二度目の投稿になります東京工業大学修士1年水野貴也です。よろしくどうぞ。

Dance with ambiguity”(曖昧さとダンス)

EDPの代名詞とも言えるこの言葉。明確なゴールが無い不明瞭な状況の中、悪戦苦闘しつつもプロジェクトを進めて行く様子を表現している言葉です。毎回講義の最初に先生が口にしており、存分にその意味を体験することとなりました…。

しかし、あまりにこの言葉を意識しすぎると大切なものまで「曖昧」で片づけてしまう恐れがある。今日はそんなお話です。

EDPは、デザイン思考により本人も自覚していないような潜在的なニーズを見つけ出し 、それを解決するソリューションを作り出す。実際にユーザーテストを行いフィードバックを受けまたやり直す。ダメそうなら振り出しに戻る。こんな感じの流れで進めて来ました。

どのチームも頭を抱えることになるのが、このプロセスにおいて「明確な正解が無い」と言う点です。

『このユーザーが抱えている問題点は本当にこれなのか?』

『このソリューションは本当にユーザーにとって価値あるものなのか?』

ユーザーですら気づいていない問題に取り組もうというのですから、誰も正解はわかりません。先生方も可能性を示すことは出来ますが、こうすれば大丈夫なんて言いません、言えません。確かな目印がないままプロジェクトを進めて行く様子は、まるで霧の中あるかもわからないようなゴールを目指して歩いて行くような、そんな感覚です。みんな迷子でも歩き続けないといけない、大変ですね。それでも慣れてくると先が見えない中でも次はああしてみよう、こうしてみよう、試行錯誤を繰り返してゴールを探せるようになっていきます。

しかし、そういうものだと思って曖昧さに馴れてしまうのは危険です。いくら道筋が曖昧だからといっても自分達がやってきたことは確かな事実であり、間違いなく明確なものです。それは“ambiguity”(曖昧さ)で片づけてはいけません。いろんな道筋を試した後、いざ次はどうしようかと考えるとき、今までの道のりを振り返れば案外見えてくるものがあったりします。未開の地を探索するとき、多くの人が自分たちが通ってきた道のりを参考に進んでいくでしょう?どれだけ探索してもいい、でも必要があればちゃんと引き返せるようにしておくことが重要です。

講義を通してこまめに記録を残した方が良かったなぁと思いました。いかんせん不明瞭な状況の中駆け足で進めていくことに馴れてしまったので疎かにしてしまいましたが、自分たちが何を元に、どんな判断を下し、どんな道筋を歩んできたのか、いつでも見直せる地図は作っておいた方がいいです。がむしゃらに進んでみて、いざ振り返ってみると今どの辺にいるのか、どれだけ歩いてきたのか把握できなければ本当に迷子になってしまいます。

先が見えない旅路でも、自分達の足跡はしっかりつけて行きたいものですね。自信を持って次の一歩を踏み出すために。

--

--