成長市場でのベンチャーはイージーモード 北京のスタートアップたち(まとめ)

Maker Faire Beijing 2017に関連して、8月9–10日の2日間、自身が北京のグリーンテック関連のスタートアップに勤務し、清華大学でMBAを学んだ佐野さん(Wechat ID:Sanonas)に案内していただいて、ニコ技深圳観察会で呼びかけた7人ほどと一緒に、北京・清華大関係のベンチャーを見てきました。
佐野さんから「北京のスタートアップに注目してもらいたい」という意思でたくさんのアポイントとご案内をしていただいたので、内容をシェアします。ぜひ佐野さんに案内いただいて、北京のベンチャー達を見に行くといいかと。

訪問先
9
日:北京市や北京の大企業が支援しているベンチャー地区2カ所(創業公社&中関村創業ストリート)と、そこに入居しているベンチャー3社

創業公社 
T-Sence VR (VR化した教育コンテンツ)
 Shelter (大学内の研究、特に化学の成果を市場化する会社)
 Populele

中関村創業ストリート
 Swie.io

10日:清華大学のベンチャー支援制度(授業+X-Lab)と、清華大学発のベンチャー支援企業TusStar、およびそこ出身のベンチャー
X-lab
 -ZhenRobot(Justin Liu氏)
 -NumsTM Ultra-thin Smart Keyboard
TusStar
 -AVORI
 北京創慧源科技創新有限公司(TusStarと協力関係にあるハードウェア製造支援会社)

それぞれ別の種類の産業構造とベンチャーだったので、分けて書いていきます。

  1. 創業公社とその経由のベンチャー3社
  2. 中関村創業ストリート Inno wayと中国人がスイスで起業したswie.io
  3. 緩やかなスタートアップへの道:清華大学のベンチャー支援システムとベンチャー2社(大学内)
  4. 清華大学卒業生達が作ったベンチャー支援会社TusStar
  5. おまけ:メイカーフェア北京短観
    おまけ:IT寺龍泉寺短観

同行者:加藤さんのレポート
深圳観察会にも参加している加藤さんもレポート書いてくれました。

北京・深圳ハードウェア企業見学会_その1驚くほど刺激的な観察先。旅程と顔ぶれとモバイルペイメント諸々
その2 金太郎飴のようなスタートアップ支援、オシャレカフェの必要性とは

全体の感想:さすが北京、さすが中国。成長市場でのベンチャーはイージーモード
もともと僕はメイカーが好きなのでボトムアップが好きだし、アンコントローラブルな混沌が生み出す「理解できないもの」が好きです。なので、中央集権型の中国の中心地であり、何をやるにも中央から指示が振ってくる/お伺いを立てる北京にはいい印象がありませんでした。
来る前に勝手に思い描いていたのはこんな感じでした。
・英語ロクに喋れず、海外見たことないようなお役人が世界のトレンドから外れた支援システムを組んでいる
・そうした連中が選考するため怪しいベンチャー(先進国のデッドコピーとか)ばかりが選ばれている
・明らかに負けっぽい会社が多いのに、始めたことを止められない
・さらに、支援者が中国独自技術とか国内企業からの調達とかにこだわり、世界市場からみたらゴミみたいなものを作って政府パワーでムリヤリ販売している

↑この想像はほぼ裏切られました。戸別に訪問したレポートを見てもらえばわかると思いますが、僕が見たのは
・世界的なトレンドをきっちりキャッチアップした合理的な支援システム
・もともと優秀な人間が、世界的に成功する確率が高いスタートアップの仕組みにマジメに取り組んでいる
・実務経験があり、金も能力もある人たちが支援をし、ベンチャーの決定はベンチャー自身が行っている
・結果として、北京出身のベンチャーは大企業と勝負できる品質・価格でマーケットに出ている
というものでした。
深圳にあるような荒削りなスタートアップ、たとえばここで分解されているファービーもどきオモチャのような怪しさは北京には見つからず、たいていのスタートアップは「なるほど、そういうのほかにもあるよ」ということをやっています。それでもほかの会社と勝負できるクオリティまでは軽々とビジネスを運んでいました。きっちりと送りバントしてくる野球チームは強い。

もう一つ感じたのは、成長市場でのベンチャーはイージーモードという事でした。VR教育にしてもIoTのオーラルケアにしても、中国でこれから先伸びていくに決まっている市場です。一か八かの冒険をするのでなく、会社としてやるべき事をこなしていけば成功は予見され、さらにM&Aやバイアウト,IPOのようなEXITも見えてくるでしょう。成長市場だと、世界を変えなくてもベンチャーは成功できる。社会が拡大するにつれ、スキマも大きくなっていくわけですから。
似たようなことをやってる多くのインキュベータがそれなりに商売が成り立ってそうに見えたのは、その「どう支援してもパイは大きくなる」という構造があるように思います。

なので、北京からはこれからもハイクオリティな、深圳とは違ったタイプのベンチャーが登場してきそうだなあと感じました。

実際に見てみる前後で、北京のベンチャーエコシステムへの印象は大きく変わりました。全行程をアテンドしてくれた佐野さん(Wechat ID:Sanonas)、本当にありがとうございました。

佐野さんどうもありがとう、皆さん連絡してみましょう
このブログを読んでくれた人へのアドバイスとして、佐野さんはこのような北京のスタートアップシーンを広めることを願っているので、ぜひ実際に北京を訪れるべく、連絡すべきだと思います。

ベンチャー個別の訪問記(詳細レポート)はこちら

  1. 創業公社とその経由のベンチャー3社
  2. 中関村創業ストリート Inno wayと中国人がスイスで起業したswie.io
  3. 緩やかなスタートアップへの道:清華大学のベンチャー支援システムとベンチャー2社(大学内)
  4. 清華大学卒業生達が作ったベンチャー支援会社TusStar