プロダクト主導のトランスフォメーション:課題、落とし穴と成功

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Published in
Oct 18, 2022

今年の7月、私たちはロンドン・ショアディッチにあるスタジオに顧客や友人を招いて朝食会を開き、デジタル、プロダクト、テック業界での組織変革の経験についてお話ししました。

このイベントはustwoのヨーロピアンデリバリー・トランスフォーメーションディレクターであるコリン・ライオンズが主催しました。コリンのほかに、CMOコンサルタントのジャスミン・スキーと、ジャスミンが在職していた当時のクライアントであるThree(携帯ネットワークプロバイダー)も参加しました。

アジャイルはソフトウェア開発だけのことではない

ジャスミンは自身のマーケティングキャリアを振り返り、Sony Ericsson、 Live Nation、Three、高級百貨店Harvey Nicholsでのマーケティングの経験について語りました。ustwoとの協業でプロダクト主導の働き方を経験することで彼女は、アジャイルがソフトウェア開発だけのものではないことに気づいたといいます。

当時ジャスミンは、Threeの考え方を変え、Threeの変革を支援できる企業を探していました。

ustwoの働き方は他のエージェンシーと違いました。ustwoは私と同じ方向を向いて仕事をし、共に学び、チーム全体を巻き込み、進みながらThree従業員のスキルを上げました。ustwoの働き方は私のキャリアを変えてくれました。
ジャスミン・スキー

プロダクト主導のトランスフォメーションは文化の変容である

変化は簡単ではなくまっすぐな道でもありません。多くの人や組織が変化に抵抗感を感じるのも、自然なことです。けれども文化の変容なしには、プロダクト主導のトランスフォメーションは成功しません。

このイベントの参加者に、自分の組織で変化を起こすのに苦しんだことがあるか聞いてみました。ある人は、自分に変化を起こす権限が与えられ、かつ支援してくれる上司がいる環境でなら、組織に変化を起こす「チェンジエージェント」になることも簡単なのでは、とコメントしました。そこで、組織の有力者から協力を取り付ける方法について話しあいました。ジャスミンとコリンからのアドバイスは、プロダクト主導のトランスフォメーションが何を意味するかを周知するため、チームや会社全体に向けてランチセミナーを開く、などでした。

人々を巻き込む

もちろん、人々にプロダクト主導のトランスフォメーションを説明したり、トレーニングするだけではマインドセットを変えるには至りません。プロダクト主導のトランスフォメーションは体験的な変化であり、文化的な変化でもあります。そのために必要なのは実践です。アジャイルはシンプルなコンセプトですが、うまく実践できるようになるには練習しなければなりません。プロダクト主導の組織になる近道は、「ここではみんなアジャイルを当たり前にやっている状態」になるまで何べんもトライすることです。

では、透明性を生かし、ストーリーテリングを使いながらプロダクト主導のトランスフォメーションを成功させ、役員から同意を得るにはどうしたらいいでしょうか?私たちが議論したサマリーは以下のようなものです:

  • 業界用語を使わない: プロダクト主導のトランスフォメーションは、役職に「デジタル」とついている人たちだけのものではなく、みんなのものであるべきです。働き方がプロダクト主導になると、組織のあらゆる部署に影響があります。全ての従業員が情報にアクセス出来るようにし、みんな-とりわけ役員-が答えを探しているような問いに取り組むことが重要です。
  • 明確なプロダクトロードマップ*を作る: フィーチャー(機能)よりもアウトカム(成果)にフォーカスしたロードマップを作りましょう。プロダクト主導で開発を進めていると、確実さを求める周りからの要望に必ずしも答えられない場面があります。しかし、少なくとも明確なマイルストーンを設定することはできます。透明性を保ち、柔軟なロードマップを作ることで、定期的にアップデートされ段階的に確実性が増すタイムラインを役員に届けましょう。

*ロードマップの作り方についてはこちらの記事もご覧ください。

  • 今までとは違う質問をする: 組織をプロダクト主導の働き方へ導くもっとも強力な方法は質問を変えることです。イノベーションは実験の上に成り立つもの。質の良い問いかけで、実験するマインドセットを育む必要があります。
  • カスタマーフィードバックをシェアする: もう一つの有力な方法は、開発中のプロダクトへのカスタマーフィードバックやリアクションを役員にシェアすることです。カスタマーは私たちの期待通りに行動しないことがしばしばあります。実際に考えていること、行動をみる事ができるのは、大きな気づきがある瞬間でしょう。

このディスカッションのあと、参加者から質問を受けました。「迅速に変化を起こしたいけれども、変革は望んでいない、という組織の場合はどうしますか?」この質問へのコリンの答えは、「ustwoでは起こした変化をいかに持続させるかにフォーカスしている」というものでした。そのためには自分たちで実践することでその結果を見てもらい、なるべく多くの人に私たちの働き方に興味を持ってもらえるよう心がけています。

終わりに、教育と産業間のギャップ、特に、新しい世代が現代的な働き方をできるようにするために教育機関が果たす役割について議論しました。とあるゲストは、現状、学生はアジャイルを現実的なシナリオで試してみる機会もなく、コンセプトだけを学ぶ、とコメントしました。大学は、もっと実践的なビジネスの例を用いてアジャイルの原則を伝え、学生を指導していくべきでしょう。

アジャイルが浸透するには、とにかく実践することです。実践すればするほど、周りの人や上層部からもっと多くの同意を得て、そのうちプロダクト主導の働き方があたりまえになる日がくるはずです。

このイベントに参加したクライアント、関係者の皆さんに感謝します。

こちらはustwoのブログ記事「Product-led transformation: the challenges, pitfalls and successesを翻訳したものです。

Make Learn Changeを読みましたか?

コリンのMake Learn Changeの日本語版が出ました。このポケットサイズのガイドブックには、アジャイルなチームを作り、素早くイノベーションをおこし、カスタマーのニーズに沿ったデザインすることでビジネスを育てることのできる組織作りのためのヒントが満載です。

(日本語字幕あり)

これまでアジャイルについてはさまざまな意見や定義があり、多くの本が出版されてきました。Make Learn Changeはアジャイルの最も重要な原則だけを説明します: プロダクトを少しずつ、段階を追って作り、カスタマーフィードバックをその途中で取り入れるような組織を作る、ということです。

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