先日、500Familyのミートアップにて、EvernoteのUXデザイナーである@JOSHUANTAYLORから直接お話を聞く機会がありましたので、その概要を共有したいと思います。ちなみに、Joshは、InVisionのブログ等でも紹介されているので、ご存知の方も多いかもしれません。

http://blog.invisionapp.com/designspaces-evernote-joshua-taylor/より

Functional 、Emotional、Aspirational、3つのうち、どのレベルの体験を届けるのか

UXを考える上では、まずはどんな体験をユーザーに届けるのかを考えることが重要です。

ユーザーに届ける体験は、Functional/Emotional/Aspirationalの3つのレベルに分けられるとのこです。

Functional

Functionalなレベルを求めるユーザーは、サービスに対して機能的であることを求めています。例えば、ボタンを押した時にどう動作するのか、どんなガジェットが使えるのか、検索結果をソートできるのかといった、機能を求めています。

MicroSoftやAppleがOSを出した頃のユーザーは、コンピュータを選ぶときに、ユーザーはそのコンピュータは何ができるのかによって決めていました。どんな容量があるのか、メモリはどのくらいなのか。90年代になりMicrosoftは、ソフトウェアにおいて、このFunctionalレベルのものをすべて整えていきました。Functionalであることが価値となったのです。

Emotional

プロダクトにおいて、Functionalレベルが整った後に、ユーザの求めるもの(=ユーザに提供する価値として)としてEmotionalレベルを考えます。Emotionalレベルでは、プロダクトがユーザーに対して、どうのような感情を引き起こすのかを定義していきます。システムの動作スピードや、トランジションの仕方、使い心地が良いといったことです。

Aspirational

Aspirationalなレベルは、人々の作りたいものや、ブランドといったものについてのユーザの要求です。人々が心から欲しがるものです。いま、エヴァーノートでは、このAspirationalレベルのUXに取り組んでいます。Aspirationalなプロダクトの代表例は、iPhoneです。人々は、発売後にiPhoneを熱狂的に求めました。

全体像から、UXを考える-Macro UX

UXといっても、さまざまな意味があります。ユーザーが、プロダクトのインターフェースに触れるポイントがすべてUXの対象範囲となります。インターフェースが作られる裏側には、ユーザーリサーチやInformation Architectureといったものもあり、それらなしにはインターフェース、UXは作られることはありません。つまり、UXを考えるときにはそれらを含めた全体としての、つまり”Macro”のUXを考える必要があります。Macro UXは次のように分類することができます。

User Research

ユーザーが何を求めているかを知る段階です。ABテストを行ってはいけません。ユーザーが必要なものを探していきます。

Information Architecture

どのようにコンテンツを構成するかを決める段階です。

MICRO UX

パーツの構成やページの遷移など、全体の流れを決めていきます。

COPY

プロダクトに対して、コピーを決めていきます。どのOSなのか、どのプラットフォームなのか、それらにどんなコピーが合うのかを考えていく必要があります。Evernoteでは、今年はじめてコピーライターを雇いました。

UI

それぞれのUIがどんなユーザーの反応をもたらすのかを考えて決めていきます。

ANIMATION

アニメーションを付けることによって、人々が楽しんでアプリを操作させることができます。また、アニメーションは、アプリがどう動作するのかの理解を助けることもできます。

INTERACTION

一つ一つのインタラクションには、すべてユーザーの反応が伴います。それらがUXを変えていきます。インタラクションによってユーザーがどんな反応をするかを考えて決めていきます。

SPEED

スピードには、システムが反応するスピードと、ユーザーが知覚するスピードの2つがあります。この2つを意識して決めていきます。システム開発者と十分にコミュニケーションをとって進める必要があります。

Evernoteでは、これらの工程に対して、usertesting.comを使ってフィードバックを得て、反映していきます。Usertesting.comは素晴らしいツールですが、コメントをくれたユーザーがどんな意図でコメントしてくれているかまで汲んで、考慮しなければなりません。

最後に、最近ローンチされたEvernoteの新しいWebアプリケーションを紹介してくれました。

入力を始めると、フェードアウトのアニメーションとともに、サイドバーが消え、入力部分しか見えなくなります。これはユーザーが入力に集中できるようにした結果だったということでした。

またフォントを選択した時に始めて、フォントメニューが現れます。これはフォントを変えるときに、ユーザーがフォントを選択するという習慣を利用して、そのときにだけメニューを表示させることによって余分な動線を排除しています。

「iOSのUXに非常に近づいた」と本人も言うこの新しいWebアプリケーションには、この他にも素晴らしいUXが含まれています。上記でご紹介したようなMacroなUXについて多くの学びを得ることができますので、ぜひ使ってみてください。ちなみに、僕自身もこうした優れたUXのアプリを見ると、UXの実装のリバースエンジニアリングのようなことをして、どのような意図で何をしているのかをいつも考えています。これは、UXエンジニアとして非常に成長に貢献する良い習慣なので、ぜひ試してみてください!

このブログでは、今後も、主にシリコンバレーにおけるUXの話題について、ご紹介していきます。ご期待ください!

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Shingo Hagiwara

サンフランシスコと東京でエンジニアをしています。SFまわりの話題について書いています。 @AppSocially / @ChatCenteriO