リノベーション会社がなぜTechを? “リノベ屋さん”の範疇に収まらない、リノベるの事業ビジョン

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2018年11月に開催された第2回「LivingTech カンファレンス」。『POST2020』をテーマに掲げ、2020年から5年後の社会を考えるトークセッションが展開されました。人口減少、少子高齢化、過剰供給……。社会課題について交わされた13セッションの中から、「顧客志向から生まれるスマートホーム戦略」と題して行われたセッション(全8回)の3回目をお届けします。

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登壇者情報

  • 前田 宏 氏 /アマゾンジャパン合同会社 消費財事業本部 統括事業本部長 バイスプレジデント
  • 柳田 晃嗣 氏 /アマゾンジャパン合同会社 Alexaビジネス本部 本部長
  • 山下 智弘 氏 /リノベる株式会社 代表取締役
  • 塚本 信二 氏 /米DUFL 共同創業者, リノベる株式会社 社外取締役 /モデレータ

パートナー情報

本セッションはリノベる株式会社様にサポートいただきました。

日本の“暮らし”を、“かしこく素敵に”する会社

塚本 リノべるも創業して……

山下 2010年ですので、もう9年。

塚本 9年ですよね。さまざまな事業に取り組んでいらっしゃるので、こちらも山下社長に簡単にご説明いただければと思います。

山下 僕たちはここに書かれているミッションをもとに走っています。

「日本の暮らしを、世界で一番、かしこく素敵に」しようと決めてやっている会社です。これには2つポイントがあって、まず日本の住まいではなく「暮らし」としているところです。

もう一つが、「かしこく素敵に」というこの2つ、これは相反することだと思っているんですけれども、この2つをやろうとしています。

まず初めの「暮らし」のほうですが、住まいではないというのがポイントです。住まいはただの道具なんです。暮らしを彩るための道具ですので、その暮らしをどうすればかしこく素敵にできるかということにコミットしようと常に考えています。

もう一つが「かしこく素敵に」のところなんですが、僕たちのこの住宅業界でいくと、例えばオリジナルでお客さま用につくりますというのは簡単なのですが、その方にとってはすごく素敵でも、もしその方のライフスタイルが変わって家を売却しなくてはいけないとか家を貸さなくてはいけないとなったときに、あまりその方に寄り過ぎていると、もしかしたら高く売れない、高く貸せないことがあるかもしれません。

そのへんのバランスをどうやってとっていくか。「かしこく素敵」のこの2つをとろうとしています。

toC , toB の両面に及ぶ事業領域

次のページにいっていただいて。これもたくさん、少し細かい字を書いていますが、そういったお客さまに大きく2つの事業があるとお話ししています。

一つはコンシューマー向けの、O2Oのプラットフォームです。

リノベーションされたい方に向けて、設計士、不動産会社、工務店、金融機関らをオンラインとオフラインでマッチングし、お客さまに提供していく一方で、SaaSと書いていますが、そこにいるいろんなサプライヤー、工務店も含めた方々に向けたサービスもいま開発しております。

例えばもっと工事がしやすいようにとか、もっと不動産の仲介をしやすいようなものってどんなことがあるかを、中古のなかで考えようということでアプリケーションをつくっています。

塚本 これもいま前田さんがおっしゃったように、いわゆる消費をするCだけではなくて、施工業者や一緒にやっていらっしゃるパートナーに対しても、よりよい環境をつくっていく。というところで行くと、また同じ考え方ですね。

山下 toCとtoB両方。

塚本 toCとtoBですよね。

山下 先ほど冒頭でお話しした部分なんですが、「かしこく素敵に」のところを少し言い換えると、社内ではこういった形で説明しています。

「かしこく素敵に」の素敵の部分は、“主観的価値”。なので、自分がいいと思えばいいわけなんですよね。

例えば真っ赤な壁がそこにあって、それを人がどう思おうが自分が「いいよね、これ素敵だよね」と思えばいいわけなので、これは主観的価値として成立しています。

一方、例えば中古住宅で築30年のものがそこにあって、それが外からどんなふうに評価されるか、これは客観的価値です。

その2つの価値をどんなふうに上げていくかということを常に考えています。

これが、先ほどお話ししたO2OのプラットフォームとSaaSのモデルを概略にして書いているものです。

中心にあるのが、私たちがやりたいミッションです。「日本の暮らしを、世界で一番、かしこく素敵に」しようと。

その周りにある内側のバームクーヘンの部分が、僕たちのバリューチェーン、流れですね。お客さまの集客から始まって、カウンセリング、申し込み、物件探しと、このように流れていくんですが、その外側にそれを支えるSaaSのモデルがあります。施工管理であったりスマートホームもその一部です。

物件のマッチングシステムやショールームの仕組みとか、外の周りのいろんな、「業界特化型SaaS」と書いていますが、このバーティカルなものを、自分たちだけで活用するのではなく業界にどんどん出していこうと考えてやっております。

以上です。

塚本 多分このスライドに限らず、要は人のあたたかみが残っていなくてはいけないファンクション、どんな事業でもそうだと思うんですけれども、そこに関してはたぶん今後も変わらないと思うんですね。

いまリノべるで取り組んでいらっしゃることもそうなんですが、技術で短縮できたり、そのファンクションを自動化できたものに関してどんどん投じていくと。

そこでできた時間を、例えば人のトレーニングや機械ではできないところに有効活用していくのが、聞いていても両社同様の考え方だと感じます。

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