はじめに
2005年の著書『ゲリラ形而上学』で、グレアム・ハーマンは、世界は哲学を必要としていないと述べている。世界を知的に基礎づけてくれる営みという意味での哲学などあってもなくても世界は存在している、ハーマンはこう考えている。それでもハーマンは哲学を論じている。なぜそんなことをするのか。べつに必要とされていないなら、しなくてもいいではないか。
ハーマンは、必要とされていないから哲学をしないのではない。必要とされていなくても、それでも哲学をしている。そこには、哲学にかかわるハーマンなりの独自の再設定がある。…