家具コンペ2018、審査結果の発表!
2018年のコンペ審査結果は以下の通りです。多数のご応募、ありがとうございました。審査により、グランプリをはじめとする入賞・入選作品が選出されました。この記事では、審査結果(入賞・入選作品データ)をご報告します。なお、本コンペの告知ならびに募集を開始した際の記事(2018年7月19日公開)はこちらです。
それでは、入賞作品・入選作品をご紹介します!
入賞作品
(敬称略)
グランプリ
『FITS CHAIR』
亀田学(ゆう建築設計)
金賞
『Fra-me (フレーミー)』
前田 崇彰
銀賞
『Vertical Bike Stand (縦置き自転車スタンド)』
四辻 勇介(kirika)
銅賞
『ZEN CHAIR』
熊谷有太郎(YONENOI DESIGN LTD)
入選作品
(順不同)
審査員による講評
(敬称略、順不同)
現代はデジタルデザインばかりが注目され、モノのデザインはあまり元気がありません。わたしは、この状況に対して不満です。もっと元気を出してください。たしかに、現代は19世紀の産業革命以来の技術的な革新の最中にあります。情報革命は当分続きそうです。しかし、アナログであれデジタルであれデザインは「技術と人間をつなぐもの」である、と思っています。一日のほとんどの時間をモニターを見て過ごす人、通勤の行き帰りもスマホを見続ける人、そんな人たちが我に返るような空間やモノをどのように提案できるか。それが求められています。そして、それが現代におけるモノのデザインのたいせつな役割だと思っています。
その意味で、多くの応募案にあったように「デジタルでは拾えない素材感」にこだわる気持ちはよく分かります。木を使った作品にそれがよく表れています。しかし、今回の受賞作の中で興味を引いたのは、熊谷さんのZENCHAIRです。これは素材感ではなくて、人間の身体そのものをテーマにしています。思い浮かべたのは、モニターに向かう猫背の人や歩きながら背を丸めてスマホをのぞき込む人の姿です。この椅子に座り、背筋を伸ばし、精神を整え、我に返る。そんな光景が想像できました。わたしも欲しいと思った一品でした。
今回も多くの家具をじっくり拝見しました。このコンペの興味深いところは、建築、デザイン、クラフト、と様々な領域の方々が応募され、幅広く木に向かい合ったデザインが提案されている事だと思います。そんな多岐にわたるデザインを見ながら審査させていただいた評価基準は「木を活かし新たな視点でつくられた美しい形」でした。グランプリのFIT CHAIRは、木製ネジ加工の技術を活かしたカスタマイズ可能な椅子で、家族で座り継がれる可能性を感じました。金賞、銀賞、銅賞は、多くの応募が椅子だった中、それぞれ生活の中で違う視点からの提案で、このコンペの視野を広げる布石にもなったのではと思います。
今回のコンペの受賞提案を通して見て、今まで以上にバリエーションが豊富であると感じた。多様なシチュエーション、ニーズ、問題点に対してそれぞれオリジナリティのある解決方法で挑んでいるところが素晴らしい。例えば「VERTICAL BIKE STAND」室内に自転車を置くシチュエーションが増えてきている中、確かにこのようにインテリアの中に馴染む家具としての自転車スタンドはなかったなと思う。また「Fra-me」のような折りたたむことができる機能は模様替えのしやすさ、引っ越し先での組み立てなどフレキシブルに生活に対応できるとともに、かつそれを組み上げた時の姿、物を入れた姿にオリジナリティがあり魅力的だ。「M chair」はお風呂の木椅子の腐りやすさという問題点の解決案として出来上がった形状も、さらにスタッキングされている姿も魅力的だ。そのように生活を見直すと色々な所にデザインの糸口があることに気づかされた。
素材と匠の技、それに加えて新技術など、伝統とイノベーションと云う豊富な可能性に恵まれている今の時代にあって、心豊かな暮らしのためのオリジナリティのあるデザインは、生活文化や産業経済に多大な役割を果たします。第4回目を迎えた本年の応募作品からも多くの力作がみられました。実用性と素材の持つ魅力に、作者の工夫や世界に向かっての新しい創造の力を感じました。入賞・入選の中から広く世界に発信できる魅力あるデザインが誕生することと期待しています。
国際見本市LIVING & DESIGNでのパネル展示風景
入賞・入選作品について、国際見本市LIVING&DESIGNにて展示会を開催いたしました。期間中には受賞者の集いを開催し、審査員の内藤廣様、喜多俊之様とも交流の時間をもっていただける機会となりました。
以上、本コンペの運営事務局、フレーズクレーズがお届けしました!
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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