北京ベンチャー訪問:中関村創業ストリート Inno way

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中関村創業ストリートInno way
初日の午後は、中関村の創業ストリートと呼ばれるコワーキングスペースが集まっている一帯Inno wayを訪問しました。
このストリートは、ちょっと前(おそらく2000年頃)には本屋などが集まっていた地域を、スタートアップ支援施設が集まる地域にリノベーションしたもので、ストリート両脇の路面はアクセラレータやインキュベータなどの支援施設で埋まっています。
この地域の45のインキュベーターあわせて180億RMB(3000億円ほど)の投資が行われたとのこと。
Inno Way公式サイト:www.z-innoway.com/en/

1Fがカフェ、上にコワーキングスペースの構造
これで全体の半分弱。45のインキュベータが入居してるとのこと。

どこの組織も、
・1Fがカフェ。イベントスペース併設
・2Fがコワーキングスペース。
と、そっくり似たような構成になっているのが面白いところ。名前もギークxxとかスタートアップxxとかエンジェルxxなど、いかにも意識の高そうなものが続きます。コワーキングスペースに入居していて自前のオフィスを構えていないとのことで、午前中に見学した創業公社よりさらに初期段階、企業準備中のSeeedステージのベンチャーを支援している組織が多そうです。

いかにもな名前のインキュベータが連なる。1Fはカフェ。

入居しているインキュベーション施設の一つを見学しました。Inno WayはLenovo, IBM, Tencentなどの中国の大企業と連携し、500 StartupやPlug & Playなどの海外のインキュベータとも連携している施設です。2015年の5月には李克強首相も来訪したとか。政府系のインキュベータで、資金と場所は政府補助を受けています。北京の家賃相場から考えると安い金額でスタートアップを入居させられるのはその補助があるからとのこと。

Innoway

高品質のPCB/PCBA製造 中国人がスイスで起業したSwie.io
ここ出身のスタートアップの一つ、中国人がスイスに渡って起業したSwie.ioのCTOがたまたま来ていて、話を聞けました。PCB制作やPCBアッセンブリ(以下PCBA)の会社です。PCBは電子回路そのものであるPrinted Circuit Board基板の製造サービス、PCBAはその基板にマイコンチップやセンサーなどの部品を組み付けしてくれて、完成品の基板が届くサービス。どちらもハードウェアのプロトタイプを仕事にするには不可欠なサービスです。

説明してくれた Benjamin Zhaiが自らyoutubeに上げているSwie.ioの説明

同種の会社としては深圳のSeeedや日本のP板.comなどがあります。SeeedのFusion PCB/PCBAは世界的に有名なサービスで、「安く・手軽に」を売りにしたサービスで、深圳に多くある協力会社に発注していて、品質や実装密度などはそれなりです。Swie.ioは自社工場を持ち、値段も品質ももう少し上の層をターゲットにしています。プレゼン中のデモを見ただけですが、ユーザからの注文をチェックし処理する画面も、基板そのもののエラーチェックなど含めて良くできているように思えました。

ソフトウェアプログラマの数が世界で仕事・趣味どちらのワールドでも増え続けているように、ハードウェアプロトタイプ技術者の数も増え続けていくだろう、と僕は思っています。プログラムでいうコンパイラにあたる、アイデアを実際に動くものにするこのPCB製造サービスは、より使う人が増え、用途によって細分化されたたくさんの会社が出てくると思います。今一般的なものより高品質なサービスを展開するのは悪くないように思います。

FrenchTechに似たグローバル化
午前中に見た創業公社のベンチャー達は巨大な中国市場を想定してBtoBに近い販売をするドメスティックな起業達が多かったのに対し、InnoWayは世界とのつながりを意識しているように見えました。フランスが仕掛けているFrenchTechと似たアプローチで、国内にとどまりがちなベンチャーを世界に出していくためのサポートを行うものです。Swie.ioはスイスで起業していることもあり、社内は欧米人のほうがはるかに多いとのこと。現在では小さいが未来には大きくなりそうなニーズを取りに行くサービスをするのであれば、グローバルに展開する方が可能性があります。InnoWayと提携しているPlug&Playや500 Startupsのようなシリコンバレー発インキュベータはどちらもそのような考え方で、シリコンバレーの強さは「そこで出てきたサービスがグローバルで通用する」ことでもあります。

インキュベータがどこも似たような店構えなのはついつい笑いたくなりますが、世界の流行りにきちんと乗っかろうとしている試みだと感じました。

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