『猟師のナイフ』

突然やってきた先輩猟師。「持っているナイフを出せ」と言う。

陽も落ちた夕刻、玄関の戸が開いた。「オッ！」とだけ言って入ってきたのは、先輩猟師の義仲さんだ。いつも通りの表情のようでいて、どこか固くもある。

『幼い子どもを旅行に連れて行っても……』

この子はまだ幼いから旅行に連れて行っても意味がない。そんな意見もありますが……。

『頼んだそばが届かない』

頼んだそばが届かない。出前のミステリーです。

頼んだそばが届かない。しびれを切らし電話をかけた。

『台所に男4人』

今まで妻が立っていた台所に、男4人が立っている。

私が慣れない手つきで料理する姿を息子3人が見つめている。煮物と味噌汁。簡単だと思っていたが、作り始めるとなかなか難しい。

これ以上は魚が進めないとされる『魚止めの滝』の上に、父が行こうと言う。

『防風林の下』

せっかく海に来たというのに、防風林の下を歩く彼女。その意味は？

京子が「海に行きたい」と言うので、少し遠くの海まで車を走らせた。八月末、クラゲが増え、水が冷え、泳ぐ人の数は減っていた。それでも念のために、とカバンの奥に水着は忍ばせてある。

『うちわで扇ぐ』

暑い日に自分で扇ぐうちわの風というのも悪くないものです。

家に着くなり婆ちゃんがみんなの麦茶を出した。

『鹿』

罠猟を始めた新米猟師。初めての獲物がかかったそのとき――。

「あの尾根の向こうだな、おめーの仕掛けは」

『うちわの風』

前回に引き続き、うちわの話が2話目。祖母のうちわの思い出です。

祖母は半年前に見たときより、ずいぶんと細かった。