報道でデータビジュアリゼーションは必要なのか[最終回-1] — データジャーナリズムとは?
報道でデータビジュアリゼーションが必要なのか[1] [2][3]では、データビジュアリゼーションと報道の関係について考えた。今回は、データビジュアリゼーションと並びに最近よく聞かれる「データジャーナリズム」について、少し考えてみたい。そもそも、データジャーナリズムとは何だろう?データを使えば何でもデータジャーナリズムになるのだろうか?
世界のメディアが考えるデータジャーナリズム
アメリカやイギリスのメディアがそれぞれに思うデータジャーナリズムのあり方をまとめると、ある共通点に気づく。それは、「データジャーナリズムとは “qualitative” (質的なもの: 従来の人をソースとした取材)と “quantitative”(量的なもの:データ)を組み合わせた報道」であるということだ。
Q. データジャーナリズムとは…?
A.「 三次元と二次元を照らし合わせること」/“I have to go out and see if a three-dimensional world looks the same as a two-dimensional world looks,” by The New York Times 編集者
New York Times編集者のSarah Cohenさんは、データ(二次元)を見つけたら、実際に現場に足を運び(三次元)、そのデータが正しいか必ず確かめるという。
A.「読者が自分に関係のあるニュースと思ってくれる情報を提供すること」/ “Enable a reader to discover information that is personally relevant,” by BBC
BBCはデータジャーナリズムを以下の3点から説明
1, 今まで知られていなかったことを明らかにする
2, 複雑なニュースをわかりやすく伝える
3, ニュースをパーソナライズする
A.「記者が人々とデータベースの両方を情報源とする」/ “ Reporters must interrogate both people and databases in order to get their information,” by Economist
データジャーナリズムとは、記者が人とデータベースの両方を情報源とすること。
A.「データジャーナリズムは単純によいジャーナリズム」/ “We want our data journalism to simply be great journalism,” by Vox(Vox Media)
データジャーナリズムとは、データの可視化ではなく、データをベースとしたジャーナリズムである。
A.「 データジャーナリズムは言葉が数字に置き換わることではない。」/ “Data journalism isn’t just about using numbers as opposed to words,” by FiveThirtyEight
データジャーナリズムには、もっと人間的要素が必要。データジャーナリズムとは、質的ものと量的なものの境界線がぼやけること。
A.「肝心なのはストーリー」/ “It’s (still ) all about stories.” by The Guardian
データジャーナリズムでも、大事なのはストーリー。データジャーナリズムはグラフィックでもビジュアリゼーションでもない。それはストーリーをできるだけわかりやすく伝える方法の一つ。
多くのメディアが、データジャーナリズムとは、「質的&量的な情報をもとに、ストーリー(ニュース)をわかりやすく伝えること」と説明しているのがわかる。それでは、「質的&量的な情報を組み合わせた報道」とはどのようなものだろうか。