「TEDxKyoto 2012 裏話」のウラ側【前編】

Ichi Kanaya
TEDx Experience [日本語版]
24 min readJul 11, 2016

最初のTEDxKyotoとなった TEDxKyoto 2012 終了直後から30日間,僕は「TEDxKyoto 2012 裏話」シリーズをブログに書いた.TEDxイベントは終了後1ヶ月以内にYouTubeに動画をアップロードしなければならない.TEDxKyotoは動画の編集にまるまる1ヶ月をかける予定だったので,その間参加者が退屈しないように話題提供をしようと思ったのだ.

TEDxKyoto 2012 の動画はこちらで見られる.

さて,そんな「TEDxKyoto 2012 裏話」の第1回は次のように始まる.

TEDxKyoto 2012 裏話 1

Image courtesy of TEDxKyoto

TEDxKyoto 2012 オープニングを飾ってくれた京都が誇る和太鼓ロックバンド BATI-HOLIC. なんとTEDxKyotoのためのスペシャルユニット BATI-HOLIC x Toshiki Fukuyama x Tarokichi Ogawa を組んでやってきて下さいましたよ.参加者の皆さんに,映像と和太鼓の組み合わせによるスーパーパフォーマンスを楽しんで頂きました.

BATI-HOLIC さん,実は前日別の場所で演奏があり,当日朝から太鼓の搬入と音響のセットアップをしました.が,そこは手慣れた BATI-HOLIC さんたち,予定開始時刻までにはちゃんと準備完了して下さいました.本当に有難うございました.

実はね,会場に設置されていた音響設備がひどかったのよ.で,本番3日前に総入れ替えの決断をした.この話は「裏話15」(後述)に少し書いたのだけれど,京都のオーディオラボさんにお願いして,会場の電気系統の図面を京大からもらって,ここなら200Vあるよねって確認しつつ,音響の設置計画を立てた.それで,本番前日に音響を設置していったら,なんと電源が図面通り来てなかったことが発覚して,テスター持って会場中を走り回ったけれどどこにも200V電源来て無くて,結局電源車まで借りたのよ.

あとね,楽屋に使える部屋が少なくて,パフォーマの皆さんの大切な楽器をちょっと密集した場所に置かせてもらうことになって,本当に申し訳なかった.

と,当時は書けなかったのだが,もう書いても良いだろう.

TEDxKyoto 2012 裏話 2

Image courtesy of TEDxKyoto

TEDxKyoto 2012 最初のトークは,松本紘京大総長でした.彼の講演テーマは “Velocity of Ideas”. ベロシティです.スピードではありません.日本語で言うと,速度であって速さではありません.

工学系の人はぴんときましたよね?そう,ベロシティ(速度)には「向き」があるのです.流石は宇宙工学の第一人者,言葉の選び方も的確です.

会場でお見せしているスライドですが,松本先生,宮野先生(京大)にご準備頂いたものをベースにTEDxKyotoが誇るデザインチームがデザイン協力をさせて頂きました.

TEDxKyoto 2012 最初のトークは現在理研の理事長になっておられる松本紘先生だった.

TEDxKyotoは発表者とスピーカーアグリーメントという契約を結ぶ.これは発表をYouTubeで公開するよとか,写真を Creative Commons ライセンスでオープンにするよとか,そういった内容の覚書だ.当然TEDxKyotoの代表者とスピーカのサインが必要になる.

で,松本先生もお忙しいのと,我々も初めてのイベントということでいろいろ抜けがあって,つい松本先生のサインをもらいそびれていた.本番終了後大急ぎでサインのお願いを送ったのだが,すでに海外に出張されていた.結局,京大の事務局にご本人の許可をとっていただいて代理でハンコを押していただいた.いやあ,ハンコ文化で良かった.

ちなみに松本先生,直前まで日本語でご講演の予定だったのだが,本番直前に英語に切り替えられた.同時通訳を担当してくださったマイク関根さんが機敏に対応してくださったので問題はなかったのだが,だいぶ冷や汗をかいた.

TEDxKyoto 2012 裏話 3

Image courtesy of TEDxKyoto

TEDxKyoto共同設立者近藤淳也の強い思いで来ていただいたのが猟師の千松信也さん.

千松さんは写真を何枚かお見せしながら講演されるご予定で,その間に演出の関係で一旦写真を消す予定でした.写真はKeynoteで出していたので,真っ黒なスライドを一枚はさめば問題ないはずです.で,普通真っ黒なスライドでも意図的に文字とかロゴとか,バックステージにしかわからないようにこっそりいれておくものなんですよね.プロジェクタの故障と間違えないように.

ところが! 千松さんの写真を受け取ってスライドを作った僕がうっかり,真っ黒部分を本当に真っ黒にしてしまったんです.お陰でバックステージには一瞬緊張が走りましたよ.

バックステージのみなさん,本当にお疲れ様でした.

この文章,このままではわかりにくいと思う.会場に備え付けのプロジェクタのランプ寿命が尽きかけていたのよね.ランプ替えてよ〜ってお願いはしていたのだけれど.だから,どうかランプ持ってくれーと念じつつの本番だったのよ.

そんな状況で真っ黒スライドを挟んじゃったから,画面が真っ黒になった瞬間に(多分スライドを編集した僕以外は全員)終了フラグが立ったと思う.皆さん本当に心配かけてごめんなさい.

【追記】TEDxKyotoショウチームメンバーでパートナーでもあるシーマの野田さんがスペアのランプを待機させてくれていた.彼によると内蔵の4本のうち3本がすでに切れていたとのこと.

TEDxKyoto 2012 裏話 4

ソーシャルネットワーク世界のカリスマ,熊坂仁美さん.講演のプロの彼女が入念に準備し,TEDxKyotoのキュレーションチームとSkypeや Google Hangout で打ち合わせをし,最後の最後までプレゼンテーションの調整をして下さいました. 彼女のファンの応援も頂き,TEDxKyoto公式Facebookページはイベント当日に2,100「いいね!」を達成しました.

ところで,彼女の足元にある丸い赤絨毯,TEDxイベントには欠かせないものですよね.実は購入すると結構高価なものなんです.TEDxKyoto 2012 ではこの赤絨毯を TEDxTokyo yz からお借りしました.有難うございました.

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その丸い赤絨毯だが,イベント後にニトリで1万円以下で売っているのを見つけた.2013年になってから,僕の関わった別のTEDx風の(TEDxではない)イベントで丸い赤絨毯を使うことになり,ニトリから購入してもらった.TEDxKyoto 2013 ではその赤絨毯を借りた.

とここまで書いてAmazonを調べてみたら,もっとお安いのがあった.

赤絨毯だが,登壇者が歩きまわると位置がずれてきてしまうことがあるので,可能なら両面テープでステージに軽く固定するといい.また当然汚れてくるので,リハーサルのときは靴を脱いでもらい,本番も休憩時間ごとにホコリ取りをする.

TEDxKyoto 2012 裏話 5

Image courtesy of TEDxKyoto

セッション1の最後を飾ってくださった平野啓一郎さん.実はバックステージでは,セッション1の最中におこったマシントラブルの対処,遅れたスケジュールを取り戻すための計画などでてんやわんやしており,ついに平野さんのトークを聞くことができませんでした.

他にも例えばおもてなしチーム (experience team) はブレイクや昼食の準備のため忙しくしている時間帯で,ボランティアのみんなはかなりの確率でトークを聞けていないのです.そんなボランティアのためにも YouTube にアップするビデオは重要です.現在ショーチームが映像編集中ですので,皆様ももうしばらくお待ち下さい.

遠方から来てくれるスピーカには可能な限り交通費と宿泊を用意した.京都はホテルを取りにくいという事情から,宿泊は費用を補助するのではなくTEDxKyotoでまとめて予約するようにしていた.

僕たちはパートナーシップとして提供していただいたゴージャスなホテル,大学のゲストハウス,ビジネスホテル,そしてお寺さんの宿坊をキープしておいたのだが,ゴージャスなホテルの部屋数は限られている.僕たちはゴージャスな部屋すべてを遠方から来てくれる女性スピーカに割り当てたので,平野さんには安宿をご紹介させてもらった.彼は喜んで引き受けてくれた.

TEDxKyoto 2012 裏話 6

TEDxKyoto 2012 には120名を超えるボランティアが参加していました.僕が参加していたキュレーションチームは5名,ショーチームは約40名が参加していました.(ちなみにどちらもまだまだ人手不足でした.)

さて,チームの中での連絡,タスク管理はどうすればよかったのでしょう.もちろん正解はわかりません.我々は最初Facebookを使いましたが,すぐに無理があることに気づきました.大事な会話が流れていってしまうし,何が一番新しい情報かわからないし,何をすべきで何が完了したのか管理出来ないからです.

我々が試したウェブサービスにはTeamboxやPodioもありましたが,結局最後まで使い続けたのはChatWorkでした.僕自身はもう少し構造化されたタスク管理システムのほうがよいかなとも思いましたが,やはりタイムラインを追うだけでひと通りキャッチアップ出来るという単純さは何者にも代えがたいものでした.例えば,別の仕事でしばらくTEDxKyotoのタスクから離れていてあとで戻ってきても,タイムラインがシンプルなChatWorkをメインに使っている限りなんとかキャッチアップできるのです.

これは新しい発見でした.個人的には Google Wave 最高と思っていましたがChatWorkのような掲示板形式も悪くないなあと思いました.

みなさんもおすすめのグループウェアがあったら教えて下さいね.

チーム内のコミュニケーションコストをどれだけ下げられるかというのは,永遠のテーマなのかもしれない.コミュニケーションコストツールとして最終的に選んだのはChatWorkだったのだが,当時は無料版だとユーザ数に制限があった.そこで吹田市にあるChatWork社を訪ね,TEDxKyotoとのパートナーシップを依頼した.

TEDxKyotoでChatWorkがどのように使われたかはこちらの記事になっている.

この記事がしばらくChatWorkの公式ホームページのトップに載っていたため,ひとのChatWorkの画面を見るたびに「あれ,なんで僕がログインしてるんだろう」と思っていた.

TEDxKyoto 2012 裏話 7

TEDxKyoto 2012 参加者のみなさんは会場に流れていた素晴らしい音楽に気づかれましたか?

実は Tokyo Balearic の DJ Marbo さんがTEDxKyotoのためだけに作って下さったスペシャルリミックスだったのです!! なんと贅沢なんでしょう!!

TEDxKyoto 2012 開催にあたって DJ Marbo さんに音源のご提供をお願いしたんです.そうしたら DJ Marbo さんから,タイムドメインのような最高に音の良いスピーカを使ってくれるのなら音源を提供しましょうと言って頂けました.

タイムドメインさんは本社が京都府にあることもあって,プレイベントの TEDxKyotoChange でもスピーカをご提供頂いていたのですが,今回はよりパワフルにするために,ECLIPSEの富士通テンさんにもタイムドメインスピーカとアンプのご協力を頂きました.なんとエンジニアも派遣して頂き,最高の音を鳴らして下さいました.

TEDxKyotoはこのような素晴らしいパートナーに支えられて運営させて頂いています.

TEDxKyoto 2012 は京大黄檗キャンパスで開催された.ここは素晴らしいキャンパスで,屋内,屋外ともブレイクを過ごすには最高の環境だった.藤田功博さん率いるおもてなしチーム,河原司さん率いるアーキテクトチーム,北林功さん率いるコミュニティチームの見事な連携は本家TEDを凌ぐものだった.

でね,イベント終了後に回収したペットボトルを洗浄して,蓋とラベルを外して,分別して,ゴミ袋に詰めて…という作業を最後にみんなで分担してやったのだけれど,その間ボランティアがパーティに参加できないのがちょっと申し訳なかった.

「裏話1」から「裏話7」までは主に TEDxKyoto 2012 セッション1の話題を中心に語った.TEDxKyoto 2012 は全部で4セッション構成としたのだが,セッションが多すぎたような気もする.

ここから主にセッション2の話題が始まる.

TEDxKyoto 2012 裏話 8

Image courtesy of TEDxKyoto

GPS石巻プロジェクトをご紹介していただいた殿岡康永さん.TEDxKyoto共同設立者ジェイさんのご紹介で僕は面識がなかったのですが,僕がショープロデュースの合間を縫って電話インタビュー,電話リハーサルまで担当させて頂きました.

3.11の震災のとき,自分に出来ることはなんだろうと考え,位置情報を利用したエンタテイメントを作っておられた殿岡さんは,位置情報をベースにした災害アーカイブを発想し,実行されます.いつか,彼の作ったアーカイブを持って現地を実際に歩きたいと思いました.

3.11のとき,みんなが「何かをしたい」という気持ちに駆られましたよね.(僕自身は The Light Stuff というプロジェクトを立ち上げました.)TEDxに集まる人達は,何かあったときにはじっとしていられない人たちなんだろうなあと,感じましたよ.

もともとの裏話には書ききれなかったが,TEDxイベントは本家TEDのライセンスを受けて実施しているため,様々な条件がつく.そのうちの一つに Level 1 イベントはトークの1/4をTEDトーク上映に割り当てないといけないというものがある.

ここで Level 1 について話しておこう.

どんなTEDxイベントもスタートラインは Level 1 である.Level 1 イベントは先程書いたとおり,トークの1/4をTEDトークのビデオ上映に割り当てないといけないという決まりがある.他にもいろいろ決まりがあったのだが,最近は随分と整理された.(TEDxオーガナイザがTEDカンファレンスに参加したことがない場合,そのTEDxイベントの参加者は100名までと言うルールもある.)

Level 1 イベントを開催したあと,公開したYouTube動画が決められたビュー数を超えるとか,本家TEDトークに採用されるとか,ある条件をクリアすると Level 2 に昇格申請できる.TEDxオーガナイザ向けのワークショップを開催することも Level 2 昇格申請の必要条件だ.

2012年の時点で Level 2 だったのは日本ではTEDxTokyoだけで,当然 TEDxKyoto 2012 は Level 1 だった.というわけで件の「1/4条項」が適用された.

さて,トークの1/4とは本数のことだろうか,時間のことだろうか.ジェイと目を皿のようにしてTEDxライセンスを確認したが,当時はどちらとも書いていなかった.ジェイが本家TEDに問い合わせたが,念のためトーク時間を秒単位で調べ,本数も時間もきっちり1/4になるように調整した.

ビデオ上映の制約だが,当時一般的だった60分長のテープメディアの交換を考えると,悪い制約ではなかった.

TEDxKyoto 2012 裏話 9

Image courtesy of TEDxKyoto

オーディションウィナーの安田ナオミさんは思考地図 (ThinkMap) を紹介してくれました.

彼女も使っていたヘッドセットですが,実はこのタイプのものを一つしか確保できず,MCがトークでつないでいる間に次のスピーカがマイクを装着していました.TEDxKyotoのビジュアルエンジニアが我々独自のタイマーアプリを改造して,バックステージから「スピーカのマイク装着完了」をステージに知らせる機能をつけてくれました.

さて,この ThinkMap は人間の心理とジオメトリを結びつけたもので,本当に Ideas Worth Spreading なんです.近々ムービーを公開しますので,是非注目しておいて下さいね.

TEDxKyotoはスピーカの選定を一貫してキュレーションチームという小規模なチームで行っている.キュレーションチームはスピーカの選定だけでなく,出演交渉,お宿や足の手配から,コーチの割当て(キュレータはコーチを兼ねるが専門コーチの割当も行う),バイオグラフィとスクリプトの編集,翻訳の割当て(キュレータが翻訳する場合も多々ある)も行う.

TEDxKyoto 2012 のオーディションはコミュニティチームが開催し,キュレーションチームがウィナーを選ぶ体制で行った.これはすでに手一杯だったキュレーションチームにとってはありがたい体制だった.コミュニティチームは本当にいい仕事をしてくれた.表に出てくることのない話なので,ここで遅ればせながら感謝を伝えておきたい.

TEDxKyoto 2012 裏話 10

Image courtesy of TEDxKyoto

教育イノベータのデイビッド・アーンスト博士.なんとミネソタからやってきてくださいました.米国出発直前にメールで「ぼく,泊まるところないんだけど…」とお茶目な側面も見せて下さったデイブは物腰の柔らかい紳士でありながら,オープンソース教科書など彼の実践的な取り組みを熱く語ってくれました.

デイブさんはこのイベントで最も背の高いスピーカでもありました.フィルム監督アンドリヤナ・ツヴェトコヴィッチの指示で,スピーカ全員の身長を前もって調べておいたのが,今回のスムーズなカメラワークにつながっています.

リハーサル前日のメールでのやり取り.

デイブ「やあ,いま空港だけど,僕のホテル決まったかな?」

ぼく「うん,日本が誇るウルトラクールなホテルだよ.ナインアワーズと言って,宇宙船のキャビンみたいなんだ.カプセルに入るんだよ」

デイブ「あ,いや,あの,それはちょっと,どうも僕向きではないなあ」

ぼく「あ,あの,僕達の予算が…」(もともとデイブさんにはホームステイをオファーしていたのでホテルの予算を確保していなかった)

デイブ「頼むよ〜.あ,搭乗始まったから,次は日本からメールするね」

彼が来日する前に運良くホテルがもう一室確保できたので,デイブさんに使ってもらった.その後僕もナインアワーズに泊まってみたのだが,なんかカプセルが結構揺れたりして,大事な発表の前に泊まりたいと思える作りではなかった.

TEDxKyoto 2012 裏話 11

Image courtesy of TEDxKyoto

deep kyoto のコラムでも取り上げて頂いたチェコのバイオリニスト,トマシュ・マフさん.

去年僕たちが主催した Technology x Art x Design (TAD) というイベントで演奏とトークをしていただいたのですが,そのあまりの素晴らしさに感動してTEDxKyotoに無理にでも来ていただくことにしました.ええ,無理だったんです.実は彼は当日大阪でコンサートがあったのですが,なんとか大阪でのコンサートに間に合うようにTEDxKyotoのプログラムを組んで,演奏して頂きました.

彼が演奏してくれたのは,彼自身が作曲した「遊子庵」という曲でした.そう,烏丸御池に実在する遊子庵をモチーフに作曲してくれたんです.目を閉じて聴くと,とても一人では演奏しているとは思えない超絶技巧の曲でした.

トマシュさんの送り迎えを学生ボランティアがしてくれた.彼女たちはトークを聞くことも出来ず,ブレイクやパーティで参加者の顔を見ることも出来ず,ただイベントの成功だけを考えてくれた.

TEDxKyotoを支えてくれた無名のボランティアたちが将来「あのTEDxKyotoの立ち上げに私も参加したの〜」って誇りを持ってもらえるように,TEDxKyotoを育てていくのもコアメンバーの責任というか義務だ.

あ,なんかウラ側じゃなくなってきたね.

実はトマシュさん,遊子庵(京町家)の畳の上で雑魚寝してた.チェコからわざわざ日本までやってきたのに雑魚寝させられたら普通は怒るところだが,彼もまた楽しそうだった.

TEDxKyoto 2012 裏話 12

Image courtesy of TEDxKyoto

イベント前日からTEDxTokyoファウンダーのパトリックも駆けつけてくれた TEDxKyoto 2012 でしたが,TEDxTokyo/TEDxTokyo yz から井口奈保さんがスピーカとして参加してくださいました.日本のTEDxファンなら彼女のことはみなさんご存知ですよね.

彼女の後ろにある “TEDxKyoto” の文字,パートナーの都写真製版さんが製作してくださいました.現在は同じくパートナーの oinai karasuma に飾ってあるそうです.こういったロゴの製作には時間かお金のどちらかがかかります.都写真製版さんが製作を申し出て下さるまではTEDxkyoToにしようかいうアイディア(TEDxTokyoのアナグラムですね)までありました.

Hack Osaka 2014

ステージ上のロゴって大事なのよ.TEDxて最終的にはビデオが残るので,ステージにロゴがあることが大事なの.あと,作ったロゴの保管場所も結構悩ましい.

当初はプロジェクタでバックドロップに投影しようかとか考えていたのだけれど,出来上がったビデオを見るとやはり実物ロゴがあってよかったと思う.この都写真製版さんに作って頂いたロゴはその後現在(2016)に至るまで使わせてもらっている.

TEDxSendai 2012 のスチール製のロゴ,TEDxHimi 2016 の漆塗り(!!)のロゴなど,その後いろんなロゴを見て勉強させてもらったが,経済的で,見えも良くて,長持ちしそうなのは,同じくTEDxKyotoのデザイナ志水良さんHack Osaka のためにデザインしたアクリル製のロゴだ.

TEDxKyoto 2012 裏話 13

Image courtesy of TEDxKyoto

セッション2の最後を飾ってくださったジェフリーとイバンのおふたり.息もぴったりのこちらのデュオには,龍谷大学からご提供いただいたお二人用の畳部屋をご用意させて頂きました.

TEDxKyotoチームは大きくわけると,クリエイティブ系(キュレーション,ショー,デザイン),おもてなし系(イベント当日のオペレーション),コミュニケーション系(パブリシティ,コミュニティ活性化)の3系統あるのですが,スピーカのお宿は全チームが横断的に手配しました.

TEDxKyotoチームには企業経営者の方も多数おられるのですが,ボランティア主体のチーム編成ということもあって,ずっと試行錯誤を繰り返しています.一方で,舞台関係だけは万が一の事故が生命の危険にも繋がるため,トップダウンで,下手をすれば慣例墨守とも言われかねない方式をとりました.

舞台関係てわりと古風なところがあって,例えばジャニーズの舞台でも初日の本番前には神棚の前で成功祈願をする.(なぜ知っているかといえば,一緒に祈願したからである.)流石に我々はTEDxKyoto成功祈願まではしなかったけれど,古くからある舞台の習慣はできるだけ守るようにした.

例えば,ステージ上では絶対に大工仕事をしないこと.

ステージは神聖な場だからとよく説明されるのだけれど,本当は多分,釘を落としちゃったり,舞台をささくれ立たせたりして,演者が怪我をしないようにという配慮から生まれた習慣だと思う.

僕がいつも裸足でいるのは,ステージ上の危険に出来るだけ早く気づくように,という理由もある.

TEDxKyoto 2012 裏話 14

ブレイクだって目が離せないのが TEDxKyoto 2012. おもてなしチームリーダの藤田功博さんがおもてなしマニュアルを書いて下さいましたよ.

【保存版】イベント運営のコツ

【保存版】イベントにおける「おもてなし」向上チェックリスト

【保存版】TEDxKyotoでもフル活用!「おもてなし向上マニュアル

ショーチームだってブレイク中にイベントをします.まずはシェリーナカニシさんのムービー Fukushima Project 上映,そして,この日のためだけに結成された女性ヨガ講師デュオ Kiyomi + Kyoko によるヨガレッスン.

実はブレイク中はUstream中継をストップするつもりだったのですが,なーんとわたくしがUstreamをオフにするのを忘れていましたよ.お陰様で,次のセッションの司会リハがだだ漏れでしたが(しかも司会はこの僕と長谷川機与さんでした),それが幸いしたのかUstreamビューがうなぎのぼりに増え,最終的には6,000ビューを超える大盛況となりました.

TEDxKyoto 2012 から2年たった2014年に,最初のTEDxKyotoで一番印象に残ったトークは何でしたかと,数人の常連参加者に聞いてみた.答えはなんと「ブレイク中のヨガ」だった.

本番の約1週間前に偶然Kiyomi先生と知り合いになり,思いつきで「イベントのヨガ講師やってもらえませんか?」とお願いし,一度会場の下見にお連れしたのだが,それ以外特に打ち合わせはしなかった.アシスタントのKyoko先生ともほぼ初対面という状況で,ゆるーくやってもらったのだが,それがかえってよかったのかもしれない.

作りこむだけがイベントじゃないと気付かされた,ブレイクだった.

TEDxKyoto 2012 裏話 15

TEDxKyoto 2012 でもやっぱり問題になったのが会場の電源.電源容量とか,電圧の問題ではなくて,電気が来ていない! という問題に遭遇しました.

いわゆる壁コンはひと通りテスターで電圧を測っておいたのですが,照明用のC型埋込コンセントは当初使用予定が無く放置していました.

が,実は本番三日前に音響系を総入れ替えすることにし,新たに照明用コンセントからPAへ電源供給することにしました.配置もプラグ形状も確認したので完璧…なはずでした.

電源供給がされていませんでした.電気工事士の方と施工図面を見ながら会場中の配電盤を走り回りましたが,結局電源供給されず,最終的に仮設の電気工事を行いました.

会場を下見するときは,ありとあらゆるコンセントの電圧を測っておくことをおすすめします.

京大黄檗キャンパスのパーティ会場は本当に素晴らしかったのだが,講演ホールのほうはもともと学術公演用に設計されたためかTEDxイベントのようなショウには大変使いにくいものだった.

ここらへんの注意事項は手前味噌ながら Engineering of TEDxKyoto (2014) [日本語] という記事に書かせてもらった.ご参考になれば幸いである.

後編に続く.

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