「中間地域」の特徴は、既存の指標では見つけられないことを前回確認した。つまり、机上で数値を調べたり口コミを見たりするのではなく、自ら「中間地域」に赴いて特徴を調べるしかない。
ジェイン・ジェイコブズ著, 山形浩生訳, 鹿島出版会, 2010年
前回までの現地調査から、調査対象地は「個人的手入れが強く、組織的手入れが弱い地域」であることを確認した。つまり、ひとつのまとまった場所=まちの中にあるモノを、個人レベルで出来るような小さな規模で手入れしているように見える。
若林幹夫編著, NTT出版, 2013年
「パッチ・ワーク地域」
これは、私が卒業研究で考案した、新たな都市・地域の見方である。
既存の都市・地域論では、発展/衰退や住みやすさ/住みにくさを知ろうとするものが多い。しかし、それだけで実際に存在する都市・地域全てを説明できるとは思えない。
そこで、都市・地域の性質を語る新たな価値概念を見出したいと考え生まれたのが「パッチ・ワーク地域論」という考え方だ。
1年間の調査は概ね、以下の形で進行した。
都市・地域を説明する際、わたしたちはどのように語るだろうか。
“まち”は、家屋や会社・レストランなどといった施設とそこで生活する人々、更には農林業の用途で用いられる土地などで構成されている。