CAR 2016レポート1 : IREインストラクターが薦める4つの検索ツール
前回: NPOジャーナリズム団体「IRE」、そして「CAR 2016」のハイライト
2016年3月、アメリカ・コロラド州でIRE(Investigative Reporters & Editors )主催のCAR 2016 カンファレンスが開催された。カンファレンスでは、CAR(コンピューター補助報道)を向上させるためのセッションが展開された。
そのうちの一つである「Finding Stuff Online」は「Google以外にも使える検索ツールがある」というテーマのもと、調査報道で使える検索ツールが紹介された。プレゼンターを務めたのは、IREエグゼクティブディレクターのMark Horvit氏とIREトレーニングディレクターのJaimi Dowdell氏。
今回は、両プレゼンターが紹介したツールのうち、特徴的なサーチエンジンや検索ツール、そしてソーシャルメディア内の検索ツールなど4つのフリーツールを紹介する。
1. SimilarSites — 似ているサイトを検索
SimilarSitesは、サイトのURLを入力するだけで、そのサイトに似ている別サイトを表示してくれるサービス。
使用例
サイトのURL(今回はhttp://www.asahi.com/: 朝日新聞デジタルを使用)を入力。
自分のお気に入りのサイトを見つけたときに、SimilarSitesを使って、それと似たサイトを探すことが可能。
2. Facebook Graph Shortcuts — Facebookの「いいね」を一括検索
データジャーナリストやウェブストラテジストとして活躍するHenk van Ess氏によって開発されたFacebook Graph Shortcutsは、FacebookのプロフィールIDをつかった検索ツールである。(*使用するためにはFacebookの言語設定を英語にする必要がある)
例えば、FB ユーザーがいいね、またはコメントをした投稿や、タグされた写真をまとめて検索することができる。(検索するFacebookユーザーと友達でなくても、検索することが可能)
使用方法
- FacebookのプロフィールIDを取得
2. プロフィールIDをサーチエンジンに入力
プレゼンターは、あらゆる情報をオンライン上でシェアする時代に、ソーシャルメディアの情報を追跡できるツールは調査報道で必要不可欠であると説明した。
Facebook Graph Shortcutsに関するより詳しい使い方ガイドは、The Research Clinicが公開している。
3. Rapportive — Gmailをデータベース化
Repportiveは、Gmail上にメールアドレス所有者のより詳しい情報を追加できる、Gmailのプラグインツールである。
Repportiveをインストールすると、Gmailにメールアドレス所持者の詳細情報を表示したサイドバーが追加される。この情報は、メールアドレス所持者のLinkedInと連携している。
Gmail上で、LinkedInやTwitter、Facebookなどのソーシャルメディアの情報をまとめて取得したり、個人のメールアドレスを探したりする(推測)ためのツールとして使える。
4. StartPage — 世界一プライベートなサーチエンジン
オランダのStartPageは、「全ての人にプライバシーの権利がある」という信念のもと、ユーザー情報を保持しないサーチエンジンサービスを無料で提供している。
IPアドレスを記録せず、トラッキング機能を排除したサーチエンジンだ。Googleの検索結果をStartPageが仲介し、ユーザーの匿名をキープしている。
その他、プレゼンで紹介されたサーチエンジン
Instya: 複数の検索エンジンを一度に調べることが可能
Duck Duck Go: IPアドレスが記録されない
Yippy: キーワード候補を表示
Gigablast: リアルタイムインデックスを更新
Million Short: 検索結果のtop100件を削除
Yandex: ロシアで一番使われているサーチエンジン
Dogpile: GoogleとYahoo!の検索結果を表示
Horvit氏とDowdell氏は、検索ツールを目的によって使い分け、オンライン上での情報探しの効率を高めることは、コンピューター補佐報道において重要なポイントだと述べ、セッションを締めくくった。
情報超過多が進むオンライン上で、特定の情報に強い検索ツールの需要が高まりそうだ。
次回: CAR 2016レポート2 数字にいのちを吹き込むデータジャーナリズム