AR/MR、GPS……テクノロジーは既存の体験をどうリデザインしうるのか?

#PremiumAnalog 5/6

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2018年11月に開催された第2回「LivingTech カンファレンス」。『POST2020』をテーマに掲げ、2020年から5年後の社会を考えるトークセッションが展開されました。人口減少、少子高齢化、過剰供給……。社会課題について交わされた13セッションの中から、「 テクノロジー時代における『Premium Analog』な体験デザイン」と題して行われたセッション(全6回)の5回目をお届けします。

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登壇者情報

  • 内山 博文氏:u.company 代表取締役, Japan.asset management 代表取締役
  • 松田 正臣氏:アルティコ 代表取締役 PERFECT DAY 編集長
  • 中村 真広氏:ツクルバ 代表取締役 CCO エグゼクティブ・プロデューサー / モデレータ

AR/MRで“体験”をデザインするとしたら?

中村 ここから先は、皆さんも含めてセッションをしていきたいなと思っていまして、事前にこのようなキーワードを用意しました。用意はしたんですけど、真ん中にフリーと書いてあるので、この8つのキーワードに限ったものでなくても構いません。

ただ、誰か質問ありますか?と言うとなかなか質問しにくいと思うので、きっかけとして8つは使ってみてください。

何か選んでもらって、そこにかぶせてご自身の質問を深めていただければなと思うんですけど、ここまでで何か質問はございますでしょうか?

もちろんこの中じゃなくても構わないので。これは僕自身、聞きたいなと思っているものを考えて持ってきてはいます。誰かいらっしゃいますか?どうぞ。

質問者1 ファインドアウトプット株式会社の濱と申します。

お話を聞いている中で、リアルとWEBの関係を融合しながらいろいろやっていくのかなというので一番身近だったのが自分の中では「ポケモンGO」でした。

Ingress」とか「ポケモンGO」が流行っている世の中で、それを住環境とかコミュニティに起用するところで、ARで何かやりたいことありますか?というのをお三方に聞いてみたいです。

中村 MR(ミックスドリアリティ)でもいいですかね。そのへんの、拡張系の話ですかね?

質問者1 GPSがもっと生活に密着したかたちで何かできるのかなと思っているんですけど、そういったところ。「ポケモンGO」みたいな発想。

中村 住まいではないかもしれないですけど、僕も漠然と考えているのが、ジオタグ系の話でいくと、さっきの「KOU」で一番考えたんですね。コミュニティが染み込んでいるのって、ある特定のリアルな場所だと思うんで。

ジオタグによるリデザイン―コミュニティの可視化、健康保険の本質化

例えば位置情報とコミュニティを接続していくと、この場所でチェックインしてみると、〇〇コミュニティとか10個ぐらい出てきたぞと。その中で、気になるコミュニティを選ぶと、そこにジョインできるとか。場所とコミュニティの関係性を埋め込めないかな、というのは考えています。

つまり、普段行きつけのバーのコミュニティとかって気になるじゃないですか。同じスナックでも3グループぐらいあってとか、オーナーが作っているコミュニティもあれば、常連さんのグループA、グループB、グループCのコミュニティもあったりすると思うんですね。

そのときに、それってまだまだ目で見えるものではないので、それも見える化すると面白そうだなって思っています。ただ、思っているだけです。やってないです。

質問者1 今のヒントになったかもしれないです。面白いです。

中村 お二方どうですか?

松田 僕は「ポケモンGO」はショックで。僕らスポーツの媒体をやってるので(読者に)身体を動かしてもらいたいんですけど、その背中を押すのがすごく難しいです。すでにやっている人たちにアプローチするのはいいんですけど、やってない人にアプローチするのはすごく難しい。

「ポケモンGO」が出たとき、そのへんのおじちゃんおばちゃんが家の外に出て、単純に歩数で言ったら一気に増えたんですよね。人類の歩いた距離はグッと伸びたぐらいの効果があると思うんで、そこのインパクトはすごく大きかった。

いまだにやってる方いますし、そういったところは非常に効果があって、その手があったのかと。「Ingress」をやっている人たちもいましたけど、「ポケモン」と結びつけることで急にポピュラリティが出ててくるのは面白いと思いました。

僕は、住宅まで結びつくかわからないんですけど、最近健康保険とGPSデバイスが協業しているニュースを見まして、非常に面白いなと思っています。

健康保険は、加入者が健康になってくれればくれるほど儲かるわけですよね。加入者も保険料払いますけど、保険をもらうよりは健康になったほうがいいわけで。究極のwin−winの関係があって、そういったところで加入者がどのくらい動いたか、どのくらい健康に気を使っているのか。そういったことがデータとして吸い出せたことによって保険料が変わっていくことは、それこそLivingTech的なアプローチだと感じています。

行動データの活用で、チームビルディングが変わる?

内山 僕はテクノロジー、全然わからないんで(笑)。わからないふりをしてたほうが便利なんで。

逆に言うとお願いしたいことがあって。今ちょうどすぐ渋谷周辺のビルに、もう1個僕が代表をやっているJapan. aseet managementという会社があるんです。

そこに別の会社と一緒に入ったんですが、その会社がごそっと本社に戻ってしまい、スペースがもったいないので何かこの場所使おうよとなったんです。30坪のオフィスを新しく、シェアオフィスでもワークプレイスでもなく、本当に仕事を生み出せるような場作りができないかなと考えてました。

サロン作ろうよというので、「inc-line」(インクライン)という名前にして、(2018年)12月頭にオープン予定で動いています。

最初そこに僕がハブになって、僕はおかげさまで業界のベンチャーも長いので、独立したこともあって、多種多様な方々からいろんな多岐にわたる不動産建築の相談が地方自治体含めて来るんですね。

つい先日までやっていたのは、これダメになっちゃったのでお話できますが、つくば市さんという自治体が、駅前にある西武が退店してしまった5万6,000平米の商業施設があって。僕も学生時代よく行っていたので、ぜひこれを市のために再生するお手伝いをしたいと思って。

市がそれを自ら事業主として買い上げて、「SPC(編注:特定目的会社。資金を調達する目的などで設立される会社。一般投資家から資金を募り、不動産を所有して賃貸収入や売却益を得て、投資家に配当する形態などがある)の組成まで含めてなんとかお願い」という非常に漠然としたボールを投げられて。本当に組成の直前まで行ったんですが、議会通らずにやめたという非常に残念なことがあったんですね。

例えばそんなことを投げられたとき、リアルにその場でメンバー集められて即座にプロジェクトチームが作れて。その場にいる人たちだけでなく、そのネットワークの中から最適化が図れるチーム作りが瞬時にできることをまず起点としてやりたいと思っているんですね。

本当にさまざまなボール投げられて、僕1個、相撲部屋やっていたりとか(笑)。自由になってみてやりたいこととやりたくないこと選べるようになったので、なんでもやってるわけじゃないんですけど、結構面白いこと相談されます。

それで今、大阪と東京に1拠点ずつ作って、大阪は久田さんというデザイナーが1人いまして、その人の事務所でやります。

そこからネットワークを広げていきたいと思っているんですが、デジタルの部分をうまく使ってもらって広げていけたらなと思っているんですね。まさにプラットフォームを作りたいんです。

ただ僕はそこはわからないんで、誰かに手伝ってもらわなきゃと漠然と思っていたので、それがARなのか何なのかわからないんですが。

僕は単なるコミュニティで終わりたくないなというのがあって、二つの会社で働くことも含めて、いろんな働き方が多分出てくる。僕自身、今ワークシェアやってて何社にも属していて。でもやってみたら意外とできるんですよね。

このデジタルの時代だからこそできる働き方で、だんだんそうなっていくべきだと思うし、そうしていかなきゃいけないと思っているんですよね。特に地方に行って「ホテルやりましょう」「キャンプ場やりましょう」なんて話によくなるんですけど、これワークシェアできないと成り立たないんですよ。

例えばスキー場でもいいしキャンプ場、夏は人が大量に来るんで雇用がたくさん必要なんだけど、冬は要らないんですよね。むしろ事業計画的に言うと、冬はクローズしちゃったほうがいいぐらいなんですよ。

じゃあそういう人をどうやって冬場違うところで働いてもらうか、みたいなことで有機的につながる感覚を作ってもらえると、すごいいろんな地方のニーズが出てきてるんです。今みんな民泊民泊と騒いでますけど、もっといろんな活用の仕方がもっとラフにできるようになります。そんなことも含め、いろいろ考えているので一緒に考えてください、というお願いでした。

中村 なるほど。

チームランサー」など、チーム作りのマッチングのサービスも最近増えてきてます。アナログに登録をしていって「自分のスキルこれですよ」というふうにやってマッチングするのは結構多い印象です。

その中でさっきの内山さんの話だと、同じような嗜好性を持った年代が、例えばこの人普段からキャンプ場チェックインしまくっているねと。するとキャンプ場のデザインやったほうがいいわけだろうし、そういうジオタグの使い方もあるかもしれないですね。「行動履歴・チェックイン履歴と、チームビルディングを組み合わせる」と、ラフに思いましたけど。

内山 まさにスキルで言うと、これから同じスキル持っている人、いっぱい余ってきます。その価値観というか、目的を共有できる仲間を瞬時に集められる感覚になりたいんですよね。それを求めている人がすごく多い気がします。

クライアント側もそれを求めているんで。単なるデザイナーだけで、アウトプットだけを見て選ぶよりも。例えば自分のオフィスを作りたい、そこを何で選ぶかというと、だんだんデザインとかそういう表面的なもので選ぶ感覚がなくなってくるんですね。デザインなんて溢れてるし、インターネットで調べれば自分でこれがいい、あれがいいって選べちゃう時代じゃないですか。

じゃあ最後、デザイナーの役割って何なのかなとなると、何か共感できるものだったり共有できる部分だったりという気がするので、結構ヒントになりました。ありがとうございます。

松田 ジオタグを活用するとき、プライバシーの問題はすごく気になりますよね。プライバシーをセットにしてくれると、ジオタグの情報を提供しやすくなりますし、そうなったときにチームビルディングとかの自分の属性としてうまく活用してもらえると思います。

中村 そうですよね。保険の話も、GPSデバイスの情報を提供することによって、インセンティブがあるからですよね。その設計は重要ですね。

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