが特徴。ロードマップではメタバース要素の提供も計画されています。

Cross The Ages

🏆実績

・2023年3月正式リリース、5月には4週連続 App Store でダウンロード数TOPを達成

・NFT取引総額 $6.44M

・NFT取引額 $33.33K / 日 (直近30日間平均 )

・NFT取引アイテム数 741.20 個 / 日 (直近30日間平均)

・NFT取引平均価格 $44.97 / 個 (直近30日間平均)

🎮 ev.io

📝ゲーム紹介

ブラウザで動作する軽快なシューティングゲーム。それでいてしっかりとeSportsな仕上がりになっています。忍者のように飛び回るアクションにも注目。モバイルにも対応しています(こちらもブラウザで動作)。ゲーム空間で広告を既に設置しており、広告収入のユーザー分配が既にエコシステムとして動いていることも興味深いです。

ev.io

🏆実績

・2021年1月 β版リリース(稼働期間約2年半)

・累計ユーザー数 400K人以上

・Youtubeで、ブロックチェーンの言及がなく、1ゲームとして紹介されているコンテンツが散見されます

🎮 EGGRYPTO

📝ゲーム紹介

スマホで簡単に遊べるNFTゲームをコンセプトとしたWeb3ゲームです。育成したモンスターを編成し、セミオートバトルでクエストやPvPを攻略しながら、“レアモン”と呼ばれる希少性がかなり高く滅多に手に入らないNFTモンスターの獲得を目指します。綺麗で独創的なモンスターデザインや音楽にも注目です。

EGGRYPTO

🏆実績

・2020年4月正式サービス開始 (稼働期間約3年)

・累計1.5M ダウンロード

・レアモンNFTの取引総額 412ETH (Opensea上のETHとPolygonチェーンの合計)

・Youtubeで、ブロックチェーンの言及がなく、1ゲームとして紹介されているコンテンツが散見されます

🎮 NFL Rivals

📝ゲーム紹介

NFLと提携しているアメフトゲーム。指揮官として実在する選手をカードとして集めてチームを編成、ランとパスの指示を出してアメフトを楽しむゲームです。アメフトの試合はスマホでカジュアルに楽しむことができます。選手カードが一部NFTとなっています。

NFL Rivals

🏆実績

・2023年4月アーリーアクセス開始後、約1ヵ月で1M ダウンロード突破

・NFT取引総額 $714.05K

・NFT取引額 $7.67K / 日 (直近30日間平均 )

・NFT取引アイテム数 400.70個 / 日 (直近30日間平均)

・NFT取引平均価格 $19.14 / 個 (直近30日間平均)

2.調査を通しての気づき

💡カードゲームとスポーツの強さ

今回、私が印象に残っているゲームを任意でいくつかピックアップしました。結果として、カードゲームないしカードゲーム要素があるものが多くなりました。

これは、以前より言われているNFTとトレーディングカードゲームの相性の良さを物語っている気がします。

また、実際のスポーツと提携したゲームの実績の高さも改めて認識しました。スポーツ観戦を嗜む人口の多さ、スポーツという永続性のあるコンテンツの強さ、が発揮されている結果だと思います。

💡NFT取引総額 = 取引単価 × 取引個数

リリース後、Web3ゲームの経済がどれくらい回っているかを知る指標の一つとしては、フロアプライスの推移よりはこちらの計算式の方が参考になることが多いのではないかと思っています。取引総額だけではなく、この式で見ることが重要で、ゲーム経済の活気には取引単価が小さく取引個数が多い状態が好ましいのではないかなと考えています。この形は、NFTのマスアダプションへの貢献度も高いのではないでしょうか。

DappRadarで1日のNFT取引額ランキングを見てみると、多くのNFTアート、PFPプロジェクトに混じって、今回挙げたAxie Infinity(33位)、GODS UNCHAINED(5位)、Cross The Ages(53位)がランクインしています。いずれも、取引単価が低く、取引個数が多いことが顕著に出ています。

GODS UNCHAINEDはランキング5位で、周りのプロジェクトと比較して売買数が目立って多いことが分かります。(2023年8月1日時点)

これは、Web3ゲームが経済を回す、NFTを活用した自由なユーザー間取引を楽しんでもらう、ことに向けての良い兆候ではないでしょうか。

最近ではNFTの扱い方として、ゲームを通してトークンが獲得できるユーティリティを備えたアイテムやキャラクターなどのNFTを販売する形ではなく、ゲームプレイを通じてアイテムやモンスターなどのNFTを獲得でき、それらをユーザー間取引をして楽しんでもらう形を目指すゲームが増えてきました(Play to Own,Play to Mint)。MMORPGのアイテム、モンスター収集育成ゲームのモンスター、シューティングゲームやバトルロワイヤルでのスキンなど、これらが「低単価 × 多取引個数 = 大きな取引総額」の形でNFT取引額ランキングを賑わせてくれることに期待したいです。

3.まとめ

以上、私が印象に残っているゲームを任意でいくつかピックアップし、ポジティブに受けとれそうな数字や出来事を集めてみました。如何だったでしょうか?

正直に言うと、全てのゲームに課題は存在しネガティブな数字や事象も抽出できるはずで、情報を包括的に捉えた分析ではないです。また、既存のゲーム市場の実績に比べれば、もちろん小さい内容が多いです。例えば、2023年のヒットゲームの“ゼルダの伝説ティアーズオブザキングダム”や“崩壊スターレイル”、“ホグワーツレガシー”は1,000万本以上の出荷や何百億円規模の売上があります。

しかし、とはいえ、上記の実績を振り返ると、決して少なくない人達がゲームを楽しんでおられ少なくないお金が動いているとも言えます。一般ゲーム市場では、激しい競争の中で連日沢山のゲームがリリースされており、1年以上運営を続けることや、ソフトが100万本以上の出荷・ダウンロードされることが叶わないゲームも沢山あることを考えると、なおのこと悪くない数字に見えます。また、実績の中には、例えばSorareのユーザー数やNFTの取引総額のように、既存のゲームやエンターテインメント市場の中においても注目に値するものもあります。

過大評価は良くないですが、それと同時に過小評価も良くないのかなと思います。つい、より新しい(最近リリースされた)ゲーム、より刺激的な情報に次々と目が行きがちなWeb3シーンですが、リリース後も挑戦を続けるゲーム達のその確かな歩みを、賞賛し応援することも忘れずにやっていきたいです。そうすれば、Web3ゲームはもっと盛り上がってもっと楽しくなるのかもしれませんね。