Grain.io ICOレビュー③

Motoya Tsuchida
7 min readFeb 13, 2018

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さて、だいぶ間が開いてしまいましたがICOトランスレーターによるレビュー第3弾を書いていこうと思います。
※この記事はあくまで個人の主観によるもので、投資を推奨するようなものではないです。

今回ご紹介するのはGrain.ioというプロジェクトです。あまり注目はされていないですが、個人的に好きな渋い感じのICOなので紹介したいと思います。

概要

このプロジェクトは労働契約にブロックチェーンとスマートコントラクトを活用することで、現在の労働市場を変えようとしているプロジェクトです。

具体的には、以下3つのことを実現します。

① スマートコントラクトを活用することで、納品後即座に支払いが行われる

② Grainという仮想通貨を活用することで違う通貨間での送金手数料などを減らす

③ 支払のオプションを複数用意することで仮想通貨のボラティリティに対応

Grainの特徴としてはP2Pでのクラウドソーシング市場を作ろうとはせず、あくまで企業に労働契約の代わりにGrainを使ってもらうことにフォーカスしています。そのため、プロジェクトも、よくあるマーケットプレイスを作るとかは一切言わず、新しい働き方のバックボーンとなるプロジェクトと言っています。

背景

このプロジェクトの背景としては、今の企業はフルタイムの安定した正社員が労働力のメインですが、将来的にはダイナミックな労働力、つまり期間限定社員みたいなのがメインに変わっていくと予想していることからです。なぜなら、これからの時代においてプロジェクトに最適な人材は地球の裏側にいるかもしれず、さらに労働者にとってもフレキシブルな働き方を選びたい人が増えているからです。

私が期待する点

このプロジェクト期待している点としては

① 安定性

そして、B2Bをメイン市場に見据えているので爆発的な成長はないと思いますが堅実に伸びていくのではないかと思っています。

② 実現可能性

Flexentral社のソリューションにブロックチェーンとスマートコントラクトを活用するプロジェクトです。Flexentral社自体はVCから資金調達していて、ソリューションのベータテストを実際のクライアントと実施している段階とのことです。0から新しいものを作り始めるわけではないので、実現可能性は高いのではないかと思っています。

③ 収益性

実際に労働契約の標準として使われるようになった場合、かなりの金額のマーケットになることが想像できます。バックボーンを狙っているとのことなので、クラウドソーシング系の会社や人材派遣、出稼ぎ労働者向けなどの会社のシステムに統合されれば、かなりの売上になると思われます。

④ 将来性

最近インフルエンサーの方の集客力などを見ていると、これからは組織ではなく個人の時代になっていくと思っています。もちろん、組織は残りますがプロジェクトごとに最適な人材を市場からピックアップしていく感じになると思います。人生が100年になっていく時代ではこれまでの教育→労働→余生を楽しむという流れは崩壊していき、ステージにとらわれない人生になっていった場合、会社という組織に依存して生活していく人は減っていくと思っています。そういう時代になった時、Grainのようなダイナミック(動的)な労働者のための労働契約ソリューションが必要になってくるのではないかと思っています。

⑤ 創業メンバー

創業メンバーには、マイクロソフトのセールスやマーケティング関係者が多いです。マイクロソフトと言えば、B2BにおけるOSやオフィスソフトでのシェアは圧倒的です。その圧倒的なシェアを達成させたメンバーが、B2Bに特化したプロジェクトを行なうので、B2Bにおける成功の勘所を掴んでいる人たちなのではないかと思っています。

ちなみにマイクロソフトの偉い人は1年に1回ビルゲイツからの尋問に呼び出されるらしく、そこで言ったことを一言一句ビルゲイツは覚えていて、去年言っていたことと違うぞとかなんで達成できなかったんだと詳しく聞かれるらしいです。

不安点

① SNSでの発信があまり活発でない

B2Bメインなのであまり有名にならなくても良いかもしれないのですが、現状TwitterやDiscordでの発信があまり活発ではないです。Telegram自体は4000人(2月12日時点)を超えていて、質問には対応しているものの積極的な情報発信はしていません。ICOで40億調達するとなると、結構積極的に注目を集めて、資金を集める必要があると思うのですが、大丈夫かと不安になります。

② キャップが大きすぎる

キャップが3000万ユーロ(40億円相当)と最近のICOの中だと、キャップとしては大きい方になるかと思います。世界中の労働規制に対応できるようなソリューションにしようとしているので、そこに費用は掛かると思いますがそれでも40億も必要なのかはちょっとわからないです。

③ パートナーシップがない

現在のアドバイザー陣を見ても、だいたいがブロックチェーン、スマートコントラクト、リスクマネジメント、そして労働関連の専門家です。なので、Go to market戦略については記載があるもののファーストカスタマーをどう獲得するのか具体的な情報はないです。Flexentral社が一緒にベータテストやっている会社が来るのが順当な気もしますが、会社名は明らかになっていないです。

【追記】
さて、不安点を3つ挙げていましたが、その後Grainチームも発信をかなり増やした結果、Telegramが8100人に達し、Twitterも結構積極的にツイートをするようになっています。さらに、ハードキャップですが以下の記事に書いてある通り20億にまで引き下げられました。おまけに、トークンの枚数は2倍で、売れ残ったトークンはバーンされるというwww 大盤振る舞いです。
https://medium.com/@grain_io/hard-cap-update-and-token-burn-mechanism-explained-4e86fd8ea381
そして、パートナーシップに関してですが、Ranstedの元CTOがアドバイザーに就任し、さらに以下の2つの記事に書いてあるように実際にGrainプラットフォームを使ってくれるパートナーが発表されています。
https://medium.com/@grain_io/first-external-transaction-partner-on-board-34a19187f31b
https://medium.com/@grain_io/grain-signs-strategic-partnership-with-large-chinese-manufacturer-2d5eba123077
不安点を全部解消するような発表をしっかりと出してきている点、Grainの運営能力の高さなどへの信頼がだいぶ増しました。

私が翻訳したホワイトペーパーをダウンロードしたい場合は以下のリンクからどうぞ。
https://drive.google.com/file/d/1iriKYQmHjOMI6RGInGn4CD48ZVXlQDah/view?usp=sharing

後、これまでのレビューシリーズの記事もあるので、良かったらご覧ください。
第1弾 INSエコシステム
第2弾 AppCoins
第4弾 Daneel

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