フィンランドに住む準備(1年間の在外研究)7:医療保険への加入

Hiraku Sakamoto
Happy Mom, Happy Family
5 min readApr 26, 2020
【本シリーズ共通の序文】Happy Mom Junonのオットです。日本の大学に所属する研究者です。2019年夏から1年間の予定で、フィンランドAalto大学にて在外研究のため、家族(妻・子供2人)と共にフィンランド(ヘルシンキ)に滞在しています(執筆時点(2020年4月)では、新型コロナウィルスのため外出自粛中ですが)。ここでは私たちがフィンランドで生活を開始するにあたって特に困ったこと、どう解決したかの記録を残しておきます。今後、ますます多くの研究者がフィンランドと日本を往来して共同研究を盛んにする、そんな未来の実現の一助となれましたらと思います。本記事の内容は2019年夏時点でのスナップショットですので、実際の渡航にあたっては自身で最新情報をご確認ください。

今回は、1年間のフィンランド滞在時の医療保険についての経験談を書きます。

結論から言いますと、私たちは日本で海外旅行保険に加入してから渡航しました。

フィンランドの社会保障Kela

一方、フィンランドは国民健康保険(Kela)の制度があります。Kelaに加入してKelaカードを所有できるかは、フィンランドでの就労の状態によるようです。

フィンランド日本人会のハンドブックに下記の情報が載っています。

国民健康保険制度を含むフィンランドの社会保障制度はKela(ケラ)の管轄となっていますが、全員がKelaに加入出来るというわけではありません。従って、Kelaに加入できないことが予想される場合は、渡航前に海外長期滞在者用の旅行保険に入る等の対策を取る必要があります。フィンランドに来てからでないとKelaに申請することができませんが、似たようなケースから加入できるかを予測することは可能です。決定は個々のケースによってなされるので一概には言えませんが、フィンランドで4ヶ月以上就労し、給与や労働時間が基準を満たす場合は加入できるというのが目安のようです。留学目的(学士、修士)の場合は加入できないようです。詳しくは雇用者や大学等にお問い合わせください。
―フィンランド日本人会「フィンランド渡航 &生活ハンドブック」 https://finnihonjinkai.wixsite.com/about

私の場合は、第1回に記述した通り、フィンランドでの研究滞在先からは無給のHosting Agreementであったため、Kelaは適用外でした。実は、第2回で記述したIHH (International House of Helsinki)で住民登録をしたとき、「Kelaの申請もしておいたら?」と促してもらい、IHHのKela窓口で申請のみはしました。しかしその後、「Kelaカード所有の資格はないと判断された」旨の手紙を郵送で受け取りました。当然の判断と思います。

ただ驚いたのは、フィンランドでは、住民登録さえしておけば、公立の医療機関は比較的安価に受診することができます!

If you are a resident of a Finnish municipality (i.e., you have a place of domicile in Finland), you are entitled to all necessary treatment in the public healthcare system.
https://www.kela.fi/web/en/from-other-countries-to-finland-medical-care

実際、うちの次男が帰国直前に木登りから落下して腕を骨折(!)したときも、公立の病院で救急対応してもらました。本当に助かりました。

しかし一般的に、公立の病院は予約待ちの時間が長いと聞きます。

私立の病院を受診するには、私たちのように日本で保険に加入していくか、フィンランドでの就労先等で保険に加入するか、全額自費か、の3つの選択肢となります。

日本での「海外旅行保険」の加入

私自身の海外旅行保険は職場のほうで手配してもらえたので、帯同する家族3名のぶんを個人で契約しました。その際、ちょっと(かなり?)ひやっとしたのは、海外での滞在期間が3か月を超える場合は、ネットや空港の窓口で保険契約を結ぶことができない、ということです。

海外へ観光など行くときに、ネットや空港の窓口で海外旅行保険を何度か購入したことがあったので、今回も同じだろうと気楽に考えていたのですが、実は数日は契約までに時間を要しそうとわかって、渡航直前に焦りました。

近所の保険代理店を探して、旅行者情報を伝え、書類を作っておいてもらった上で、家族全員分のパスポートを持ってその代理店を直接訪れ、契約を結びました。

渡航直前に焦ることのないよう、加入の必要性を早めに判断し、保険契約の準備をしておくことが大切です。

歯医者をどうする?

海外旅行保険は歯科疾病をカバーしていないものが多いので、注意が必要です。私たちのように短期滞在であれば自費治療で何とかなりますが、長期滞在の場合、歯科疾病の保険をどうするか、きちんと準備したほうが良さそうです。

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Hiraku Sakamoto
Happy Mom, Happy Family

Associate Professor; Engineering Sciences and Design (ESD) Graduate Major, Department of Mechanical Engineering, Tokyo Institute of Technology, Japan.