寺田倉庫 月森氏が明かす「倉庫会社が倉庫を手放す理由」とは
# Borderless 2/4
2018年11月に開催された第2回「LivingTech カンファレンス」。『POST2020』をテーマに掲げ、2020年から5年後の社会を考えるトークセッションが展開されました。人口減少、少子高齢化、過剰供給……。社会課題について交わされた13セッションの中から、「Borderless。価値創造のための境界線の溶かし方」と題して行われたセッション(全4回)の2回目をお届けします。
登壇者情報
- 長田 英知氏:Airbnb Japan 執行役員
- 豊田 慧氏:WeWorkJapan Design Director
- 月森 正憲氏:寺田倉庫 専務執行役員
- 小池 弘代氏:渋谷区観光協会 事務局長
- 光村 圭一郎氏:三井不動産 ベンチャー共創事業部統括 BASE Q運営責任者 /モデレーター
寺田倉庫が標榜する「余白創造のプロフェッショナル」とは
月森正憲氏(以下、月森) 1998年に寺田倉庫に入社しまして、こう見えてフォークリフトを乗るような仕事をやっていました。
現場10年、営業4年、新規事業開発6年で今に至っております。
寺田倉庫の中ではITを使って生活に密着した新しい事業を作ろうというところで、大手の会社さんも含めて、最近ではスタートアップやベンチャーが考えるおもしろいことを形にしていくこともやっております。
皆さんにとって少し馴染みのない会社かもしれません。ぜひホームページを見ていただきたいのですが、「文化創造・余白創造のプロフェッショナルになりたい」と我々は標榜しています。
スペースを活用して、例えば家にある邪魔なものや不要なものを預けてスッキリだけではなくて、それによって生活の質や活動の質が向上する、ひいては文化創造の貢献につながりたいという思いをこめて、色々な余白を提案・提供する会社でございます。
それで今自分が取り組んでいることが、大きく2つあります。
1つ目は自社事業としてのminikuraを2012年からやっておりまして、これは簡単に言うとインターネットを使ったお手軽なクラウドのトランクルームサービスです。
もう1つがプラットフォーム事業で、2013年からこのminikuraの仕組みをAPI化し、事業の立ち上げ支援もやっております。
境界線を溶かすための事例ですとプラットフォーム事業ですが、なぜ寺田倉庫という倉庫会社がプラットフォーム事業をやるのか説明させてください。我々はちょっと変わった会社で、「物流倉庫を持たない倉庫会社」として仕組みを作っていくほうにシフトしてまいりました。
倉庫を持っていた時もあったのですが、そうなると倉庫やスタッフが持ち余してしまうから「どんな案件でもいいので取ってこい」という状態になってしまって、あまり思考が先に向かなくなってしまった。本当に荷主さんの言う通りにするだけの存在から脱却したいという思いで、従業員もそうですがいくつか拠点をスリム化していきました。
それでプラットフォームを立ち上げたのが2011年。プロダクトアウトしたのが2013年ですが、検討時期を含めると2011年頃からやり始めました。
テーマとしては「リアル×IT」でやっております。
新事業への強いこだわり
リアル×ITについて説明しますね。我々がリアルと言っているのが物品や物流、それにITを掛け合わせることで、事業をすぐに始めたい人や、物流の機能をすぐに提供したい会社さんがいっぱい集まってきました。
プラットフォームのツールですが、すぐ事業が立ち上げられるツールも用意しています。
最近ではテストマーケティングでまずやってみたい会社さんが非常に多くなっています。
今までですとコンサルティング会社さんに相談して何億円かかけて「まずやってみよう」だったのですが、我々は今すぐにでも使えるツールを提供しています。なので、まずこれで1度回してみてその評価をもって本格的に事業化するかというフェーズで使われるケースが非常に多くなってきました。
パートナーとしては、(今回の実行委員会メンバーである)リノベるさんにもよく使っていただいています。
テーマとしては本当に生活を変えていきたい。と真剣に考えている方々と新しい事業を作っていく0→1のところを徹底してこだわっております。
最後ですが、我々の境界線を溶かした事例になると思いますが、倉庫会社は非常に閉鎖的だったところを、仕組みを開放することで我々も事業パートナーとしてポジショニングができたという私の経験です。
ぜひそういった視点でみなさんとワイワイ楽しく議論できればなと思っていますので、よろしくお願いいたします。