報道でデータビジュアリゼーションが必要なのか[ 1 ]

Marika Katanuma
TOKYObeta Journal
Published in
3 min readDec 28, 2015
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12/25(金)、Data Visualization Japanのミートアップが、ソニーの共創スペース, Sony-Creative Loungeで開催された。

今回のミートアップでは、様々な分野の視点から見たデータビジュアリゼーションについてのプレゼンテーションが行われた。その中でも、データを使った報道に携わる山本智さん(日本放送協会)と鎌田健一郎さん(日本経済新聞)のトークを切り口に、「報道でデータビジュアリゼーションが必要なのか」という問いについて考えたい。

テレビとデータビジュアライゼーション / 山本智さん(日本放送協会)

NHK放送局でネット報道部のチーフプロデューサーを務める山本さんは「映像とデータ使用の相性」や記者の立場から見たデータとの向き合い方について話した。

報道においてデータの使用は必要不可欠であるが、映像でデータを使うことの難しさがあるという。

山本さんは、テレビで使われるデータは、「最大 」や「 最低」のような極端な数値や、「前年比」や「平均」のような指標にとどまり、記者が取材から得たデータのアウトプットができていないという実情を述べた上で、なぜそのようなデータの単純化が起きているのかを説明した。

山本さんが挙げたのは、データを見せられる尺の長さが映像では、読みものと比べて極端に短いということ。例えば、新聞やオンラインニュースでは少し複雑なデータでもグラフやチャートをつかって数字をビジュアライズし、さらに説明文を加えて、読者の理解を高めることができる。しかし、映像の世界は非常に短い時間でデータを紹介するため、極端だったり、単純なデータの使用にとどまりがちになるという。さらにグラフやチャートは、視聴者が瞬時に要点を読み取れるような、伝えたい箇所を過度に誇張したビジュアライゼーションになる傾向があると、映像ならではのデータ使用の難しさを話した。

記者の立場から見たデータとの向き合い方については、データの扱いに記者が慣れていないという現状を語った。

NHKが過去に放送したデータの誤用を例に、記者のデータ分析やその見せ方に関する意識や知識の低さを捉え、そもそも記者が報道でデータを使うことを重要視していない点を指摘した。データを使った報道システムが記者の間で確立されていない現状から脱却する方法はまだみつかってないが、とりあえずできることからやってみたいと述べた。

つづき: なぜ報道でデータビジュアリゼーションが必要なのか[2]

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