あっぶなかった、あの時だめ押しの一言を口にしてたら終わってたとこだった、あっぶねぇ。
仕事と休みを2日1セットで繰り返す1週間があった夏の日々のことだ。
こまめな水分補給。インターバル走。…
「朝焼けから夕暮れの距離より、夕暮れから朝焼けまでの方が近いんだよ」
そう教えてくれたあなたと歩いた、橙色の街灯に照らされた水面に浮かぶ桜。
水辺の淵へと花びらを追いやる嵐。
あなたが眠りについたのは、空が明るくなる一歩前のこと。
色のない暗闇で鍵盤をまさぐると、高い音が聞こえてきた。