多忙な方に「どの時間がいちばん好きですか」と質問をすると、眠っている時です、という答えが返ってくることが少なくない。
なるほど、だから人の「おやすみ」はあれだけ優しくて、「おはよう」はビクトリア湖の水が全て干上がったのを耳にしたかのように不機嫌なんだ。
不機嫌な朝、だいたい人は夢から覚めずにいる。歯を磨き、顔を洗い、鏡を見ながら、夢の欠片を拾い上げようともがいている。