昭和女子大学「デザイン計画特講C」にて東工大EDPに関する講義を実施(2021年4月)

東工大エンジニアリングデザインプロジェクト(EDP)担当教員の坂本啓です。専門は宇宙工学(人工衛星の開発)ですが、その専門性も活かしつつ、エンジニアリングデザインを実践的に学ぶEDPの設計・進行を担当しています。

東工大EDP講義には、2019年後期から昭和女子大学・環境デザイン学科の学部生が毎年1~2名、単位互換生として参加してくれています。

2021年4月、訪問。

初代(2019年度)の参加者、小林明日香さんが、自身の参加体験をMediumの記事にまとめてくれています。

その中で小林さんは、2020年度に受講する後輩たちに向けて、

良くも悪くも環境デザイン学科は忙しいことで有名なので、参加を決断をすることに大変勇気がいったのではないかな、と思いますが…
必ず、参加してよかったなという経験になると思います。

という力強いメッセージを書いてくれています。

2020年度(2名)に続き、2021年度も2名がEDPに参加してくれる予定です。

いまやEDPにとって、昭和女子大学・環境デザイン学科とのコラボレーションは、EDP受講生の多様性を高めるうえでたいへん重要となっています。

そんな中、2021年4月に昭和女子大学・環境デザイン学科の講義「デザイン計画特講C」にて、EDP担当教員(=私)が、EDPの試みについて紹介する機会をいただきました。本講義は毎週、オムニバス形式でそれぞれのデザイン領域における具体的な内容を、外部からのゲスト講師が講義するスタイルです。

そんなわけで、2021年4月12日に「『エンジニアリング × デザイン』 を融合する教育の挑戦」という題目で、90分間の講義を実施しました。受講生は約300名とたいへん大勢でした。

「デザイン計画特講」にて東工大EDPに関する講義を実施(2021年4月)

2020年に昭和女子大学生がプロジェクトに参加した「農Sight」のプロダクトを例に取りながら、「エンジニアのためのデザイン思考入門」の著作の内容をベースにした解説を行いました。

すなわち、EDPを構成する3つの要素は以下である。
・「場」づくり
・「デザインプロセス」=「型」づくり
・「マインドセット」づくり

中でも、「場」づくりの解説では、アイスブレイクを講義の中で実践しました。

今回、意図的に、2段階のアイスブレイクを行いました。1段階目は、Mediumの渡辺さんの記事でも紹介されている「描けそうで描けないものを描いて見せる」というもの。そして、2段階目は「自分が好きなものを10個挙げて、隣の人と共有する」というもの。

2段階目は比較的心理的ハードルの高いものですが、1段階目の活動で、受講生は
・すでに隣の人とおかしなものを共有しあって笑いあっている
ことで心理的なハードルが下がっていて、第2段階が楽にできる。そんな心理的な要素に加えて、実はそもそも1段階目で
・筆記用具を出して、自分の手を動かしている
という物理的な準備をすでに完了していることが、2段階目をより効果的に機能させているわけです。

このようにEDPでは、初めから答えを見つけようとせず、失敗することを前提に、それでも少しでもより良いものに近づいて行こう、という反復の過程を重視しています。そういうEDPでの基本的な考え方を、アイスブレイクの反復で実演してみました。

2021年春学期終了後、昭和女子大学「デザイン計画特講」受講生のレポートやアンケートの一部を見させていただきました。すると、私が90分間の講義ではうまく言語化できなかった範囲までEDPの取り組みの文脈を理解し、自身の言葉で「こう理解した」と書いてくれている素晴らしい提出文が複数あって、非常に驚きました。

実は普段、なかなかエンジニアに対してはEDPの意義を言葉では伝えられないもどかしさを私は感じているのですが、一方で昭和女子大学・環境デザイン学科で学ぶ皆さんにとっては、EDPの取り組みは普段の問題意識と合致するところが多かったんだなと感じられました。場所によってこんなにもEDPの受け取られ方が異なるというのは、うれしい発見でした。

「ぜひ私もEDPに参加してみたい」という力強い感想も複数ありました。そういう皆さんにはぜひ、来年度の募集に応募していただきたいです。

昭和女子大学環境デザイン学科の教員・学生の皆さん、「デザイン計画特講」への参加の機会をいただきありがとうございました。今後とも東工大EDPをどうぞよろしくお願いします。

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Hiraku Sakamoto
東京工業大学エンジニアリングデザインプロジェクト

Associate Professor; Engineering Sciences and Design (ESD) Graduate Major, Department of Mechanical Engineering, Tokyo Institute of Technology, Japan.