報道でデータビジュアリゼーションは必要なのか[最終回-1] — データジャーナリズムとは?

Marika Katanuma
TOKYObeta Journal
Published in
5 min readJan 9, 2016

報道でデータビジュアリゼーションが必要なのか[1] [2][3]では、データビジュアリゼーションと報道の関係について考えた。今回は、データビジュアリゼーションと並びに最近よく聞かれる「データジャーナリズム」について、少し考えてみたい。そもそも、データジャーナリズムとは何だろう?データを使えば何でもデータジャーナリズムになるのだろうか?

世界のメディアが考えるデータジャーナリズム

アメリカやイギリスのメディアがそれぞれに思うデータジャーナリズムのあり方をまとめると、ある共通点に気づく。それは、「データジャーナリズムとは “qualitative” (質的なもの: 従来の人をソースとした取材)と “quantitative”(量的なもの:データ)を組み合わせた報道」であるということだ。

Q. データジャーナリズムとは…?

A.「 三次元と二次元を照らし合わせること/“I have to go out and see if a three-dimensional world looks the same as a two-dimensional world looks,” by The New York Times 編集者

New York Times編集者のSarah Cohenさんは、データ(二次元)を見つけたら、実際に現場に足を運び(三次元)、そのデータが正しいか必ず確かめるという。

A.「読者が自分に関係のあるニュースと思ってくれる情報を提供すること」/ “Enable a reader to discover information that is personally relevant,” by BBC

BBCはデータジャーナリズムを以下の3点から説明

1, 今まで知られていなかったことを明らかにする

2, 複雑なニュースをわかりやすく伝える

3, ニュースをパーソナライズする

A.「記者が人々とデータベースの両方を情報源とする/ “ Reporters must interrogate both people and databases in order to get their information,” by Economist

データジャーナリズムとは、記者が人とデータベースの両方を情報源とすること。

A.「データジャーナリズムは単純によいジャーナリズム/ “We want our data journalism to simply be great journalism,” by Vox(Vox Media)

データジャーナリズムとは、データの可視化ではなく、データをベースとしたジャーナリズムである。

A.「 データジャーナリズムは言葉が数字に置き換わることではない。/ “Data journalism isn’t just about using numbers as opposed to words,” by FiveThirtyEight

データジャーナリズムには、もっと人間的要素が必要。データジャーナリズムとは、質的ものと量的なものの境界線がぼやけること。

A.「肝心なのはストーリー」/ “It’s (still ) all about stories.” by The Guardian

データジャーナリズムでも、大事なのはストーリー。データジャーナリズムはグラフィックでもビジュアリゼーションでもない。それはストーリーをできるだけわかりやすく伝える方法の一つ。

多くのメディアが、データジャーナリズムとは、「質的&量的な情報をもとに、ストーリー(ニュース)をわかりやすく伝えること」と説明しているのがわかる。それでは、「質的&量的な情報を組み合わせた報道」とはどのようなものだろうか。

報道でデータビジュアリゼーションが必要なのか[最終回-2] につづく

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