富山県の西のほうに、木彫の職人が集まる井波町(現・南砺市)があります。
これは、私たちが四国で出会ったお像とお寺の話です。
随分涼しくなった9月の山。
タープを張り、虫除けの線香を焚き、私たちは参加者を待っていた。
今回は、円空仏を手本に、森の中で観音様を彫るというワークショップである。
和やかな雰囲気の中、続々とメンバーが到着。簡単なイントロダクションが終わり、20〜60代の男女は杉やヒノキで、思い思いに作業にかかった。
古い仏像の修復をしている。
護摩焚きの影響なのか、繰り返されてきた木自身の収縮と膨張のせいなのか、塗料の成分の劣化か、お像の肌はあちこちがめくれ上がり、触れるとポロポロ剥がれ落ちそうである。
「剥落止め」とは、仏像を修復する際の一つの工程で、この剥がれ落ちそうな肌を本体に固着させることを言う。仏像の肌とは、木地を彩る塗料や漆のこと。