デヴィッド・ボウイのこと
受験に失敗し、18で浪人生として仙台に出てきてタワーレコードを知った私は、こんな天国がこの世にあるのかとばかりに、勉強そっちのけでタワーレコードに入り浸っていた。
自分より面白いものを知っているはずの姉や兄を持たない私は、そこで初めてポップ・カルチャーというものに触れた。
見た事も聞いた事もないアーティストのCDがアルファベット順に並ぶ店内は、埃の匂いと、片隅で売られていたカルバン・クラインの香水の香りと、輸入盤CDのプラスチックとシュリンクのオゾンのような匂いが入り混じっていた。私にとってそれは自分の知…