コロナウイルス:ダンスを学ぶ (「ハンマーとダンス」続編)

パート1:世界中の国々から学べること、または、ダンスのマスター・クラス

Tomohisa Kato
Tomas Pueyo
30 min readApr 22, 2020

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(累計で6,000万人以上が閲覧し40か国語以上に訳された @tomaspueyoの「ハンマーとダンス」等の続編 “Coronavirus: Learning How to Dance”を @akjac17 と共に翻訳)

ダンスとは発見、発見、発見です。 — マーサ・グラハム

一ヶ月前に「Why you must act now」でコロナウイルスへの警鐘を鳴らしました。その後、「The Hammer and the Dance」(邦訳)で私たちはコロナウイルスについて、各国に時間を稼いでほしいとお願いしました。そして「Out of Many, One」で、アメリカのコロナウイルスの状況を詳しく見てきました。これらの記事を合わせると、6,000万人以上が閲覧し、40以上の言語に翻訳されました。

以来、コロナウイルスの確認症例数は12万5千人から250万人以上へと20倍に増えました。世界中で何十億人もの人々が「ハンマー」の下敷きになりました。ウイルスの拡散を鎮めるために、各国政府は社会的距離を保つための厳格な措置を実施しています。

「ハンマー」は正しい判断でした。「ハンマー」のおかげで、流行を抑え次の段階である「ダンス」期に何をすべきか、考える時間が持てました。しかし「ハンマー」は難しい。何百万人もの人々が、仕事、収入、貯蓄、ビジネス、自由を失っています。世界は答えを求めています。

訳者注: ここで言う「ハンマー」は 緊急事態宣言やロックダウンなど短期間の厳格な措置を、「ダンス」とはその後の長いコロナウィルス との戦いをそれぞれ示している。(詳しくは邦訳参照)

「ハンマー」はいつ終わるのか?いつになったら措置を緩和して、元の状態に戻れるのか?何が必要なのか?人生はどのようなものになるのだろうか?

いつになったら我々は「ダンス」期へたどり着けるのだろうか?

この記事では、いつ、どのように、私たちはダンス期を迎えるのかを説明します。具体的には、次のことを「発見」していきます。

  1. 世界の国々の経験から何を学ぶことができるでしょうか?
  2. ダンス期にどのような措置を講じれば、新しい通常の状態に戻れるのでしょうか?どんなコストが必要でしょうか?
  3. どうすればそれらは実現できるのでしょうか?

あなたが学ぶのは次の点です。

  • ハンマーは時間を稼いだ。数百万人の命が救われた
  • 「ダンス」のために何をすべきか分かった
  • 多くの国が道を示してくれた
  • 成功からも失敗からも学べる
  • 実は、多くの犠牲を払わずとも「ダンス」はできる
  • 企業や学校を閉鎖する必要はないだろう
  • しかし、これらの対策が何であるかを正確に知る必要がある
  • 政府には果たすべき大きな役割がある
  • ほとんどの政府はまだやるべきことをやっていない
  • 通常の生活に戻ろうと焦っているので、準備ができていないまま急いでいる
  • 多くの国では二度目の発生が予想される
  • 正しくやれば、数週間で元の生活に戻れる
  • 1年ほどは生活が変わるだろうが、この変化は合理的なものになるだろう
  • このようにして、大量死と経済崩壊、その両方を避けうるだろう

今回の記事は、小型本程度のサイズにまで急激に増加したので、一度にすべてを公開するのではなく、1日に1つのセクションを公開します。どの記事も見逃したくない方は、メールマガジンに登録してください。今日は、その第一弾を公開します。ダンスのマスタークラスです。

それでは参りましょう。

登録してください。本日、記事の最初の部分であるA Dancing Masterclassをリリースします。

やってみましょう。

1.世界の現状

世界中で症例は増え続けています。

図表1: 累計症例数(全世界)

しかし、この増加の裏には非常にポジティブな事実もあります。事態は良くなってきています。

図表2:日次の新規症例数(全世界)

まだ最悪の危機と戦っている国もあります。迅速に対応した国では何百万人もの命が救破れました。

図表3:日次の新規症例数(世界各国別)

記事の下部の注釈1 参照

このグラフを見てまず頭に浮かぶ疑問は、「彼らは何をしたのだろうか」ということです。危機を克服した国、危機を回避した国、それぞれの国の経験から何を学ぶことができるのでしょうか?

そのためには、各国がハンマーとダンスの段階でどのようなポジションにいるのか、知る必要があります。

図表4:各国が「ハンマー」期や「ダンス」期のどのフェーズかの概況

リンク: flag icons from Vathanx, NPIs from Johns Hopkins via epidemicforecasting.org, NPIs from ACAPS

ハンマーの下にある国々は、世界の人口の60%近くを占めています。何十億人もの人々が移動の自由と生計を失っています。彼らは再び人生をやり直さなければなりませんが、恐怖や情勢のためにそれも難しい状況にあります。

だからこそ、ハンマー期の国の多くが少しずつ経済を開放するよう計画しているのです。学校を再開し始めた国もあれば、ビジネスを再開した国もあります。しかし、ほとんどの国はまだそれをしていません。

ハンマー期の国々は、将来のダンス期がどのようなものか、どのように把握すればよいのでしょうか? 大流行が再び起き生活が破壊されるということはないと確信が持てるような、病人や死者を減らす計画を立てるには、どうすればいいのでしょうか?

タイムマシンを使うのです。

そう、インターネットという名前のタイムマシンを。

そしてそれを使って見に行く未来とは、台湾、香港、中国、韓国という名前で呼ばれています。

2.ダンスのマスター・クラス:未来への旅

私たちがいる長くて暗いトンネルの先には光があります。私たちはそれを知っています。なぜなら、他の国々がどのようにして光の中に出ているかを見てきたからです。

ハンマー期の後に何が起こるか知りたければ、我々の旅の最初の目的地は、ハンマーを捨て去った唯一の国でなければなりません。というわけで、渡航禁止令を破って中国に行ってみましょう。

ハンマー期の後、ダンス期の中国

中国の事件の詳細を説明する記事はこちら。年表はこちら

中国では、1日あたりの新規症例数がピーク時の6,000例近くから60未満に減りました。これは、人口あたりでいえば、米国の新規症例数の約2,000分の1です。彼らは、世界で最も重いハンマーを叩いてそれを達成しました。この男性の経験は、それがどのようなものであったか簡潔に表現しています。要点は、すべてが閉ざされていたこと、誰もが家にいたこと、いつでも、何週間も、どこでもそうだったことです。

中国では、新規感染例数がピーク時の6,000件/日近くから60件/日以下に下がりました。一人当たりの新規感染例数でいえば米国の約2,000倍少ないことになります。彼らはこれまで見たこともないような 重いハンマーでそれを達成しました。その様子を簡潔に表現しているのがこの男性の経験です。要点は、すべてが閉ざされていた、誰もが家にいた、何週間も、どこにいても、ということです。

今はどうなっているでしょうか?このtwitterのスレッドは4月10日現在の北京の画像が投稿されています。

ツイート訳: この数週間、北京でのムードは一変し、未来は終末的なものではなく、単に厳しいものになったように見えます。経済的な痛みが本格化してくると、また厳しいムードになるのでしょうが、世界の終わりのような気分は終わるでしょう。

ツイート訳:最後の写真は、帰りのタクシーの運転手の写真です。彼のマスクを見ると、北京で病気になっても大丈夫だと思っているようです。

人々は再びマスクをして街を歩いています。ほとんどの企業や交通機関の駅や企業には 検温や「健康コード」のチェックポイントがあります。

ツイート訳:武漢の封鎖は解除される予定だ。しかし、人々の警戒が緩むと感染の別の波が来るのでは、と多くの住民が恐れている。

「健康コード」は政府によって割り当てられたコードです。あなたのコードが緑色の場合はどこにでも行くことができますが、黄色や赤の場合は、自己検疫または隔離しなければならず、ほとんどの建物に入ることが禁じられています。

ツイート訳: 北京など中国の都市は、ウイルスの震源地である武漢を出発する人々に、コロナウイルスの検査結果の出発前に提出するよう要求しています

すべての人がどこにいたかを把握し、伝染病に感染している可能性のある人をすべて追跡するために、(中央部か地域のいずれかで)これらのアプリからのすべてのデータを政府は一元管理していると考えられています

旅行はまだ非常に限られていますが、再び多くの検査の実施と、またそこで働く職員はマスクを遥かに超えた個人用保護具 (PPE) を身に付けた上で、いくらかが実施されています。

ツイート訳: 半年後のアメリカの空の旅はこうなるでしょう

学校は休校のままですが、今月末までに再開されるところもあると言われています。

その他で我々に示唆を与えてくれる国・地域では、韓国、シンガポール、台湾などが挙げられます。

図表5:東アジアの国々での日次新規症例数

韓国は、アウトブレイクを克服し、現在、国を挙げて封鎖することなしに、「ダンス」を成功させた最初の国として挙げられます。シンガポールは、長い間「ダンス」に成功したことと、その後に失敗したことから学ぶことができます。そして台湾は、中国に非常に近いにもかかわらず、アウトブレイクが全く発生していない国として挙げられます。

それらを見てみましょう。

台湾はずっとダンス期

台湾は中国に近く、中国との関係も深いため、大規模な感染が予想されていました。しかし4月19日現在、コロナウイルスの感染数は104位で、1日に数人が感染しているのみ、累計では約400症例です。人口が300倍も少ないアンドラでは、その2倍の患者数を抱えています。

台湾は事業や学校の閉鎖、集会禁止などをしていないにもかかわらず、これを達成しました。台湾は、他の国が耐えなければならなかった大きな負担をこうむらずにすみました。どうやって成し遂げたのでしょうか? こちらをご覧ください:

ツイート訳: 台湾政府は検疫のために私の携帯を衛星で追跡している。午前7時30分に電池切れになった。午前8時15分までに、4つの異なるユニットから電話があった。8時20分、警察が私のドアをノックした。

この話は、彼が経験した、台湾上陸後の信じられない検疫についてです。もう少し引用すると:

翌日の朝8時半、早朝の電話で起こされました。それは、私がどこにいるのか、私が誰であるのか、旅行歴や現在の健康問題や症状を確認するための地方自治体の協議会からのものでした。
午後14:30、またしても地方議会からランダムチェックの電話がかかってきました。

「通常のランダムチェックです。15:00に地元の担当者があなたの家を訪問します。気分はどうですか?」
「私は大丈夫だから、私たちが家にいることを確認するために無作為に電話をかけるの?」 と聞いてみました。
「はい、1日2~3回は行っています。住所を離れず、家族を守るために必要な対策をしてください。家を出ると、すぐに警察が来ると思います。」
「しかし、どうやって人が家を出るのを知っているのか?私は空港で運ぶために任意の追跡携帯電話デバイスを受信していないので、私はGPS追跡されませんでしたか?」 と疑問を呈しました。
「いいえ、携帯電話は持っていない場合のみお渡しします。自分の携帯電話を持っているので、14日間は常に電源が入っているようにしてください。もし電波が届かなくなった場合は、すぐに他の方法でご連絡ください。」
「もしかして、私はもう追跡されているのでしょうか……? 」
「はい、あなたの番号を教えてくれたので、それで十分です」

後日20:30に、時間外の番号に報告するようにとのメッセージが届いた。私は折り返し電話をかけ、ルールに違反していないので理由を尋ねました。
「あなたの携帯は一時的に電波が途切れたか、長時間全く動きがなかったかもしれません。その場合、あなたが携帯電話を家に置いてきたかもしれないとシステムは想定します。あなたを外出させるリスクを私たちは冒すことはできません。」

就業時間後サービスの担当者が教えてくれた 彼らのシステムは、あなたがあまりにも動かなければ、あなたが未稼働状態であることを検出することができるということですね…

この検疫プログラムは、驚くほど印象的です…

ジョナサン・チェン

台湾の準備レベルは驚異的です。これは3月以前に彼らが取った100以上の対策のリストです。リストとその他のソースからのいくつかの例を以下に示します

  • 早期に厳格な渡航禁止令を毎日更新した
  • 彼らはマスク生産の管理を一元化し、1日240万枚(当時の必要枚数130万枚の2倍)からスタートした
  • 儲け主義を避けるために価格を設定し、当初はマスク1枚あたり0.50ドルとした
  • マスクやその他の重要なアイテムの価格をめぐっては、1年から7年の懲役と16万7000ドルまでの罰金が科せられるようになった
  • フェイクニュースの拡散には10万ドルの罰金が科せられる可能性がある
  • 症例の予防的検出: 以前にインフルエンザの症状があったがインフルエンザの検査で陰性であったすべての人々を検査し、一部でコロナウイルス患者を発見した

なんと、上記すべてを武漢が封鎖される前に行ったのです。それから彼らが引き続き行ったことは次の通りです。

  • 兵士たちは動員されてマスクを作った
  • マスクの公式価格は2月末までに最終的に〜0.20ドルまで下がった
  • 最終的には、3月末までに 1日あたり1000万枚のマスク(人口2300万人)まで生産量を増やした。マスクは配給され、その輸出は禁止された
  • 旅行と医療のデータベースが接続されたため、医療専門家は感染のリスクが高い人を知ることができました。台湾のCDCは実際に起こっていることをリアルタイムで追跡できる
  • 入国者をリスクの観点でトリアージし、自己監視のみから強制検疫まで対応
  • 食べ物と励ましによる検疫サポート
  • 人々が持つ携帯の電波を使って検疫を実施。彼らが電話を持っていない場合は、政府が機器を提供する。電源が15分以上切られた場合、警報が当局に送られる
  • 自宅検疫命令に従わなかった人は、法執行機関に引き渡され、警察官によって追跡された。14日間の自宅検疫ルールを破ったカップルは1万ドルの罰金を科された

世界が一つの教室で、国々がコロナウイルスの試験を受ける生徒たちだとしたら、台湾はその中の一人で優秀な成績を納めています。そして台湾は助けを申し出ています。私がその教室の学生だったら、申し出を受けるでしょう。

強調すべきことがいくつかあります。まず、これらを国として行うことができたのは、台湾のCDCは準備が整っていて、2003年のSARSの経験から幅広いパワーを持っていたためです。

第二に、彼らは迅速かつ徹底した行動をとりました。毎日新しい対策を全国的に義務付けました。

第三に、医療データと移動データを関連付け、警察に情報を提供しました。彼らは、標準的な対人追跡技術をヘルスケアデータや移動データと組み合わせて使用​​しているように見えますが、電話ベースのモビリティデータやクレジットカードは私たちの知る限りでは感染した場合を除いて使用していません。4月20日の時点での患者数は約400例にすぎず、症例を管理しやすくなっています。

韓国の小さなハンマーとメス

韓国は、国全体のハンマーなしでコロナウイルスの大流行を打ち負かした世界で最初の国でした。レストラン、工場、店の全国的な閉鎖はありません。避難所はありません。特定の規模を超えなければ集会の禁止はありません。

彼らは何をしましたか?彼らは小さなハンマーとメスを使いました。

主な発生は大邱と呼ばれる都市で発生し、現在有名な患者31番が最終的に新天地教会に関連する5,000人を超える人々にウイルスを拡散させました。この5,000人というのは、今日現在の全国の症例数の約半分です。

図表6.a: 大邱の教会クラスター

出典:ロイター

韓国政府は企業を閉鎖しませんでした。しかし、2015年に発生したMERSの経験を持つ人々は、外出を自粛しました。

人口250万人を擁する韓国第4の都市、大邱(テグ)の商店街、レストラン、通りは、住民やソーシャルメディアユーザーが災害映画に例えたとき、ほとんど空でした。
「まるで誰かが街の真ん中に爆弾を落としたかのようだ。ゾンビの黙示録のようだ」と、28歳の居住者であるキム・グンウ氏はロイター通信に電話で語った。

大邱当局は幼稚園を閉鎖し、学校を延期し、公共図書館、博物館、教会、保育所、裁判所を閉鎖しました。
しかし、それは大邱の外では起きませんでした。検疫は発生地域に限定されており、積極的に経済に影響を与えることはありませんでした。

これらの対策の影響を測定するには、モビリティを見るのが良い方法です。韓国人は過去2か月間にどれだけ移動したでしょうか。重いハンマー期を迎えた国、スペインと比較してみましょう。

では、韓国はどのようにして重いハンマーなしで伝染病を防いだのでしょうか? それは、誰が病気であるかを正確に学習し、その接触者全てを隔離する、という方法でした。

誰が病気かを知るには、できるだけ多くの人を検査する必要があります。

彼らの検査は素晴らしいものです。ドライブスルーだけではありません。電話ブースと呼ばれる、7分でテストを完了することができる検査もあります。

その結果、世界で最も重厚とも言える検査オペレーションが実現しました。

検査がいかに優れているかを評価する最良の方法として、陽性/検査の割合を私たちは選びました。これについては、前回の記事「コロナウイルス:多数、1つ」で紹介しました。国が大きい場合や症例が多い場合を考えると、検査回数は意味がありません。一人当たりの検査数は、症例数が少なければ意味がありません。しかし、陽性の割合が低いということは、その国が問題の大きさに比べて多くの人を検査していることを示しています。同意する人はいます。

フランスやイギリスのように症例数が多い国では、全員を検査するのに十分なキットを持っていません。ドイツやシンガポールのような国でさえ、以前はほぼ全員を検査することができましたが、今では大流行のために検査することができなくなっています。

一方、台湾、香港、ベトナム、韓国のような国や地域では、いずれも3%未満の検査で陽性となるほどの検査を行っています。彼らは症状のある人だけを検査しているのではありません。彼らは、彼らと接触した全ての人々を検査しています。接触者をどうやって知っているのかでしょうか?韓国が用いる接触者追跡システムは、中国以外では最も先進的とも言えます。

韓国政府は、MERS発生後に承認された法律の結果、流行中の携帯電話データ、クレジットカードデータ、CCTVデータにアクセスできるようになりました。

「感染症の危機時には、個人のプライバシーよりも社会保障を優先する法律が改正されました。」 — Ki博士、New York Times経由

その情報で、人々がどこに行ったかを把握しています。そして、その情報を(個人識別情報を削除して)公開することで、他の人が感染者と遭遇したかどうかを知ることができるようにしています。彼らは感染者の移動のタイムラインを1時間ごと、時には1分ごとに詳しく記録しています。彼らが乗ったバス、いつどこで乗降したか、マスクをつけていたかどうかも、です。

図表8:韓国で新規感染例がリアルタイムでデータ表示

ソースへのリンク

ツイート訳:COVID-19の一件一件について、@Seoul_govが提供した情報の詳細さには驚かされます。

苗字(不明瞭にしました)
性別
誕生年
居住地
職業
渡航歴
既知症例との接触
治療中の病院

また、その情報を利用して、近くで新たな症例が発見された場合、緊急警報を携帯電話に送信します。患者と接触した可能性があると思われる人は、検査センターに報告するよう求められています。

これは、エリア内にいた人に広くメッセージを送るだけのシステムではありません。ターゲティングされています。感染者が特定されると、接触者追跡チームは、医療記録、クレジットカードの取引履歴、CCTV、携帯電話の位置情報使って、その人の以前の動きを追跡し、接触者を見つけ出します。感染者の近くにいたと判断された人は、これらの電話で警告を受信します。

図表8. b 韓国での感染者の接触者追跡のデータとプロセス

ソース

検査で陽性になった場合は、症状に応じ、政府の避難所に隔離され基本的な医療支援と観察を受けるか、病院や自宅での治療を受けることになります。
陰性の場合、回復した場合、あるいは暴露された可能性だけの場合自宅で隔離されます。外出したら警察に通報されるアプリを別にダウンロードする必要があります。このサービスでは、1日2回、現地の監視チームから電話がかかってきて、安静にしていることを確認したり、症状を聞いたりなど、サポートをしてくれます。外出の罰金は8,000ドル、刑期は1年にも及びます。

その他の対策としては、建物の入り口での検温、いたるところでの手指消毒、重度のマスク着用などが挙げられています。98%の人が「外でマスクをすることがある」と答え、64%の人が「必ずする」と答えています。マスクの需要が急増した後、政府は供給を管理するために介入しました。
韓国で発生した初期の流行の一つの明るい兆しは、逆の渡航禁止措置が厳しくとられていたことです。3月中旬までに、ほとんどの国が韓国へ・韓国からの渡航を禁止していました。皮肉なことに、後に見るように、それは韓国で多くの命を救ったかもしれません。

韓国に必須だったものは、このような検査、接触者追跡、隔離、検疫、衛生、マスク、渡航禁止です。彼らは主にメスを使用したので、重いハンマーを必要としませんでした。

シンガポールの重大な失敗

コロナウイルスに対するシンガポールの反応は、台湾の反応とよく似ています。彼らの決定のタイムラインも同様にすばらしく驚異的です。台湾や韓国と同じことの多くをしました。しかし、それはうまくいきませんでした。どうしてでしょうか?違いは何を伝えているのでしょうか?

図表9:シンガポールでの日次新規感染例と主な措置

シンガポールでは、台湾や韓国と比較して、渡航禁止、接触者追跡、マスクの3つの点が際立っています。

まず、渡航禁止。ご覧のように、シンガポールでは、1月29日までに6,000症例があった湖北省からの渡航をすぐに禁止しました。その後、3日後の2月1日、12,000症例があった中国からのすべての渡航を禁止しました。

しかし、その後の対応が遅かったのです。イタリア、フランス、スペイン、ドイツからの旅行者を3月16日まで禁止しませんでした。その時、これらの国では5万人以上の感染者が報告され、おそらくもっと多くの感染者がいました。1週間後の3月23日には、短期訪問はすべて禁止されました。それまでに、すでに禁止されている国以外では、世界で15万症例が報告されていました。

この対応の遅れが深刻な新規感染例の発生を招きました。3月末には、シンガポールでの症例の80%が海外からの流入でした。1週間もしないうちに流入患者数はゼロになりましたが、時すでに遅しでした。これらの感染者は、その後の数週間で爆発的に増加した国内感染のもととなったのです。もし3月10日頃に国境を閉鎖していれば、この流行は起こらなかったかもしれないですし、これほどひどくはならなかったでしょう。

図表9b: シンガポールでの日次新規症例の中での流入例と国内感染例

この記事の第3部では、渡航制限の実施をわずか数日でどのように決めるのかを詳しく見ていきます。

韓国などの国との2番目の大きな違いは、接触者追跡です。シンガポールのオペレーションは実際には世界最高峰ではありませんでした。3月末まで、彼らのチームは約600件の接触者しか追跡できませんでした。それは彼らのプロセスが非常に手動だったからです。追跡官は、調査を行うためにインタビューまたはCCTVカメラに依存していました。携帯電話のデータ、クレジットカードのデータ、ヘルスケアデータと移動データの間の連携は、私たちの知る限りですがありません。調査員の力が台湾よりもはるかに強いか弱いか、または彼らのツールがはるかに良いか悪いかは不明です。しかし、台湾は外国からの流入例が大量すぎて圧倒されたことはありません。

3月末に同国はTraceTogetherをリリースしました。TraceTogetherは、人々がダウンロードできるモバイルアプリケーションであり、Bluetoothと暗号化により、会ったすべての人々の「タブ」を匿名で保持します。その中の 1 人が検査で陽性となった場合は通知を得ることができます。

図表10: 接触者追跡アプリが完全に機能しているユーザ

アイデアは素晴らしいのですが、普及率は20%(560万人の市民の中でユーザーは100万人)にとどまっています。問題は、これでは不十分だということです。接触者が登録されるためには、両方の人がアプリを動作させていなければならない。ランダムな1人が20%の確率で持っているとすると、ランダムな2人は20%*20%=4%の確率で持っていることになります。別の言い方をすれば、アプリを介して登録される接触者は4%しかありません。

図表10.b: 完全に機能している接触者追跡アプリで特定できた接触者

実際には、アプリの使用はクラスターで機能する可能性が高いため、4%よりわずかに高くなります。たとえば、家族で使用すると、家族の他のメンバーも使用する可能性が高くなります。しかし、クラスターのおかげで追跡が25%高いと仮定しても、追跡された接触者の全体で5%のままです。

そして、それは20%がアプリが正しく機能していることを前提としています。20%がダウンロードのみを指している場合 、つまり 開発者が自分のアプリケーションの成功を自慢したいときに慣習的にするような場合ですが、 アプリをダウンロードした人の多くはアプリを開きません、アプリを開く人の多くはアプリを設定しません。そして多くの人はBluetoothを常に有効にしているわけではありません。

図表11: 接触者追跡アプリでのユーザの漏れのイメージ

このグラフでは、30%の普及率を想定していますが、これはシンガポールが伝えたものよりも50%高いものです。グラフの中にも注意点があります。クイックモデルへのリンク

それはまだ早い:
シンガポールは4週間前にアプリをリリースしました。うまく行けば、今後数週間で普及率が上がるでしょう。しかし、この国は間違いなく、アプリを使うように国民を説得することにおいて世界で最も優れた国の一つです。携帯電話の普及率が高く、国が小さく、国民が政府を信頼しているからです。シンガポールで普及率が20%よりも上がらないとしたら、誰ができるのでしょうか? 現時点では手動での接触者追跡に代わるものではないと彼らは言います。

明らかに、これは技術が悪いことを意味するものではありません。それどころか、スマートフォンのBluetoothは、接触者追跡の問題を解決するための驚くべき可能性を示しています。問題は普及率です。たくさんの人にアプリを使ってもらうのはとても大変です。韓国はそれを必要とせず、契約者をはるかに簡単に追跡することができました。この問題については、この記事のパート2で、1日か2日後に詳しく説明します。ニュースレターを購読して入手してください。

最後に、マスクです。4 月 3 日まで、シンガポールではマスクを病人にのみ勧めていました。これまで説明した、台湾(マスクを中央が一元管理)や韓国(98%の人が時々マスクを着用し、64%の人が外でずっとマスクを着用している)とは対照的です。

数日後に送る、この記事のパート3で見るように、マスクはウイルスを阻止するための基本ですので、これは重要です。

これらの3つの要素(渡航制限、接触者追跡、マスク)の重要性をまとめると、次の図のようになります。

図表12: シンガポールの症例クラスター

ソース

これは、彼らが知っているシンガポールの全症例のグラフィカルな表現です。

赤い点はアクティブな症例で、緑の点は治癒例です。赤い症例が圧倒的に多いです。集団発生が最近だったためです。

いくつかのケースを試してみると、次のように見えるかもしれません。

図表12.b: シンガポールの症例クラスター(一つの症例にズーム)

これは適切に調査されたケースです。残念ながら、ほとんどの場合は次のようになります。

図表12.c: シンガポールの症例クラスター(未調査症例にズーム)

これが示すのは、接触者追跡の負担が重く、調査員が処理できていないことです。この症例は徹底的に調査されておらず、ほとんどの症例は同様です。

赤いクラスターが特定の領域、いわゆるドミトリーで形成されました。私はすべてのクラスターを調べ、どのクラスターがドミトリーかを確認しました。

図表12.d: シンガポールの症例クラスター(ドミトリー周辺)

答え:これらのほとんど。

ドミトリーは主に移民労働者が住んでいます。前述したように、シンガポールは渡航禁止の制定に長い時間を要し、3月末までに80%以上のケースが流入しました。

しかし、これらの流入症例は、集会の規模制限やマスクがないために広がり始めました。

10人を超える集会が開かれないよう制限が承認された後でも、ドミトリーは次のようになっています。

写真1: シンガポールのドミトリー S11

たくさんの人がいて、全員がマスクを持っているわけではありません。

シンガポールの失敗としては、渡航禁止、集会制限の遅れ、マスク全員必須の遅れ、手作業による接触者追跡の飽和などが挙げられます。これは、コロナウイルスと戦うときにすべての国が用いることのできる、主要な対策リストとも言えるでしょう。

これは、すべての国が考慮すべき措置のリストです。4種に分かれます。

  1. 流行を止めるのに十分かもしれない非常に安い対策
  2. まだ必要かもしれない、やや高価な対策
  3. 不要な高額な対策
  4. ヘルスケア対策

そろそろそれらについて詳しく説明します。

以上は、記事「コロナウイルスのパート1:ダンスの仕方を学ぶ」の第1部です。第2部では、すべての国が採用する必要のある対策の中核、つまり、検査、接触者追跡、隔離、検疫について見ていきます。それぞれ、具体的な推奨事項や警告を説明します。ほとんどの国では、接触者追跡の権利に踏み込みません。それがシンガポールと同じ結果に陥るだろうにも関わらず、です。

記事の第2部、第3部を読みたい場合は、ニュースレターにサインアップしてください

この記事を翻訳したい場合は、Mediumの投稿で翻訳してください。リンクを添えてここに非公開のメモを残してください。

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これは、研究、情報源、議論、言い回しに関するフィードバックを提供し、私の議論と仮定に異議を唱え、私に反対した何十人もの人々の助けを借りて、大規模なチームの努力でした。Carl Juneau、Genevieve Gee、Matt Bell、JorgePeñalva、ChristinaMüeller、Barthold Albrecht、Kunal Rambhia、およびすべてのMITERチーム、Elena Baillie、Pierre Djian、Yasemin Denari、Jeffrey Ladish、Eric Ries、Shishir Mehrotra、Jeffrey Ladish、クレアマーシャル、ドナトゥスアルブレヒト、その他多数。これは、皆さんなしでは不可能でした。

注釈1: 図表3:日次の新規症例数(世界各国別)

このグラフは、国ごとに1行ずつ示しています。国別に見ると、1日の色が赤いほど1日当たりの最大件数に近づいていることがわかります。右に向かってずっと赤い日が多い国は、新規感染確認症例が最も多い期間にまさに今直面していることを意味しています。一方で最後に黄色や緑の日が多い国は、同様の最悪の期間がまだこの後に待ち構えていることを示しています。感染者数に対する緑、赤となる条件は行ごとに設定されているので、各行それぞれ緑から赤へのグラデーション全体を表示しています。私は国の対応を判断しているのではなく、その国がアウトブレイクをコントロールしているかどうかを判断しているので、人口との相対的な関係ではなく、絶対的な症例数を表示しています(つまり、「一人当たり」ではありません)。それはその国の人口とは無関係です。私が地域や都市ではなく国を選んだのは、危機管理に最も大きな影響を与えることができる政治レベルだからです。日ごとのパーセンテージの変化は、初期の成長に偏っているため、表示していません。つまり、最近検査が急増している国では、最近症例数が急増していることになります。真の症例数は不明で、公式の症例数は広く伝えられ、国ごとの1日あたりの検査の粒度が粗すぎます。それらの影響を考慮すると、急増そのものではなく急増が発見されたことを意味しているかもしれません。一方、最近あまり検査をしていない国は、ここではよく見えるかもしれません。

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CEO of Zuitt, No.1 coding bootcamp in Ph & AI developer. Serial entrepreneur. Founder of RareJob, that is listed in Tokyo stock exchange market (TSE6096)